穴掘りゲームセット【野菜スティックと野菜ジュース】
全面改稿中です。
何話か投稿しますが、基本的に長い話を2~3話に分割して再構成したものなので、真新しいネタは特にありません。
参考ゲーム
ディグダグ
ミスタードリラー
「ど・ど・どりる♪ どどどどどりる♪」
どこかで聞いたことのあるフレーズを歌いながらひたすら穴を掘っていた。
「なんだこのゲーム」
「『ミス・ドリラー』の『ディクタス』よ」
「……聞いたこともないな」
ミス・ドリラーはもともとディクタス3として開発されていたゲームらしい。
その名残りでミス・ドリラーはディクタスの娘という設定だ。
古いゲームなのでディクタスはミス・ドリラーに収録されている。
「まずはこっちか」
最初はディクタスをセレクト。
すると主人公が画面の上から現れ、ステージの真ん中までドリルで穴を掘った。
地 上
━━━━━━━━━━
□ 岩
□
□ □
□敵□□ □ 敵
□ □
□主□ □
□敵□□
岩
※ □は穴 それ以外は土
これが初期配置らしい。
ここから穴を掘り(移動すれば自動的に穴を掘るのでボタンを押す必要はない)、敵に接近。
ボタンを押すとモリを発射した。
そのモリにはホースがついており、さらにボタンを押すと敵に空気を送り込んで膨らませた。
パン!
3回空気を送り込むと破裂する。
……グラフィックこそコミカルなものの、冷静に考えたらえぐい。
膨らませた状態でモリを抜いた場合、敵は空気が抜けるまで行動不能になる。
主人公は敵に当たると即死するのだが、膨らんでいる状態の敵は横を通り抜ける(すり抜ける)ことができた。
「ん、なんだこれ? こっちに来た!?」
敵の体が透明になり、目だけになってこちらへ近づいてくる。
「『目変化』よ。理屈は未だに不明だけど、この状態になると穴を掘ってない土を移動してくるの」
しかも主人公を追ってくる。
「うああ、速い!?」
穴での移動スピードは敵の方が速いらしく、一度に複数の敵が穴に来ると危険だ。
モリを飛ばして膨らませ、動きを封じてから確実に一匹ずつ仕留めていく。
「あ、逃げた!?」
最後の一体になると、敵が地上へ逃げ出ていった。
敵を逃がしたらゲームオーバーかと思いきや、何事もなかったかのように次のステージが始まった。
「なんで敵が逃げてもクリアになるんだ? これだと最後の一体は倒すだけ損だろ」
「ハイスコアのためよ。土は色で4つの層に分かれてるでしょ? 深い層で倒すほどポイントが高いから、上に逃げられるとポイントが減っていくわけ」
「なるほど」
ハイスコアを狙うなら、なるべく敵を下層に誘い込んだ方がいいらしい。
確実にポイントを狙うのなら、下層の敵を最後まで残して、上に登ってきたところを狙ってもいい。
「ん? さっきと同じ層で倒したのにポイントが違うぞ」
「縦から攻撃するか、横から攻撃するかでも違うの。このドラゴンっぽいのは火を吐いて攻撃してくるけど、横にしか吐けないから縦に攻撃してもポイントが少ないのよ」
地上もしくは第一層で縦から攻撃すると200ポイント、最下層で横から攻撃すると1000ポイント。
5倍は大きい。
「敵は2種類しかいなくて……。この足の生えたボールみたいなのは火を吐けないから縦でも横でもポイントは同じ。最大でも500ポイントだから岩で潰した方がいいわね」
岩の下を通過すると2秒後に岩が落ちる。
タイミングは難しいが1匹倒せば1000ポイント。
2匹なら2500ポイント。
一度に倒す数が多いほどポイントも増えるらしい。
なぜ岩は落ちるのに、主人公と敵は縦穴でも落ちずに移動できるのかが微妙に気になる。
そこは突っ込むだけ野暮なのだろう。
とりあえず慣れるまでは慎重にプレイする。
「変わったBGMだな」
「主人公の動きに連動してて面白いでしょ」
主人公が移動するとBGMが鳴り、止まると警告音のようなものが響く。
主人公の動きとシンクロしていて心地よい。
最後の一匹になるとBGMはさらに変化した。
「無駄に移動したくなるな」
「でしょ?」
こういう仕様だと、できるだけBGMを途切れさせたくない。
すると常に動き続けることになり、プレイヤーは自然と音楽に乗る。
音ゲーといえないこともない。
よく考えられたゲームデザインである。
「だいたいコツはつかめてきたな。真っ直ぐ進むより、階段状にジグザグに進んだ方が移動スピードが速い」
□□
□□
□□
□□
「モリは薄い壁も貫通できる」
□□|□□
↑
完全に穴を掘らなくても、モリは壁を貫通して攻撃できる
「……ってドラゴンの火も壁抜けてきた!?」
「そりゃモリが貫通するんだもの」
薄壁があるので敵はこちらに来ないと油断していた。
ドラゴンを横から攻撃する時に薄壁は厳禁。
「なぜかその場で空気を送り込むよりも、敵に近づきながら空気を送り込んだ方が早くパンクできるみたいだな。それと岩を2つ落としたら出てくる『野菜』」
野菜はポイントを獲得できるアイテムだ。
ステージごとに種類が違い、先に進むほど高得点の野菜になる。
岩を落として確実に野菜を取り、最下層に敵を誘導して薄壁越しに横から攻める。
ポイントの低い敵はできるだけ岩でまとめて倒す。
しかしそれが難しい。
「……岩が落ちるまでの間が曲者だな」
「タイミングを調節するのが難しいのよね。敵にモリを刺して膨らませるのが一番確実よ。もしくは岩まで縦に突き進んで、岩の下で曲がる方法」
岩
→→
↑
↑
主
□
敵
敵
敵
敵
敵
口で言うのは簡単だが、敵の方が速いので成功させるのは意外に難しい。
特に数匹まとめて潰すのは至難の業だ。
「なんか似たような面を繰り返してないか?」
「このゲーム、終わりがないのよ。ゲームオーバーにならない限りずっと続くの」
レトロゲームによくある無限ループだ。
キリがなさそうなので、適当なところで切り上げる。
「野菜スティック弁当食べたい」
「……なんだ、弁当って?」
「アニメに出てきのよ。にんじん、きゅうり、セロリ、キャベツ、大根のスティックね」
「大根は珍しいな。味噌にマヨネーズとにんにくを混ぜてディップにしよう」
「美味しそ」
にんじん、きゅうり、セロリ、キャベツ、大根にパプリカを加え、スティック状に切ってグラスに挿す。
にんじん、きゅうり、セロリとパプリカはうちの店でよく野菜ジュースにしている。
簡単で変わり種のものだと、赤と黄色のパプリカとジンジャーエールを混ぜてレモン汁で味を調えたジュースか。
ビタミンCが豊富で肌にもいい。
「なんか一人だけスコップ持ってるキャラがいるぞ。明らかにキャラデザも違うし」
「それは『アイドルマイスター』の雪ね。なにかあると『穴掘って埋まってますー』っていうのが口癖だったんだけど、ネタにされてる内に本当に穴を掘るようになったの」
「同じ会社のゲームだからコラボしてるのか」
「そういうこと。ミスドリラーでは穴を掘るスピードが速くて初級者向けのキャラなのよ」
初級者向けということなので雪を選択してゲームを始める。
画面には4色のブロックが積み上がっていた。
「ブロックは同じ色のものを4つ以上繋げると消えて、一度にたくさん消すほど高得点。繋がってるブロックを掘ると、そのブロックたちはまとめて消える。ブロックに潰されたら一機消滅。それと地下だから『エア』、つまり酸素値があって徐々に減っていくの。これが0になってもダメ」
落ちてくるブロックを避わし、酸素カプセルを拾いながら地下500メートルを目指すゲームらしい。
「真っ直ぐ下に掘り進めれば簡単にクリアできるんじゃないか? 横に掘らない限り、上からブロックが落ちてくることはないだろ」
□□□↓□□□
□□□↓□□□
□□□↓□□□
□□□↓■□□
□□□→主□□
※真下に掘る限り安全 横に掘ると■が落ちてきて死ぬ
「×印のブロックがあるでしょ。このブロックも4つ以上繋げると消せるけど、このブロックを掘っちゃうと毒ガスが噴出してエアが20減るの」
「これのせいでずっと真下に掘り進めることはできないわけか」
「そうそう」
しかも下に行くと、酸素カプセルは×ブロックに囲まれる形が多くなる。
□×□
×A×
□×□
穴が深くなるほど×ブロックは増えるという。
周りのブロックを掘り、いかに×ブロックを崩して酸素カプセルを取るかが鍵だ。
「あえて×を壊すのもありね。×で減るエアは20、でも酸素カプセルを取ると22回復するから。それに1個取るごとにポイントが増えるわよ」
1個カプセルを取ると100ポイントで、以降カプセルを取るごとに100ずつポイントが増えていくらしい。
最終的には8000ポイントを越えるという。
ハイスコア狙いなら、リスクを覚悟で×ブロックを破壊した方がよさそうだ。
「基本は屋根作りね。繋がったブロックは下に落ちないから」
■■
□
□主
※繋がってるブロックは下に落ちない
主
↓■■
→↓□
×↓□
□↓□
※ ■は落ちないので、これを屋根にして安全を確保しながら下に進む
主
↓■□
→↓■←左上のブロックがここで繋がり屋根ができる
×↓□
□↓□
ブロックは掘ってから落ちてくるまでにタイムラグがあるので、横に掘り続ければ死ぬことはない。
ただし横に掘り続けると上の安全を確保しにくくなるし、無駄な動きが多くてエアも確保しにくい。
緊急回避のための技だろう。
なお同じ色のブロックとくっつかない(屋根を作れない)ホワイトブロックや、一定時間が経つと勝手に壊れる(ブロックが一段下がることで屋根が消えたりする)クリスタルブロックなどもある。
ルールはそれほど複雑ではないので、すぐに慣れた。
「じゃあ対戦しましょ」
「勝てるわけないだろ」
「大丈夫よ。ハンデとして私は緑と青のブロックしか掘らないから」
「それならいいか」
「ならディクタスモードね。これはディクタスの敵がうろうろしてて、ぶつかったら一機消滅。ブロックで潰すか、パンクさせないと倒せないんだけど……。パンクさせる場合はエアを消費するの。おまけに目変化してくるし」
「……最悪だな」
「ただ空気で膨らんでる敵もいて、これにモリを刺すとエアを補給できるのよ。ディクタスモードではこれでしかエアを補給できないの。ちなみに勝利条件はブロックの中に隠れてる野菜を先に3個取ることよ」
「すべては運次第か」
運の要素もあるので、より多くの色を掘れる俺の方が有利だ。
『スタート!』
4色(×・ホワイト・クリスタルを含めれば7色)掘れる利をいかして掘りまくる。
しかし、
「えい!」
「な!?」
いきなりモリで刺され、空気を注入される。
破裂こそしなかったものの、空気が抜けるまで5秒かかった。
その隙にブロックを掘られまくり、あえなく1つ目の野菜を奪われる。
「せこいぞ!」
「攻撃しないとは言ってないでしょ」
「……この野郎」
モリを飛ばして反撃するものの、あっけなくモリで撃ち落とされた。
逆にそばにあるブロックを消され、×ブロックに押しつぶされる。
これでまた5秒行動不能になった。
瑞穂が勢いに乗って下へ掘り進める。
画面下からさらに掘り進めれば、とうぜん掘った分だけ画面は縦にスクロールする。
上部にいた俺のキャラはスクロールすることで画面の外に消えてしまった。
そこから復帰するのにさらに5秒。
「くそ、これでどうだ!」
瑞穂にブロックを落とす。
「甘い」
「げ!?」
モリを上に飛ばしてブロックを破壊した。
ミス・ドリラーでは離れた位置にあるブロックは破壊できない。
だがこれはディクタスモード。
モリを飛ばせば破壊できるのだ。
「エアはいただくわよ」
「ぐ」
敵のエアを先に奪われ、俺のエアは0になった。
再び復帰に5秒かかる。
4色掘れるから有利だと思ったのが甘かった。
空気注入、ブロック落とし、スクロール、エア不足、そしてディクタスの敵の5重苦。
5秒、10秒、15秒と次々に行動不能時間が伸び、あっさり全ての野菜を奪われた。
「ふふん、これで私の勝ちね!」
……穴があったらこいつを埋めてやりたい。
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