第四話 レッツ・マキ車!(前編) 〜 プロローグ 〜
第四話 開始です!
まずはお約束をどうぞ‼︎
「うわぁー、いい景色だなぁーっ。なぁ、ヒロト!」
「うん! すごい景色だね!」
「来れて良かったわね。昨日の天気がまるで嘘のよう!」
澄み渡る空の下、タジマ親子は雪山登山を楽しんでいた。前日は積雪があったのにも関わらず、見事なまでの青空に恵まれた。
正直なところ、あまりの天候の悪さに計画を中止して、他のレジャーで休日を過ごそうとまでの話も出ていた。しかし当日になって天候が回復したため、計画通りに登山を楽しむことにした。
ここのところ、夫と息子の間で登山が流行っていて、今日のためにわざわざ休みをとったくらいだった。二人は一通りの装備も揃え、いっぱしの登山者のような格好をしている。……中身はまだかけだしの新米なのだが。
私はというと、初めての登山ということで、防寒着や靴などの身につける物は事前に買って用意しておいたが、他の最低限の装備は麓でレンタルした。
親子で一緒に何かに打ち込めるというのはいい事だと思うし、私も出来る限り応援したいと思っている。だから当日ギリギリまで天候の回復を待っていたし、登山の準備もしっかりしておいた。
その甲斐あってか今日は天候に恵まれ、夫と息子のいい笑顔が見れた。
そのことに私はとても満足していた。
「ヒロト、メグミー。もっとあっちの方に行ってみないか? あそこから見える景色の方がもっとすごそうだぞ⁉︎」
夫のナオユキは、向かいに見える遠くの雪面を指差した。たしかにそちらに回り込めば、視界に入る山や木々を回避し、もっと綺麗に景色を一望できるように思える。
「でもあなた、さすがにあそこまでは少し距離があるし、コースからはずれるわよ? ちょっと危なくないかしら」
「ママ、僕もパパも山登りはもう三回目だよ? 大丈夫、滑って転びそうになったら僕が助けてあげるから!」
なんとも頼もしい小学生だこと。ふふ、いつからこんなに頼もしくなったのかしらね。ちょっと前まで「ママと離れるのはヤダー」って駄々をこねて、なかなか幼稚園にも行けなかったのに。子供の成長って早いなぁ、あれからもう六年も経つんだもんね。いつのまにかすっかり男の子になっちゃって。
……あら、いけない! もーぅ、置いてかないでよー。
「ママはやくーっ、先行っちゃうよー」
夫と息子はすでに二十メートルくらい先に進んでいた。
足が滑らないように気をつけながら進み、やっとのことで二人に追いつき合流した。雪山登山の足元の険しさは、かなりのものだった。
夫と息子の後についてしばらく進むと、あともう少しで先ほどナオユキが指差した場所、というところまで来た。
すると突然、ドドンっと低い音がして足元が激しく揺れ始めた。その振動でバランスを崩してしまい、メグミは斜面を滑り落ちてしまった。咄嗟に斜面に飛び出た岩にしがみつき、なんとか停止することが出来たが、いったい何が起きたのだろう。
夫と息子が心配になり反射的に上を見上げると、二人は転びそうになるところを、それぞれ地面に手を突くなり踏ん張るなりして、なんとかそれを阻止していたようだった。
しかし、さらにその上部からとんでもないものが迫ってきていた。
「うわっ雪崩だ! ヒロトっ! メグミーっ‼︎」
ナオユキが力いっぱい叫んだ。
メグミもヒロトもナオユキの叫びに呼応することもなく、迫り来る雪崩の迫力と危機感にただ呆然と見上げていることしか出来なかった。その間もみるみる雪の津波が押し寄せ、あっという間に間近まで迫り親子三人を今にも飲み込もうとしていた。
「い、いやぁぁぁぁぁっ‼︎」
※ 第一話『変わったの専門』なんでね 〜ウチの『変わったの専門』って 〜 に挿絵が付きました。
ぜひご覧になってください!




