第三話 ワタシ達『ディザイア・シスターズ』‼︎ 〜 探索ホイホイくん 〜
ためしにここ最近勢いのある、熱狂的ライブを繰り広げるバンドを検索してみた。しかしヒット件数も多く、全くと言っていいほど絞り込めず目星をつける事ができなかった。共振のあった昨日の夕方にライブをやっていたバンドについても、何件もヒットしてしまいさらに打つ手がなかった。
ジィさんの考えは鋭かったが、肝心の探索方法が抜けていた。どうしたもんか。
しばらく考えてはみたものの、だんだんと頭が拒絶反応を起こし始め、睡魔が襲ってくるようになってきた。
ああ、もうダメだ。ひとまず寝よう。
いつものポジションでぐったりとし、深い眠りへと落ちていくのであった。
※※※
「……マキよ。調査はどうじゃ? ワシの方は順調に進んでおる。明日、悪いんじゃがまた来てくれんか? おぬしに渡したいものがあるのでな。ではの」
っ! ウィスパーボイスか! また寝覚めの悪いものを聞いてしまった。
はぁ、なんでいつも昼寝してる時に使ってくるかなー。
ジィさんの囁きで起きるのはやはり気持ちが、気色が悪い。
しかし、どうやらなにか策を練ってるらしいので百歩譲ってひとまず我慢するとして、明日は申し訳ないが収穫なしの手ぶらで行かせてもらおう。インターネットでは調査に限界があることは伝えてやった感を出し、あとはジィさんの策に期待するとしよう。
※※※
次の日、萬マ殿を訪れた。もう三日連続だ。さすがに明日からはしばらくいいかなと思う。
「ジィさーん、いるかー」
すると奥の方から大声が聞こえてきた。
「おーう、マキか⁉︎ ちと待っとってくれー! すぐ行くからのー」
べつにそんな急がなくてもいいんだが。特にすることもないので、店の中をうろつくことにした。
相変わらずのラインナップというか、変なものしかない。『メデューサの髪の毛』、『ケルベロスの牙』、『イフリートの壺』などなど。わけのわからん物が高値で所狭しと並べられている。これ、何に使うんだ?
うろうろしていると、ジィさんが奥の方から現れ、なにやらまた怪しい物を持って来てはカウンターに広げた。
「待たせたのっ! マキよ、調査はどうじゃ? 何かわかったかの⁉︎」
「いや、もうサッパリだったぜ。ぜんっぜん目星がつかなくてお手上げだ」
両手を肩の高さまで上げ、まさにお手上げをして見せた。しかし、ジィさんは「そうかそうか」と何故か嬉しそうだった。
「そこでじゃ、マキ! この『探索ホイホイくん』ならピッグの場所が簡単に特定できるんじゃ! すごいじゃろ‼︎」
「えっマジか! そりゃすげぇな!」
件の『探索ホイホイくん』は肉屋とかに置かれている計量器みたいな形で、重さを表示するデジタルモニター部が四角い大きな画面になっている。
……どっから持って来たんだ、こんなの。
「ええかマキ。まずここの上に付いとるプレートに振動しているバチを置くんじゃ」
まず前提として振動が起きてないとわからないわけね。バチは計量器でいう計りの部分に置くようだ。
「そうすると影響を及ぼしている周波数の波をキャッチし、発信源を特定しここの画面に地図で表示することができるんじゃ!」
やたら大きくなった計量器でいうデジタルモニター部に、地図と発信源が表示されるようだ。原理はわからないがすごいな。だったら、最初から俺が探す必要なんてなかったんじゃないかと思うのは気のせいだろうか。
「ジィさん、これの凄さはよくわかったけどよ、こんなもんどうしたんだ? 電気屋には売ってないぞ」
「なに言ってんじゃいっ! ワシが徹夜で発明したんじゃいっ!! 電気屋に売っとるワケないじゃろ‼︎」
マジか、このジィさん。こんなわけのわからんもんも作れんのか。ヘルメストリなんちゃらも嘘じゃないってことなのか。それが何なのかもよくわからんけど。
「わかったわかった、さすがだよジィさん。じゃあ、この大発明のおかげで見つけられそうってことだな。あとは振動するのを待てばいいわけだ」
「いかにも。では『探索ホイホイくん』を授けよう」
両手でガシッと掴み差し出してきた。
「えっ。ここでやるんじゃないのか?」
「いつ振動するかもわからんのに、それまでここに居座るのか? ワシ、こう見えても忙しいんじゃが」
意外と冷たい。まっ帰って昼寝して待つんでいいですけどねー。
「あっそ。じゃ、帰るわ」
マキは後世にも残る……かどうかはわからないが、大発明品『探索ホイホイくん』を受け取り、萬マ殿を出て事務所に戻るのだった。




