元アイドルの男〈6〉
お!このハンバーグなかなかイケるな。
ふーん、死後の世界っていうから、どんなひどい料理かと思えば美味いじゃねえか。
もしかして、現世のやつより美味い?
有り得そうでおもしれーなーここは!
「あ、あのう?俊さん?だいぶお酒飲んでますけど、大丈夫ですか?もしかして、もう酔っぱらってたりします?あの……立てますか?」
あ?何言ってんだ?こいつ……。
「ここでも、ヒック、才能って、ヒック、取引できるんらろ?ヒック、堅苦しいこと言うなよ、ヒック。」
「もう!完全に酔っぱらってるじゃあないですか!もう!こうなったら……最後の手段です!」
最後の手段?なんだそれ?にしても、なんだかいい気持ちだなあ……。
「よいしょっと。んーと?『エネチャージ、シーカーブラスト』!」
うわあああああ!!!!!!
どんだけ強えんだよ!この電撃は!!
おかげで正気に戻ったしまあ良しとするか。
「はい!酔いは冷めました?俊さん。」
「ああ、おかげでな。クソっ。せっかく人がいい気持ちで酔っ払ってたっていうのに……。」
「すいません、でも、そろそろ制限が来てしまうので……。」
「制限?なんの?」
「タイムアップです。レアな才能、人気の才能、レベルの高い才能などが順々に取引できなくなっていくのです。あと3時間もすれば、すべての才能の取引ができなくなり、そこから2時間すると、なにも取引が出来なくなります。」
「なるほど……制限時間があったのか。それ以外に制限はあるのか?」
「はい、取引が出来なくなって、3日後に【現世への扉】へ向かって頂かないと、怨霊になってしまいます。」
「えっと……怨霊って?」
「幽霊ですよ。他人に悪戯を仕掛けるだけの優しい幽霊もいますが、生きている人に取り付くなどの迷惑で恐ろしい幽霊になってしまう可能性もあります。」
「それは嫌だなあ。早めに取引を終わらせて、さっさと転生しようか。」
「そうする方が賢明と言えますね。」
「さて、何から買おうか。」
「こんな職業に就きたい!という希望はありますか?その職業に必要な才能を買っていけば、失敗しないと思うのですが……。」
「俺は、またアイドルをやりたいな。気心知れた仲間と、この世の全ての人他を笑顔にしていきたい。」
「それなら、やっぱり、ルックス、運動神経、リズム感や歌唱力辺りがいいんじゃないですか?あとは、アイドルはレア度がとても高いので、サイコロやマス目を買っておくことをお勧めします。」
「うん、妥当な線だな。ドラマやバラエティ番組にも出てみたいから、表現力やトーク力も買っておこう。」
「いいですね!きっと、何でもできる人になるんだろうなあ。」
「そういえば、あれはどうやって決まるんだ?」
「あれ……ですか?」
「性格、買えないんだろ?どこで決まるんだ?」
「それはですね……。」
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