第三話 ワタシ達『ディザイア・シスターズ』‼︎ 〜 魔Rock 〜
「すべてを砕け! Black Thunderァァァァァァ‼︎」
ステージではまだ中高生くらいの少女が、エレキギターをギンギンかき鳴らし激しく歌い上げていた。
会場内は大いに盛り上がっており、フィナーレも近いのかクライマックスを迎えていた。
本当はもっと早く突入出来るハズだったのだが、入り口で会場スタッフに捕まり「入場チケットがなければ入れません!」と足止めをくらっていたのだった。
もちろん、そんなものは持っていないし買う金ももったいない。なのでこっそり別口や裏口あたりから侵入しようと探してみたが、どこもガッチリと固められていた。
しかし幸いなことに、マキの限界行動速度は常人が目で追える域を遥かに凌いでいる。結局、正面入口から堂々とスタッフの目を盗んで侵入したわけだが……。
ところで、ライブもそろそろ終わってしまうようだ。
「これが今日最後の曲だから、みんなしっかりアタシについてきてくれよな! いっくぜえ‼︎」
するとエレキ少女がまたギンギンとかき鳴らし激しく歌い始めた。照明が落ちている会場は、赤や青などの無数の光があちらこちらに激しく揺れていた。
エレキ少女の熱もアツかったが、会場の熱も負けじと激しかった。男も女も関係なく、曲に合わせて光る棒をリズミカルに振り、ここぞというところで「HEY! HEY!」とジャンプするのだ。
まさに全体が一つになっている。グランドスラム……人間の沸き立つ興奮が起こすこの地震のような揺れこそ、そう呼ばれるべきであろう。
そんな場面を目の当たりにし衝撃を隠せなかったのと同時に、マキはガラにもなく沸々と心の底から何かが込み上げ爆発しそうなものを感じていた。そして、やがて居ても立っても居られない状態になっていく。
気がつけば拳を天に突き上げ、光る棒はないが会場の連中と同じく、曲に合わせてリズミカルに拳を振るマキがそこにいた。
こ、これはなんて気持ちが良くて楽しいんだ。味わったことのない興奮と会場との一体感を感じる!
マキはいつのまにかすっかり会場にとけ込んでいた。
「突き抜けろぉぉぉ! 自分の壁をohォォォォyeah‼︎」
エレキ少女はギンギンと弾き放ち、ついにフィニッシュを迎えた。
「ブドウカァァァン! アタシの『魔Rock』はどうだった⁉︎ 最高だったかぁぁぁい⁉︎」
会場全体が叫ぶ。
「イエーーー!!」
ある者が叫ぶ。
「魔Rock最高!! フォォォ!!」
そしてまた他の者が叫ぶ。
「キリカちゃん最高っ!」
様々な叫び声が至る所で上がった。
なんだなんだこのライブ、こんな理性もふっ飛びそうな楽しさは何なんだ⁉︎『魔Rock』と言ったか、最高にアツいじゃねぇか‼︎
※修正
ステージの女の設定や表現を『十代の少女』に引き下げました。
それに伴い、各所変更を加えましたがご了承ください。




