第二話 ただもう一度だけでいいから微笑んでほしかった 〜 虚空 〜
レイコがいなくなってからというもの、タカシの心にはぽっかりと……いや、そんなかわいいものではない巨大な穴が空いた。
来る日も来る日もぼぅっとしており、何もやる気は起きず、食欲すら何処かに置いてきてしまったようである。
頭にあるのは、いつもレイコとの暖かくも慎ましい日々の想い出。そこにさらに娘のユイがいて幸せな日常であった。それ以外は何もなかった。
ユイは悲しみを乗り越えたのか、気持ちに整理がついたのか、ここのところちゃんと学校に行きだした。
しかし、タカシはまだ休暇を取っている状態であった。慶弔休暇とこれまで貯まりに貯まった有給休暇で、すでに二ヶ月近く休んでいる。
もう生きる気力が湧かない。レイコのいない人生なんて、タカシには何の価値もないように思えて仕方がなかった。いっそのこと後追い自殺をしようかとも考えたが、学生の娘もいるし、まだ金がいるだろうと思いそれはさすがに辞めた。
でもそれはユイには悪いがギリギリラインで、いつかふとやっぱりどうでも良くなって死のうとするかもしれない。
そんな日々絶望一色のタカシであったが、突然身に覚えのない一人の男が、タカシのもとに来訪するのだった。




