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千夜一夜  作者:
(5)消された想い出

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第二十章 吟遊詩人アベルと王太子アルベルト(1)

「アベルが倒れた?」


「詳しい事はわからない。精神的なショックらしいとしか」


「それであたしに協力要請が?」


「できるならアベルを助けてやって欲しい。あの子には随分世話をかけた。今度は私たちがあの子を助ける番だ」


 シスターエルの脳裏に生死の境を彷徨っていたアベルに、意地を張って付き添わなかった結果、マリンと仲違いした記憶がよみがえった。


 同じ後悔は、二度と繰り返したくない。


 シスターエルは決意した。


「宮殿に行くわ。今度こそアベルを助けたい。もう後悔したくないの」


「頼むよ、エル」


「任せてください、シドニー神父」


「ありがとう」


 お礼を言うシドニー神父に、シスターエルはかぶりを振るのだった。




「お兄ちゃんが倒れたの?

あたしにできることならなんでもする! だから!」


「協力してくれるね、フィーリア」


「うん! お願いお父さま! お兄ちゃんのところに行かせて!」


「フィーリア。アルベルト様をお願いね」


「うん。姉様の分まで頑張るから。だから、姉様も早く元気になってね?」


 こうしてリドリス公爵家からは、次女のフィーリアが、宮殿に向かうことになったのだった。



 一方宮殿では。



 一番の難関だと思われていたシスターエルが、一番に快諾したため、最難関はマリンになってしまっていた。


 レティシアが、何度頼んでも、マリンは、心苦しそうな顔するだけで、絶対に頷くことはなかった。


 シスターエルが自分から引き受けてくれたため、特にすることのなくなったレイティアは、自ら進んでマリンの説得に当たった。


「どうして協力してくれないの? いつものあなたなら王族絡みなら、二つ返事で引き受けているはずなのに。引き受けられない理由でもあるの?」


「そのレイティア様。私は」


「フィーリアが参りました。入っても構わないでしょうか?」


 リドリス公爵の声にケルトが応じた。


「構わない。入れ」


「失礼致します」


「お久しぶりです。国王陛下。リドリス公爵令嬢フィーリアでございます。お招きに従い参上いたしました」


 最上級の挨拶をするフィーリアに頷いて見せて、ケルトは聞いてみた。


「来て早々悪いが聞きたいことがある。構わないか?」


「はい。なんでしょうか? 陛下」


「マリンが珍しく此度の協力を拒んでいてな。フィーリアに心当たりがないかと思って」


「ああ。それなら」


「「「わかるの(か)?」」」


「言うとマリンお姉ちゃんに叱られるかもしれませんが、マリンお姉ちゃんとお兄ちゃん、いえ、アルベルト殿下は、仲がいいとは言っても、喧嘩友達に近く、いつもマリンお姉ちゃんが殿下に食ってかかって、殿下がそれを流すと言った感じでした。レティシア様が孤児院にきたときも、そうでしたし。身分がはっきりした今、さすがにそれはできないのではないかと思います」


 不敬罪ですからとフィーリアが言って、ケルトたちもようやくマリンが渋っていた理由を理解した。


「今回の問題が片付くまで、その間は罪に問わないと言っても引き受けられないか?」


「お言葉はありがたいのですが、心理的にできそうにありません。近衛に過ぎない私が、世継ぎの君に喧嘩越しで会話するなんて。恐れ多くて」


「ならばマリンが望むなら、この件が片付けば、アルベルトの側室に迎えても良い。側室候補なら身分の差は、さほど気にならないだろう? それでもダメか?」


「陛下。お戯れはおやめください」


「戯れではない。そのくらいマリンの力を必要としているということだ。それにあくまでも候補だから、マリンが望まないなら、近衛に戻れる」


 ここまで言われて断るのも不敬罪である。


 マリンは諦めた。


「わかりました。不敬罪ということは、この件のあいだは忘れます。でも、公私混同になりそうなので、側室候補というのはご辞退頂ければと」


「それはアルベルトが相手では、結婚したくないという拒否ととっていいのか?」


「いえ! そういう失礼な意味はなく、単純に側室になると近衛ができないと言いますか。近衛として姫様方を御守りすることは、私は命懸けでやっていますので」


「つまり結婚と仕事を秤にかけて、仕事をとるという意味か」


「はい」


「それではマリンの女としての幸せは?」


「近衛は肉体が衰えてくると、できなくなる仕事だ。そのときマリンが結婚していないと、さすがに年齢的に結婚は無理となる。そのときマリンの幸せはどこにあるんだ?」


「近衛ができなくなったとき? 考えたこともありませんでした」


「夫を迎え子供を育て、できるあいだは、近衛を続ける。そういう幸せの形は考えたことはないか?

勿論その相手がアルベルトである必要はないが」


「陛下はそんなことまで考えて下さっていらしたのですか?」


 この問いにはケルトは答えなかった。



 どうでしたか?


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