太鼓ゲームセット【太鼓焼きと玄米茶】
全面改稿中です。
何話か投稿しますが、基本的に長い話を2~3話に分割して再構成したものなので、真新しいネタは特にありません。
参考ゲーム
パタポン
ドンキーコング ジャングルビート
「せっかく太鼓型コントローラーがあるのに、太鼓の名人しかプレイできないのはもったいないですね」
「なら『パカポン』やってみる?」
マイナーなゲームのパッケージを取り出した。
「変な生き物だな」
「未確認動物」
目に手足が生えているような生物だ。
これがパカポンらしい。
「これは横スクロールアクションで、太鼓を叩いてパカポンに命令するのよ」
「アクションなのか」
リズムは4拍子。
タン・タン・タン・タンと4回叩き、入力したコマンドによって命令が変わる。
基本は前進、後退、攻撃、防御。
コマンドを覚えるのにちょっと手間取りそうだが、説明書にコマンドは記載されているので何とかなるだろう。
4拍子なのでゆっくり入力できる。
なおパカポンが行動中に太鼓を叩いてしまうと、パカポンのリズムが乱れて動きが止まってしまう。
要注意だ。
「いー・ある・さん・すー!」
敵の動きを見てタイミングよく後退した。
攻撃を避わせないようなら防御をしてこらえ、反撃に転じる。
『フィーバー!』
「ふぁっ!?」
「なんだこれ?」
「リズムよく太鼓を叩き続けるとパラメータが上がるのよ。素早くフィーバーして、ずっとリズムよく太鼓を叩き続けてフィーバーを維持するのが基本なの」
「ステージ攻略中はずっと4拍子で叩き続けないといけないんですね」
4拍子で叩くことは難しくないものの、
「しっと!」
戦いが激しくなってくるとどうしてもリズムがずれる。
フィーバーが終わり、パカポンの動きも止まってしまう。
そこからまた再始動するのも意外に手間取る。
このゲームはBGMが4拍子で、ちゃんとBGMに乗って4拍子のコマンドを入力しないといけないのだ。
戦闘で焦っているとBGMを聞かずにコマンドを入力してしまう。
一度のコマンドで移動できる距離が短いのももどかしい。
パカポンには狩りゲー要素があって、モンスターの落としたアイテムを拾わなければならないのだが、一定時間が経つと消えてしまう。
移動距離が短いので見えているのに取れないことがたまにある。
目の前の敵をスルーできないのも痛い。
パカポンは前衛・中衛・後衛に分かれており、中衛は投げ槍、後衛は弓矢で攻撃する。
中・遠距離武器なので、遠くにいるモンスターを倒すこともできるのだ。
当然、目の前の敵の後ろにいるモンスターも。
モンスターはスルーできない上に、一度のコマンドでパカポンが攻撃する回数も決まっている。
つまり効率よく敵を倒そうにも、常に一定の時間がかかってしまうわけで、タフなモンスターの後ろに出現したアイテムは時間切れで消えてしまう。
倒せなくても後ろにさがらせることはできるので、どうしてもアイテムがほしいなら、防御や後退をせずに畳みかけるしかない。
ダメージを受けるのが嫌なら、モンスターを倒す順番や、攻撃する位置を考える必要がある。
ようするにタフなモンスターの後ろにアイテムが落ちないようにするのだ。
戦闘システムは単純だが、色々と工夫できる要素があってなかなか面白い。
これでBGMを自分で変えられたら最高だろう。
アップテンポの曲にして、素早くコマンドを入力し、ハイスピードで動き回ってみたい。
敵がBGMを変えてきても楽しそうだ。
「こういう音ゲー的なアクションって他にもあるのか?」
「さすがにあんまりないわね。『家電ライダー茂鬼』のゲームが太鼓型コントローラーに対応してるけど、曲と音符がリンクしてないからリズムに乗れないし。やるなら『ジャングルヒート』ね」
パッケージからすると、超万里夫兄弟と並ぶ有名キャラクター『ドン・コング』のゲームらしい。
「これは面白いのか?」
「面白いわよ。コントローラーからしてこれだし」
「タル、ですか?」
「太鼓の名人のスタッフが作ったコンガゲームのコントローラーよ。太鼓の名人と違って手で叩くの」
「バチが手になっただけか」
「クラップもできるんだから」
「拍手?」
「コンガとコンガの間に集音センサーがあって、プレイヤーが手を叩くとその音を拾ってくれるの」
「……これでどうやってアクションゲームの操作をするんだ?」
「やってみた方が早いわよ」
「そうだな」
ジャングルヒートをセットしてプレイしてみる。
右のコンガを叩くと右に、左を叩くと左に動いた。
連打するとダッシュ。
左右のコンガを同時に叩くとジャンプ。
クラップは音波攻撃だ。
手を叩いて音波を放ち、敵を攻撃する。
音波を食らった敵は一定時間行動不能になり、動けない敵にドン・コングが近づくと特殊画面に切り替わった。
ドン・コングが敵に馬乗りになっている。
「連打して!」
「れ、連打?」
よくわからないが、言われた通り左右のコンガを連打する。
ダダダダダダダダ!
「おおう!?」
するとドン・コングが敵を滅多打ちにする。
『虎が如く』でもマウントポジションから相手をタコ殴りにするアクションはあったが、連打のレベルが違う。
殺す気満々だ。
「爽快感あるな」
「でしょ?」
クラップは音波攻撃だけでなく、特殊なアクションボタンでもあった。
なにかありそうな場所でクラップすると、ドン・コングが特殊なアクションをする。
周りに大量のバナナがあれば手を伸ばしてまとめてキャッチし、鳥がいればそれにつかまって空を飛ぶ。
敵がヤシの実を投げてきたらそれをトスし、
「アタック!」
真上に上がったヤシの実へタイミングよくジャンプしてコンガを叩くと、ドン・コングがバレーのスパイクのようにヤシの実を弾き飛ばす。
ドン・コングが向いている方向とは逆のコンガを叩くと(たとえば右を向いている時に左のコンガを叩くと)、オーバーヘッドキックで逆方向にヤシの実を蹴り飛ばす。
これがまた気持ちいい。
リズムに乗らないので音ゲーではないが、テンポよくコンガを叩いてクラップするのは癖になる。
問題があるとすれば、
「……手がしびれてきたぞ」
「それだけ激しく叩いてればそうなるわよ」
コンガ型コントローラーを素手で叩く上に、クラップで何度も拍手するので手が痛い。
長時間のプレイには向かないゲームだ。
「コンガは別に叩く必要ないわよ。表面を押せば入力されるから」
「たしかに入力されるな。でもクラップはどうしようもないだろ?」
「クラップも同じよ。集音センサーのある場所を指で叩いてみて」
「指?」
タン
『ウホッ!』
「クラップした!?」
「クラップっぽい音を立てれば感知してくれるってわけ」
「こんな裏技が……」
「面白さは半減するけどね」
だが手を休めるにはちょうどいい。
コンガを押し、指でセンサーをごまかしながらステージを突破し、ボス戦へ。
戦闘方式は正面からの殴り合い。
右を叩くと右フック、左を叩くと左フック。
「食らえ!」
交互に叩いて連打を叩き込もうとするものの、
スカッ
ボスは上体をそらしてこちらの攻撃を避わし、反撃に転じた。
「クラップして!」
「お、おう!」
パンッ
するとドン・コングもボスと同じく上体をそらし、パンチを避わした。
「なるほど、そういう駆け引きか」
パンチを避わした後に攻撃するとボスがのけぞり、
ダダダダダ!
連打を叩き込むことができる。
ただのボタン連打では味わえない好感触。
コンガ型コントローラーならではの爽快感だろう。
これでもう少し音ゲー要素があったら完璧だ。
ただでさえ専用コントローラーは高くつく。
音ゲーしかやれないのは惜しい。
こういうゲームが増えれば太鼓の名人ももっと売れると思うのだが……。
「……疲れるな」
「あいむはんぐりー」
エネルギーの消費が激しいのがネックだ。
「太鼓焼き食べたい」
「大判焼きだろ?」
「今川焼きだと思います」
「ござそーろー」
ここまで変則的な四拍子も珍しい。




