ゾンビゲームセット【サンドイッチとコーヒー】
全面改稿中です。
何話か投稿しますが、基本的に長い話を2~3話に分割して再構成したものなので、真新しいネタは特にありません。
参考ゲーム
アンデッドナイツ
「積みゲーをどうにかしろ」
「積んでることに意義があるの」
「ねえよ」
積みゲー、すなわち『プレイせずに積んでいるゲーム』。
プレイする時間がないのならともかく、安さにつられて衝動買いしたゲームが大半だ。
一度積み始めると未プレイのゲームがどんどん溜まっていくのでタチが悪い。
「特にホラーがひどいな」
「う……」
有名なゲーム以外はほぼ手つかずの状態だ。
古いのは100円で買えるからといっても、数十本も積むのは無視できない。
「これだけ積んでれば、気軽にプレイできるゲームもあるだろ」
「……気軽に遊べるホラーゲームっておかしいでしょ」
「おかしいのはお前だ」
とりあえず山と積まれてグラグラしているタワーを崩し、比較的マイルドそうなホラーを探す。
積んでいるのはホラーだけではないので大変だ。
「ハムサンドとコーヒーね」
「あいよ」
おそらく『東京ゾンビ』ネタだろう。
東京ゾンビではゾンビが唯一楽しめる飲食物がコーヒーなのである。
サンドイッチはゾンビが人間のフリ(普通の人間と同じようにものを食べているフリ)をするための練習として出されたものだ。
アニメを見る限りではハムサンドっぽい。
ゾンビにはレタスがとてつもなく青臭くて、チーズも粘土のように感じるらしい。
「コラボカフェでは『青臭くて粘土のようなゲロみたいにまずいサンドイッチ』の再現メニューを出してたんだって」
「頭おかしいんじゃないのか」
ただのハムサンドを出されても困るが、金を払ってまでゲロサンドを食べるファンもいるのが怖い。
それなら作中のゾンビたちのようにコーヒーだけ飲んでいたほうがマシだろうに、そんなに『人間のフリをするゾンビごっこ』がしたかったのだろうか。
……したかったんだろうな。
それがオタクという人種だ。
「ん、『アンデッドナイト』は主人公が死霊術師か。ゾンビに襲われるから怖いんであって、こっちがゾンビを操るんなら恐くないだろ」
「逆転の発想ね」
主人公がネクロマンサーなだけあって、普通のゾンビゲームとは一線を画する。
敵をつかむと『ゾンビインパクト』という技が発生し、敵を生きたままゾンビにすることができるのだ。
ダメージを与えるほどゾンビ化のスピードは速くなる。
敵が赤く点滅するまでダメージを与えると『クリティカル・インパクト』になり、一瞬でゾンビ化できる上に体力が少し回復するらしい。
『食い殺せ!』
ゾンビの群れに命令を与えれば敵を集団で攻撃したり、やぐらや門などの建造物を破壊できた。
弓矢での遠距離攻撃がうざい場所では、ゾンビをつかんで盾にする。
ゾンビを振り回して攻撃してもいい。
ゾンビを武器にする技は2種類。
1つは『ゾンビ投げ』。
ゾンビを投げつけられたザコキャラは高確率で赤く点滅する上に、ゾンビ投げの進路上にいる敵をまとめて攻撃できる。
遠距離から攻撃できるので使い勝手がいい。
ボスに投げればゾンビが体にしがみつき、ボスの動きを封じることもできる。
防御力の高いボスも、ゾンビごと斬れば大ダメージを与えることができた。
ゾンビで動きを封じるには最低でも3体のゾンビを投げつける必要があり、慣れない内は手こずるだろう。
ゾンビを利用して敵を倒すというゲームの性質上、特定のステージを除いて基本的にザコ敵は無限に出現するからだ。
ボスの攻撃を避わしつつ、ザコを攻撃してゾンビを作り、ボスにゾンビを投げつけないといけない。
「スリーポインツ!」
……まあ、ザコが無限に湧くということは、ゲーマーにとって攻撃アイテムが無限に湧くことと同じなのだが。
クリティカルインパクトを使えば少し体力が回復するので、便利な回復アイテムにもなる。
ザコキャラが出現する場所はだいたい決まっているため、リポップポイントで待ち構えていれば出現した瞬間に攻撃してクリティカル・インパクトで体力を回復できる(ついでにゾンビも増える)。
ゾンビで戦うというゲームシステムのため、プレイヤーを支援するために敵が現れるという皮肉。
敵にもネクロマンサーを出すべきだった気がしないでもない。
……そうなると敵も無限にゾンビを生成してくるので泥仕合になりそうだが。
もう1つのゾンビ技は『ゾンビクラッシュ』。
ゾンビを地面に叩き付けると衝撃波が発生し、周囲に大ダメージを与えられる。
これも一撃で赤点滅させられるので一気にゾンビを量産できる技ではあるが、ゾンビ化できるのは最大で10体まで。
時間経過や一定のダメージを食らうとゾンビは消滅する。
地面に叩きつけられたゾンビは消滅してしまうのも痛い。
ただゾンビが消滅してしまう分、破壊力はゾンビ投げよりも高かった。
ボス戦では最低でもゾンビを3体しがみつかせないといけないゾンビスローより、クラッシュのほうが手っ取り早い。
どちらを使うのかは完全にプレイヤーの好みだが、個人的にはゾンビ投げだ。
遠距離から攻撃できて、投げてもゾンビは消滅しないのがいい。
「ワンパターンになりがちね」
「だな」
敵やゾンビの種類、攻撃パターンが少ない。
どうしてもゾンビ投げゲームになりがちだ。
強い敵をゾンビにすれば強力なゾンビになるものの、戦局を左右するほどの能力はない。
馬などの動物をゾンビにすることもできないし、鳥のような敵も出てこなかった。
ゾンビ馬で戦場を走り回ったり、ゾンビ鳥で空を飛べたりすればもっと面白くなっただろう。
ゾンビにもっと細かく指示を出せれば完璧だ。
続編に期待したい。
「あー、面白かった。今日はこれでおしまいね」
「待て」
清々しい顔で帰ろうしているゲーマーの首根っこをつかむ。
「な、なに?」
「これから夜の仕込みだ、死ぬまで働け。いや、死んでも働け」
「いやー!?」
今更あがいても遅い。
これぞ飲食業界の残業。




