兄弟の絆は永遠に 前編
舞台は三年前
お兄さんである恒生が処刑され、
魁皇はある人物と墓に訪れていた・・・
☆魁皇side☆
「これ、魁皇! 何をもたもたしておるのじゃ! 早く戦と、午後のアニメに間に合わんではないか!」
自己中心的な発言に、俺は深くため息をつく。
俺―尾上魁皇は、現在ある墓地へ向かっている。
目の前にいるのは、双子の妹でもある國立梗華だ。
「まだアニメなんか見てるのかよ。いい年してバカらしい」
「なにをいっておる! アニメは国をも超える、素晴らしいものなのじゃ! わらわがここにおるのも、アニメあってこそじゃ!」
この独特な口調も、おそらくアニメの影響だろう。
こいつとはずっと離れて暮らしていたから。それまでの暮らしは知らない。一一応すごいとこの権力を牛耳っているのだから、それ相応のことはしてほしいものだ。
「だからってこんな大事な日にそれはねぇだろ。まったく、お前というやつは」
「わ、わかっておる! 兄上もきっとわかってくれるのじゃ!」
俺達の兄―尾上恒生がなくなってから、もう二年がたつ。今日は兄貴の命日だ。
殺人事件を犯し人の人生を踏みにじったくせに、憎しみの感情はいつしか消えていた。
処刑前に、あいつとあったせいだろうか。
やっぱり人がなくなるのは、いくつになっても慣れないものだな。
「しかし天衣も天衣じゃ。命日だからと言って、わらわたち二人だけで行くことないじゃろ!」
「ま、あいつらしいけどな」
「まったく! 天衣はいつもいらぬところで遠慮するのじゃから、困ったものじゃ!」
梗華はこういっているが、天衣の気持ちもわかる気がする。
あいつもあいつで家族のことには、なるべく触れないようにしてくれているのだろう。
俺だってさすがにあの四姉妹の中に入るのは気が引ける。
かといってこいつと二人きりってのも、困るけどな。
「ここじゃな、兄上のお墓は!」
「花変えてやるか。先に水かけてあらってろ」
「ふん、言われなくてもわかっておる!」
天衣と結婚してるとはいえ、こいつとの距離は深くもなければ浅くもない。
相変わらず偉そうな態度には変わりないし、兄として慕われたこともない。
双子ってこんなものなのだろうか。いまいちわからん。
「……なあ、魁皇」
梗華から話しかけられたのは、ちょうどそんなことを考えていた時だった。
「お主は、処刑前に兄上に会ったといっておったな」
「まあ、な」
「兄上はわらわのことは、なんといっておったのじゃ?」
「別に? 元気かって聞かれたくらいだが」
「……そうか……」
いつにもまして元気がない。
さっきまでの奴と同一人物とは思えない。
さすがに心配した俺は、梗華の顔を覗き込んだ。
「どうした? いきなり塩らしくなって。らしくないぞ」
「……別に……兄上にとって、わらわはしょせんその程度の存在だったって思っただけじゃ」
「はあ? なんでそうなる」
「どう考えてもそうではないか! 何故! 何故兄上は、わらわには会ってくれなかった!? 何故わらわには何も言ってくれなかったのじゃ!」
怒っているかのように聞こえたその顔は、うっすら涙が浮かんでいた。
梗華なりに、ずっと気にしていたのだろう。
何よりこいつは、昔から兄貴を慕っていたはずだ。
俺なんかより、ずっと。
兄貴も兄貴だ。俺なんかより、梗華に会えばよかったのに。
「知るかよ、俺に当たるな」
「当たりたくもなる! 何故わらわではなく、魁皇なのじゃ! けしからん!」
「……お前、それ本人の前で言うことか……?」
「本当のことじゃろ!」
二人で怒りの視線をぶつけあう。
こりゃ一発殴らねぇとわからないようだな。
そう思い、こぶしを振り上げようとしたその時―
「ダメだよ、かいちゃん。暴力しちゃだめって、いつも言ってたでしょ?」
柔らかい声色。聞きなれた呼び名。
振り返って、声を失う。
尾上家と書かれた墓の隣にいたのはー
「久しぶり、きょうちゃん。かいちゃん」
にっこりと満面の笑みを浮かべた、尾上恒生そのものだった。
(つづく!!)
というわけで、尾上家三兄弟のお話。
私個人的に、かいちゃんがお気に入りすぎるが故、
妹やお兄さんも大好きになっちゃってます。
殺したことに後悔することは少なかったのですが、
恒生の処刑には初めてに近いほど、後悔しましたね・・・
次回、幽霊登場?!




