表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Laugh Chaos  作者: signal.U
34/66

第三話 ワタシ達『ディザイア・シスターズ』‼︎ 〜 キリカとエレン、そして愚者 〜

「みんなぁ、また来てくよなぁ!」


エレキ少女はそう言い放って舞台袖に消えた。すると、それを見計らったかのように腰のあたりで何かが暴れ出した。バチだ、『ディオニューソスのバチ』が激しく振動している。しかもただ振動するだけでなく、引力が働いているかのようにもの凄い力で身体を引っ張っていく。


おおいっ、どうなってんだコレ⁉︎ どこに行こうってんだ⁉︎


その力はマキの意思とは無関係に、バチの思うがままに足を進ませた。


会場のドアを抜け関係者用通路に押し入ると、不審者と思われたせいか数人のスタッフが確保にかかってきた。


「すまん!」


足は強制的に進むが一方だが、上半身は言うことをきく。スタッフ達に罪はないが、戦意のあるヤツはすれ違い様に素手で気絶させていった。


何人ものスタッフを沈黙させ、ようやく舞台袖に回り込んできたところで停止した。


そこでは先ほどのエレキ少女とサングラスをかけたスーツの男が立っており、二人ともこちらにビックリして口をあんぐりと開けている。


ここで停止したということは、どうやらやはりこのエレキ少女が『ディオニューソスのピッグ』を使っていたってことだろう。それにしても、何故かバチから怒りのようなものを感じる。バチが怒るわけもないんだが。


「おいっなんなんだお前は! ここは関係者以外立ち入り禁止だぞ!」


グラサン男の方が怒鳴った。しかし、反対にエレキ少女は好意的だった。


「アンタもしかして、アタシの熱烈ファン⁉︎ どうだった? 今日のライブも最高だったろ⁉︎」


またまた腰でバチが暴れ始めた。さっきよりも激しい、振動で腰が痛い。もう勘弁してくれ。


すると突然、いつものように羽織っている黒のコートの間からスルっと女の子が飛び出した。えっ⁉︎


「ちょっとお姉ちゃん! 魔力使って魅了させちゃダメってあれだけ言われたじゃない! この人が魔力に踊らされないようにワタシが中和していたのに全然効果なかったし! どれだけの魔力を使ってたっていうの⁉︎」


エレキ少女は一瞬ギョッとしたが、負けじと言い返した。


「な、なんだよエレン! なんでアンタがここにいるわけ⁉︎」


それは俺の方が知りたい。『お姉ちゃん』って言ったがこの娘達は姉妹……なのか? そもそもエレンって方の娘はどこから出てきたんだ? ん、アレ? 腰のバチがない……。


「エレン! 魔力が漏れてたのは反省してるけど、アタシはね、ずぅっっっと前からこういうライブ的なことをやりたかったの! 気持ちいいんだよ、みんなの前で弾きながら歌うのってさ。ディオ様には感謝してるけど、やりたいもんはやりたいの!」


「とにかくダメなもんはダメなの! お姉ちゃん帰るよ!」


エレンは無理矢理キリカの手を引き舞台袖を出ようとした。それを見たグラサン男は怒鳴り声を上げた。


「おいっチョット待て! 俺の金の成る木を勝手に連れてくな!」


グラサン男はエレンが引いている逆の腕を急に引っぱったので、その反動でエレンは「きゃっ」と尻もちをついた。


「いってえな! 離せよ‼︎」


キリカはグラサン男の手を力いっぱい振りほどくとエレンに駆け寄った。心配そうに「エレン、大丈夫?」と声をかけグラサン男をキッと睨んだ。


「アタシの妹に何すんのよ! このバカ‼︎」


「お前が連れて行かれそうになったから助けてやったんだろ⁉︎ お前だってもっとライブやりたいんだろ? だったらソイツと行ったんじゃダメじゃねぇか。違うか?」


「だからってアタシの妹を傷つけていい理由にはならないだろ! この単細胞!」


ひどい言われようだ。しかしグラサン男も引き下がらなかった。


「とにかくお前は俺と組めば思う存分ライブが出来るんだ、俺と来い!」


すると妹のエレンも黙っていなかった。


「お姉ちゃん! ワタシと帰ろうよ! もう魔力の乱用はしちゃダメ! ディオニューソス様が『持てる力をやたら滅多に使ってはいけません。使い所を見極めて正しく使うのですよ』って言ってたじゃない!」


キリカは俯いた。きっと頭の中で葛藤しているに違いない。好きなライブを続けるのか、それともそのディオニューソスの教えとやらに従うのか。


「アタシは……わかった、ディオ様の教えに従うわ。こんなんじゃダメだよね、力は正しく使わないとだもんね」


エレンの顔にパアッと笑顔が咲いた。ニコニコしながら、うんうんと首を縦に振っていた。しかし、グラサン男は憤怒した。


「おいっふざけんなキリカ! 俺が結んだ悪魔との契約はどうなるんだ⁉︎ 『死んだら俺の魂は悪魔のモノ』って条件で、ヤツと契約してお前をもらったんだ! そのお前が裏切るなんてありえねぇだろ!」


「アタシはたしかに力のある悪魔に従わされ無理矢理アンタに渡されたけど、言うことを聞かなきゃいけない決まりなんてないし!」


グラサン男は「えっ‼︎」と声を上げて驚いていた。まぁ、これが普通の反応だろう。


契約したんだからそれ相応の見返りがあると思っていたのだろうが、しかし相手は悪魔だ。期待する方が間違っているし、結局今回のようにどこかしら落とし穴があるってわけだ。グラサン男は死後、悪魔の奴隷として暮らすそうだ。お気の毒に。


「一つお礼は言っておくけど、ライブは本当に楽しかった。アンタは金儲が出来て良かったのだろうけど、ワタシにとっては夢が叶ったわけだから感謝してる。でもね、悪魔なんて不条理なんだから、契約に穴があるに決まってるじゃない。信じて契約するなんてアンタバカね」


キリカは胸の内を真っ直ぐにぶつけた。グラサン男はとどめを刺されたのか、膝から崩れ落ち床に両手をついた。そして何やらブツブツと小声で呟やき始めるのであった。

※修正

ステージの女の設定や表現を『十代の少女』に引き下げました。

それに伴い、各所変更を加えましたがご了承ください

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ