第三話 ワタシ達『ディザイア・シスターズ』‼︎ 〜 はじめての 〜
また今日も萬マ殿に赴いたわけだが、いったい何日連続になっただろうか。本当に毎日来ている。マキは明日こそは来ないで済みますようにと心から願った。
「ジィさーん、いるかー?」
すると店の奥の方から声が聞こえてきた。
「おーう、マキかー? すぐ行くからちと待っとれー」
いつもジィさんは店の奥に引っ込んでいるようだが、いったい何をしているのだろうか。ま、どうでもいいっちゃいいことだが。
ややして店の奥からジィさんがスタスタと小走りで出てきた。
「すまんな、待たせたの。どうじゃ? ピッグは見つかったかの?」
期待の目を輝かせてこちらを見ている。
そんなジィさんに、コートのポケットからピッグとバチを取り出し見せつけてやった。
「ほら、この通り。ジィさんご自慢の『探索ほいほいくん』様々だったぜ」
ジィさんは「おおっ!」と声を上げ、その二つをマジマジと見つめている。そんな欲しい玩具を目の前にぶら下げられ、ウキウキを隠せない子供のように目をキラキラさせたご老体に、意地悪な質問をぶつけてやった。
「なぁこれ、どうやって使うと思う?」
ご老体は難しい顔をして答える。
「どうって……ピッグはギターを弾くんじゃろ? バチはドラムを叩けばいいんじゃないのかの? それで何か特殊な効果があるとかじゃ……違うのか?」
首を大きく左右に振って、ぜんっぜん違うと表現してみせた。もちろんジィさんは『えっ⁉︎』となっている。
「いいか、ジィさん。これはな、こうするんだよ!」
マキはピッグとバチを天高く掲げ「いでよ! ディザイア・シスターズ‼︎」と叫んでみせた。するとポンっとそれぞれがキリカとエレンに変わり、床に静かに着地した。
「ワタシ達、『ディザイア・シスターズ』‼︎ 究曲の魔Rockをお届けするわ!」
姉妹の声が揃って名乗りを上げると、戦隊モノも顔負けな変なポーズをキメた。しかも二人はなぜか自信に満ち溢れた表情をしている。
ご老体と黒コートがその奇襲攻撃に思わず呆気にとられていると、キリカが黒コートの袖を二、三度引っ張り質問した。
「なぁマキ。どうだ、キマッてたろ⁉︎ アタシもモチベ上がりまくりだぜ‼︎」
キリカは気合いの入ったガッツポーズのようなものして見せた。
ひとまずそんなアホ娘はおいといて、ジィさんの方をチラっと見ると、目が飛び出るほど見開き、口をパクパクとしていた。やはりモノが擬人化するなんて意外過ぎる展開だったのだろう。決して変なポーズを見たせいで放心しているわけではない、ハズだ
「ジィさん、大丈夫か? これが『ディオニューソスのピッグ』と『バチ』の正体だ」
放心していたジィさんは我に返り、どういうことなのか説明しろとのことだ。
ということで、これまでの経緯をざっと説明した。悪魔博士にとっても非常に興味深い内容だったようで、また目に輝きを取り戻し食い入るように聞いていた。
姉妹はというと、萬マ殿の売り物に興味を持ったようで、キャッキャいいながら見て回っていた。
「昨日のことはざっとこんな感じなんだけど、コイツら預かってもいいか?」
「そうじゃの……色々とそっちの方が都合が良さそうじゃの。そのかわし、悪魔の情報と共に二人の情報も提供するのじゃぞ。ワシといても魔Rock……じゃったかの? 出番はなさそうじゃしの」
こういう時はすんなりと受け入れてくれるから助かる。
姉妹にそのことを伝えると「えっホントに⁉︎ やったぁ、ありがとうおじいちゃん!」と、孫娘達がジージにお礼を言っているような場面になった。もちろんジィさんもまんざらでもなかったようで、満面の笑みで「いいぞいいぞ、行っといで。ほれ、これでマキに何か買ってもらうのじゃぞ」と言い、札束を渡している。
さっすがおじいちゃん、太っ腹ぁ! でも姉妹が不思議な顔で札束を眺めているのは何故だろう。
「じゃ、ジィさん。報告は済んだし、小遣いももらったし、もう帰るぜ。そのうちまた顔見せに来るから、ポックリ逝くなよ」
「ワシもまだまだ当分は現役じゃい! 次来た時も元気に迎えてやるわい!」
だそうな。姉妹も札束をマキに渡し「バイバーイ、おじいちゃん」と言うと、元の姿に戻ってポケットに納まった。
マキ一行は萬マ殿をあとにし、事務所に帰って行くのであった。
こうしてマキは、はじめての使い魔『ディザイア・シスターズ』を手に入れた。
第三話 完
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※ 第一話『変わったの専門』なんでね 〜ウチの『変わったの専門』って 〜 に挿絵が付きました。
ぜひご覧になってください!




