第十四章 秘められた想い(6)
だが、国王陛下の不興を買うのは確実だった。
素性を知ったときにクギを刺されたこともあり、恐らく不機嫌になってリアンを遠ざけようとするだろう。
あの御方ならそのくらいはやりかねない。
なにしろ前王が健在であの方がまだ王宮にいらした頃。
兄王子と親しくするリドリス公爵を煙たがって、何度も遠ざけようとした過去があるのだから、あのときの行動が繰り返されるのは目に見えている。
陛下にとってアベルの存在意義をそのまま兄王と同じものだから。
「頭が痛い」
「陛下のご不興を被ることが怖いのですか?」
「そんなことを恐れはしない。それこそ今更だろう? 前王が健在だった頃から、わたしは煙たがられてきた。即位した後にどうしてわたしを宰相に選んだのか、そちらの方が謎なのだから」
リドリス公爵のこういうところが、ケルトのお眼鏡に敵ったのだが、彼は気付かない。
ケルトを恐れず意見するから、彼は公爵を重用するのだという事実に。
権力には靡かない姿勢の大切さをケルトは亡くした兄に教わった。
そして兄が親友と自負していたリドリス公爵は、それを体現している人物だった。
兄の死後、王となったケルトに媚びへつらう者ばかりだった宮廷で、ただひとり素直に受け入れなかった者。
ケルトを恐れず間違っていることは、間違っていると正面から指摘してきた者。
それこそがリドリス公爵だったのだ。
だから、ケルトは彼を宰相に選んだ。
兄が彼を親友とした意味が、初めて理解できたから。
それは公爵には予想外の動機だったけれど。
「頭が痛いのは隠せないことはわかっているが、打ち明けたときにリアンが不遇な立場に追い込まれそうで、それが気掛かりだという意味だ」
「なるほど」
リーズ夫人は立場的にあまり国王陛下の人柄を知らないので、夫の言葉にようやく納得した。
確かにこれ以上、娘を不遇な立場には追い込みたくない。
そうなるとわかっていたら、夫が気にするのも理解できた。
「でも、あの子がいつまでも自分を卑下しているのも……」
「そうだ。親としてとても放置できない。なんとかその悩みを解決してやりたい。そのためには陛下に事実を打ち明けるしかなく」
気が重いとため息をつく夫に奥方もため息を返すのだった。
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