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あとにせぃ言うとるやろ!

とあることでバイトを始めた主人公・水瀬如月

彼女が思いを寄せるのは、イケメンマスター・神宮明王。

長い戦いの末、念願かなってお付き合いをすることに!

関西弁姉御キャラ・鈴木美宇、

清楚系天然キャラ・桜庭天衣、

お気楽なチャラ男・杉本輝流、不良系どS男・尾上魁皇

個性豊かな従業員とともに、

如月は今日も今日とて、奮闘する!

☆美宇SIDE☆


「美宇~! 今年の夏の大会最後でしょ? 最後こそテニスしよーよー!」


「ちょっと~鈴木さんは私達とバレーすんのよ!」


「今年こそ、甲子園に行かせてください!」


「だーもーやかましい! 今急いでるから、また今度な!」


そう言い捨て、全速力で生徒達の間をすり抜ける。

うち―鈴木美宇は、窮地を脱出しようと必死だった。

冥皇大学の鈴木美宇を知らん奴は、おそらく校内じゃ新入生くらいや。

それだけ有名なのは嬉しいが、困ってることもあるわけで……


「鈴木先輩! 私達卓球部に力を貸してくださいませんか!?」


「私も! ぜひ陸上部の大会に!」


「だ~か~ら~! 後にせぃ言うとるやろ! 今忙しいんや!」


ああ、もう。腹立つ。

部活の助っ人を頼まれるのはうちだってまんざらでもない。

だが! これはないやろ!

お前らには耳がないんか!?

うちは忙しいからまたあとで、って言っただけやん!

ええい、こうなったら力づくで……


「部活動生のみなさ~ん、お疲れさまで~す。クッキーが焼けたので、一人一つずついかがですか~?」


家庭科室から出てきたクッキーの差し入れに、みんな釘づけになる。

人ごみの中をかき分け、物陰に隠れると安堵の息が漏れた。


「大丈夫でしたか? 美宇ちゃん」


そんなうちを見かねてやってきたのは、親友の桜庭天衣。

家庭科サークルの部長で、彼女が作るものは校内一番といわれる有名人だ。

彼女の手には袋に包んであるクッキーが握られていた。


「サンキュー、天衣。ナイスタイミング」


「困っていたようだったので。あ、これ差し入れです」


「おおきに」


「相変わらずすごい人気っぷりですね。まるで芸能人みたいです」


「嬉しくないわ」


そういいながら、クッキーを一つほおばる。

うん、うまい! さすがは天衣!


「そういえば、急いでいたみたいでしたが何かありました?」


ああああああああああ!!!!


「せやったあ! 今日命日で、これから凪と墓参りなんやった! 天衣、クッキーごちそうさん。ほな、またな!」


「あ、はい。お気をつけて」


大きく手を振るうちに、彼女は優しく笑いかけてくれた。


命日。それは人が亡くなった日。

何回目の命日だろうと、バイクを運転しながら思う。

小学の時に実の両親がなくなり、あげくのはてに育ててもらった養父までもうちのせいで亡くなった。

今は遠い親戚と一緒に日向神社で生活している。


今日は養父達の命日だった。

うちにとってはただの育て親なだけかもしれん。ただ、彼にとっては―……


「全然来れなくてごめんね。今、キレイにするから待ってて」


バイクを降り、聞きなれた声に辺りを見渡す。

うちの養父が眠っている墓を洗っているのは、一人の青年だ。

日向凪、うちのいとこ。

高校二年生とは思えないほどの長身と、女のように美しく整った顔が特徴。

うちが……思いを寄せている相手……


実の両親を早くに亡くしたせいか、ものすごくしっかりしている。

そのせいか彼は、親の顔さえ覚えとらん。

墓を洗う凪の横顔は、いつにもましてきれいに見え

た。


「あ、美宇姉。来てたの?」


「ほえ!? ま、まあな。ちょっとおそうなってしもうたわ」


「大丈夫だよ、僕もさっき来たばかりだし。墓、一緒に洗おっ」


凪に言われ、うちは布巾を手に取る。

彼がまいた水できれいに墓を磨いてゆく。


「めっちゃキレイにして、養父さん達を驚かしてやるで~♪」


「美宇姉は本当に掃除好きだね」


「キレイにしたら、心とかすっきりするやん?」


「それもそうだね」


そういうと、なぜか凪は水をかけた手を止めてしまった。

彼の顔が、心なしか寂しそうに見える。

風でなびく凪の姿が、いつにもましてかっこよく見えて……


「ねぇ、美宇姉」


「な、なんや凪」


「僕のこと、好き?」


!!!?


(つづく!)

いよいよ第三部、スタートです!

なんとスタートは、初となる如月以外の面子視点!


第一部以来の登場となる凪ちゃんですが、

次回からも懐かしのメンツが登場します!


次回は天衣ちゃんの様子です♪

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