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Laugh Chaos  作者: signal.U
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第四話 レッツ・マキ車‼︎ 〜 トゥ・レイト 〜

次の車両に移ると、また通路に面して個室の並んだタイプだった。思い返せば最後尾もそうだったが、このタイプは内装や雰囲気からして客室なのだろうか。だったらもうそろそろ見つかって欲しい。


前にどれだけ車両が続いているのかはわからないし、この魔汽車という列車は何かと危険すぎるので、さっさと切り上げて帰りたい。


とりあえず後部側から一つずつ扉を開けてみる。


一つ目……違う。なんだよ、恨めしそうな眼でコッチ見るなよ。ただ扉開けただけだろ? 邪魔したな。


二つ目……違う。そっと静かに扉を閉めた。


三つ目……っ! 父親とその息子のような半透明が、椅子に座りぼぅっと外を眺めていた。見た感じでは年齢層が合致しているようだが、この二人がタジマ親子だろうか。


「あのっ、もしかしてタジマナオユキさんとヒロト君ですか?」


マキは生気のない半透明達に声をかけた。


半透明達はゆっくりとマキの方を振り返り、大人の方の半透明がボソボソと「えっ、はいそうですが」と答えた。


一度死を経験し、それを理解している死人(しびと)だけあって、まったく覇気がないし、当たり前かもしれないが生気もない。


タジマ親子がここにいるということは、やはり雪崩が原因で亡くなったということであろう。


「いえ、何でもないです。失礼しました」


即座に扉を閉めた。するとキリカがものすごい勢いで声を上げた。


「えっ、おいっ! アタシ達が何しにここに来たのか言わないのか⁉︎ 奥さんが心配して依頼出してることも言わないのかよ‼︎」


「ああ。本来、死んでもいない俺達がここにいるのは不自然だし、変に干渉して妙なことが起きても困るしな。依頼で親子の存在の確認だけをしに来たんだ、お前が何と言おうがこれで目的は達成だ」


キリカはチッと舌打ちをしてそっぽを向いた。


まぁ気持ちもわかるし、真っ直ぐで気性の激しいキリカらしいといえばそうなる。しかしこれも仕事だ。線引きはちゃんとしなくちゃな。それに得体の知れない場所で、あまり無駄に関与したくはない。


キリカの態度に見かねたエレンが、不機嫌な姉に寄り添って言った。


「お姉ちゃん。お姉ちゃんの気持ちもわかるけど、マキさんが言ってることは正しいよ。それに依頼を受けてるのはマキさんだよ? 全責任を負わなくちゃならない立場だから、このくらい冷静に判断して当然だと思うよ」


エレンの発言は、キリカにはキツい一言となっただろう。そのせいもあるのか「なんだよっ! んなのわかってるよ‼︎」と怒鳴っている。


たぶんそう理解している頭と、どうにかして力になってあげたいという気持ちが喧嘩しているのだろう。根がいいヤツだから仕方ないのかもしれない。


「さっ、確認も取れたし帰るぞー。ほれ、キリカもヘソ曲げてないで、さっさと動け。冥府に着いちまっても知らんぞ」


膨れっ面のキリカは「ふんっ!」とまたそっぽを向いた。


しょうのないヤツだ、まぁ放っておくことにしよう。その内に気持ちの整理もつくだろうし。


キリカのことは気にせず車両から出ようとしたその時だった。


「ま、マキさんっ外を見てください! なんか様子が変です‼︎」


突然エレンが悲鳴のような叫び声を上げた。いつも物静かなエレンが叫ぶなんて相当ヤバいことが起きていると思い、すぐに通路の小窓から外を覗いた。


「な、なんてこった‼︎」


慌てて後部側の車両連結部に向かい、一気にドアを開け外に出た。


外の風景はガラリと変わっていた。さっきまで真っ暗な森の中を走っていたハズなのに、今となっては紫色の宇宙空間のような場所を走っていた。辺りには大小様々な岩のような瓦礫が浮かんでおり、さらに線路ではなく空中を走っている。


「うおっ、どうなってんだこれ。なんでアタシ達、宇宙みたいなとこ走ってんだ⁉︎」


さっきまでの怒りはどこにいったのやら、キリカは外の状況に興味を示しすっかり釘づけだった。まぁ、さすがキリカだとでも言っておこうか。


「マキさん。……もしかして、一歩遅かったってことですか?」


「ああ、たぶんその通りだ。おそらく冥府に行くためにちょうど異空間に入ったんだろう。本当に一歩遅かったようだな。こりゃあ……まいったな」


さてどうするか。異空間となると電車から飛び降りて無理矢理下車、なんてことは出来ない。となると……。


「車掌さんにお願いして、フジノジュカイに戻ってもらえないですかね? それ以外に帰れる方法はないかと」


エレンの提案はいつも的を得ている。その通り、もう直談判(じかだんぱん)しかないだろう。そもそも車掌なんているかどうかもわからないが、魔汽車を動かしているヤツがいるはずだ。そいつに聞いてみるしかない。


もしダメなら力ずくで聞かせるしかないし、車掌がいないなら魔汽車をどうにか操縦して帰るしかない。どう転ぶかは予想がまったくつかないが。


「車掌がいるかどうかはわからないが、とにかく諦めるにはまだはやい。とりあえずこの先の車両に行って、どうにかならんか調べてみるか」


「おうっ!」


「はい」


姉妹は返事した。


そうして一行は、魔汽車から脱出する術を模索すべく、また一つ先頭の車両へと進んで行くのであった。

第四話 完

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