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千夜一夜  作者:
(4)恋心と嫉妬の戒め

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第十八章 恋心と嫉妬の戒め(2)

ハーレムって実際にはどんなのでしょうね?

よく分からないまま書いてますり

 フィーリアの訪れから、しばらく考え込んでいたアベルだが、突然ケルトの来訪を受けて驚いた。


「叔父さん、急にやって来るなんてどうしたの?」


「ああ。ちょっと相談したいことがあってな」


「なに? 急に相談て」


 甥に勧められるまま、ケルトはソファーに腰掛けた。


「さっきフィーリアが来ただろう?」


「あ、うん」


「フィーリアから聞かなかったか? 今リアンがどうしているか」


「聞いたよ。俺のほうからも叔父さんに相談に行こうと思ってたところだよ。俺のせいでリアンが心を病んでたなんて」


「あまり気に病むな。今回のことは誰も悪くない。そなたの立場的には仕方がない処置だったのだから」


「でも、フィーリアに言われたんだ。どうして嫌いじゃないなんて曖昧な断り方をしたんだって」


「アルベルト」


「叔父さんには裏切りに聞こえるかもしれないけど、俺さ、リアンのこと本当に嫌いじゃなかったんだ」


「それは裏返すとひとりの異性として好きだったという意味か?」


「勿論レイやレティのことも好きだよ? でも、リアンのことも同じくらい好きだった。ただ家のことを考えると受けてはいけない気がした。だから断っただけで、好きだったからこそ、嫌いだからだとは思われたくなかった。結局俺の傲慢さが招いた事態なんだよ、これは」


「ハーレムを否定していた割には、随分柔軟に受け止めていたんだな、本当は」


「選べないっていうのが、本当のところなのかもしれない。優柔不断すぎたかな」


「選べない3人の中で、意思表示が許されたのがレイとレティというわけか」


 それはまあハーレムも受け入れるわけだ。


 断って誰かを傷つけるより、

ハーレムを受け入れるほうが、優しいアベルには簡単な選択肢だったのだろうから。


 そんな中でどうしても受け入れるわけにいかなかったのが、公爵家の後継問題の中心にいるリアンだったと言うところか。


 どんなに好きでも、家絡みで断るしかなかったと。


 まあリアンに対する印象を聞いた時点で、こうなる予感はしていたが。


 だから、くどくなるほど公爵に釘を刺したし、アベルが自覚しないことを願ってもいた。


 なのに人生そうそう上手くはいかないものだな。


「リドリス公爵からリアンをアルベルトのハーレムに入れてやってほしいと打診があった」


「え? じゃあ公爵家はどうするんだ? 養子縁組したとはいえ、直系のリアンがいるんだ。フィーリアには継げないだろ?」


「だから、異例中の異例として、妃としてではなく側室としてだ。早い話が愛人としてハーレムに入れてほしいそうだ」


 言われて暫く考えてから、アベルは疑問を口に出した。


「側室の産んだ子には、確か王位継承権は」


「そう。持てない。リドリス公爵の言葉を借りるなら、そういう扱いにすることで、リアンの子供は王族ではないから、リドリス公爵家に引き取ることで、正統な受け継ぎが可能になるそうだ」


「そういう手段でも使わないことには、リアンの気持ちは認められないってことか」


「で。今アルの気持ちも聞いたし、リドリス公爵からの提案は、きちんと伝えてる。アルはどうしたい?」


「リアンの病状を思うと、受けるしかないんだろうなと思ってる。ただ俺にも条件があるよ」


「なんだ?」


「リドリス公爵家に養子に出せるのは男子二名のみ。令嬢たちや三男が産まれた場合は、俺が育てる。継承権はなくても俺の子なんだから」


「まだ続きがありそうだな」


「うん。あのさ、叔父さん」


「ああ。なんだ?」


「今日フィーリアからリアンのことを相談された。そのときフィーリアからも告白されたんだ」


「え?」


 驚きすぎて声が出ないらしいケルトに、アベルは迷いながら自分の気持ちを口にした。


「フィーリアのことは大事だと思ってる。どう思ってるのかは正直わからないんだ。でも、俺が断ったら、フィーリアは好きでもない男と婚約させられると思ったら、物凄く腹が立った。何故腹が立って仕方なかったのか、わからないんだ。でも、断りたくないと思ってる」


 ここまで一息に言ってから、アベルは首を傾げて、叔父に問いかけた。


「どう思う? 叔父さん? 俺軽率かな?」


「フィーリアのことだが、ズバリ聞く。ひとりの女として抱けるのか? 妹ではなく女としてだ。どうだ?」


「わからない。でも、他の男を想像すると、やっぱりムカつく。それが答えじゃダメかな?」


 妹という認識は、やはり大きく簡単には変えられない。


 でも、妬いていることは隠さない。


 ただ嫉妬は兄代わりでもする。


 妹に近付く男に嫉妬する兄は多い。


 年齢が離れているほど、それは顕著になる。


 アベルとフィーリアとの年齢差は、恋愛に発展しても不思議のない微妙なものだ。


 フィーリアが成長したこともあって、今の彼女なら女として見ることも可能だろう。


 ケルトは段々頭が痛くなってきた。


 アベルのハーレムにもっと人数をという嘆願は前からあった。


 リアンを側室にアベルが望むなら、フィーリアを妃に迎えても、まだ足りないくらいだ。


 だから、問題ないと言えばないのだが。


 新婚生活を夢見ている娘たちが、可哀想だと思うのは父親だからだろうか。



 どうでしたか?


 面白かったでしょうか?


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