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Laugh Chaos  作者: signal.U
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第四話 レッツ・マキ車‼︎ 〜 フジノジュカイ 〜

澄んだ空気が覆う中、木々の隙間からの木漏れ日が気持ちよく、そこは昼食を終えた者の散歩にはうってつけな場所だった。


しかしそんな快適な散歩道も、奥に進むにつれ次第に森は深くなり、その本性を露わにする。昼過ぎだというのに、降り注ぐ太陽の光りすらも木々のカーテンで遮られ薄暗く、特徴のない同じような場所が永遠と続く……『フジノジュカイ』とはそんな所である。


さらに足場も悪くまっすぐに進むことが出来ないため、いつのまにか方向感覚が狂いどっちから来たのか、またどこを目指して進めばいいのかすらわからなくなってしまう。


まさに迷いの森とはこんなところなのであろう。本当に入ったが最後、もう二度と陽の光は拝められないかもしれないと感じさせられてしまう。もちろん、指定された浅い区域なら問題なく、そこを抜け奥に入っしまうと迷いの森へと変貌する。


そんな迷いの森を彷徨う三人の人影があった。


「なぁ、マキぃー。どこにあんだよ、その駅ぃー。全然見当たんねぇじゃねぇかよ」


キリカが不満を漏らす。


「詳しい場所までは知らん。廃線とはいえ駅があるっていうから、すぐ見つかるかなって思ってたけど……全然だな」


「あれ? さっきもここ、通りませんでしたっけ」


迷子丸出しの三人がそこにいた。詳しい情報もなければ探索に役立つアイテムもない。まさに無謀な挑戦であった。


出発したのが昼過ぎだったというのに、そんなこんなでいつのまにか日も暮れたようで、より一層あたりも暗くなってきていた。


さすがにこのままではマズいだろう。懐中電灯も非常食も持って来ていないし、陽も当たらないのでだんだん寒くなってきた。脱出する方法かこの状況を凌ぐ何かを考えておかなければ。


「もう暗くなってきたし、お腹も空いたし、そろそろ帰ろうぜマキ。また出直そーぜー」


諦めモードのキリカが言った。


「でもタジマ家の状況からすると、結論は早ければ早いほど良さそうだから簡単には帰らないぞ。それに明日には結果の連絡するって言っちまったからな」


キリカの顔がなお絶望の色に染まった。


「お姉ちゃん、もう少しがんばろうよ。マキさんの仕事について行くって言ったのワタシ達なんだから、邪魔しないようにしなきゃダメじゃない?」


さすがエレンだ、しっかりしている。


しかし、俺だけだろうか。さっさとピッグに戻れば寒いだお腹すいただ関係なくなるのではと思うのは。実際のところはわからないが。


そんなどうでもいい事を考えていると、遠くの方から「ボォー」っと汽笛のような音が微かに聞こえてきた。


「マキ! 今の聞こえたか⁉︎ もしかして今のって⁉︎」


キリカがはじかれたように言った。その表情は喜々としている。


「あぁ、どうやら近くまで来れてたみたいだな!」


三人はがむしゃらにその汽笛が聞こえた方向へ急いだ。


途中、キリカが「マキ車か⁉︎ マキ車か⁉︎」と嬉しそうな表情で言いながら俺の方を向いたが、無視して先を急ぐことにした。


汽笛が聞こえたあたりに着くと、こんな迷いの森の中に聞いた通りの古ぼけた駅……というよりは、ほんのちょっと小高いだけの小さな石造りのホームがある場所に辿り着いた。駅という建物などはなく、あるのはこじんまりとしたホームと背の高い古びた時計だけだった。


そしてそのホームには、例の魔汽車と思われるものが止まっていた。


実際ホームから見えるのは最後尾の客車だけで、それより前がどうなっているのかまでは暗さと鬱蒼と茂った森で見えない。


暗くてはっきりとはわからないが、その客車は蒸気機関車を思わせるそれによく似ていると思われる。実物を見たことがないのでなんとも言えないが、高さや横の広さもあり割と大型で、形もガッシリとしていて無骨だと感じる。


とりあえず木陰から様子を伺う。生気がないのか、ぐったりと頭の垂れた半透明な人達の後ろ姿が、ホームから次々と乗車して行く。彼らは死者の魂だろうか、やはり例の魔汽車で間違ないであろう。しかしこう離れていては、依頼人の夫と息子の確認は出来ない。


「おいマキ。みんな乗っちまったけど、どうすんだ? まだ確認とれてないぞ⁉︎」


「しょうがねぇ、一旦忍び込んで調べてくるしかねぇだろ。ほら、はやくポケットに戻っとけ」


姉妹はすぐに了解してモノに戻り、ポケットに納まった。木陰から木陰を素早く移動し、ちょうど先ほどの位置から魔汽車を挟んで裏側にまわった。見た限りではどうやら見張りや車掌はいないようだ。しかし魔汽車の実態がわからないので、念のため用心して行くべきだろう。


マキはさらに魔汽車に注意深く接近し、最後尾の車両の屋根に飛び乗った。辺りを確認する。特にバレた様子もなく、相変わらずしんと静まりかえっている。


一応、何が起きてもすぐに対応できるように、周囲に気を配り静かに屋根上を屈みながら移動した。やはりバレた様子はないようだ。


「さて、中に入って調べてみるか」


安全を確認して車両と車両の繋ぎ目に降りた。まずは最後尾の車両から入って、タジマ家の夫と息子の魂がいないか確認するとしよう。

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