18禁ゲームセット【ロリポップキャンディーとコーラ】
全面改稿中です。
何話か投稿しますが、基本的に長い話を2~3話に分割して再構成したものなので、真新しいネタは特にありません。
参考ゲーム
ロリポップチェーンソー
お姉チャンバラ
スクールデイズ
「ねー、今日なんの日か知ってる?」
「知らん」
「……思い出させてあげよっか?」
きゅっ
「痛ててててっ!? 耳をつねるな!」
「ふん、自業自得よ」
「知らんってのは嘘だ! お前の誕生日だろ、ちゃんとプレゼントも用意してある!」
「やった!」
現金な奴め。
「……ほれ」
ひりひりする耳をいたわりつつ、適当にラッピングしたプレゼントを渡す。
「見るからにゲームね」
やはりゲームや映画のDVDは形と重さですぐにバレてしまうようだ。
こいつの誕生日に映画を贈ることは考えられないので、中身はゲームだと簡単に推測できる。
「なんのゲーム?」
「18禁ゲームだ」
「じゅ、18禁!?」
「20歳の誕生日には酒を飲むことが多いんだから、18歳の誕生日ならこれしかないだろ。というわけで早速プレイしてみよう」
「ええ!? ……そ、そんなにやりたいの?」
「やりたい」
「うう……」
赤くなりながら包装紙をやぶいていく。
そして現れたゲームは、
『お姉チャンポン』『ロリポップキャンディー・プレミアムエディション』
「は?」
「グロや暴力描写のあるゾンビゲームだ」
「じゅ、18禁ってそっちの18禁!?」
「どっちの18禁だと思ったんだ?」
「ふああ!?」
顔を真っ赤にして突っ伏し、恥ずかしさを紛らわすように机と床をダンダン叩いた。
少しいじめすぎたのかもしれない。
なお18禁ゲームは大別すると2種類に分かれる。
性的描写のあるエロゲーと、グロや暴力描写のあるバイオレンスゲームだ。
だいたい18禁ゲームというとエロゲーのことなので、誤解させるのは簡単だった。
「家庭用で18禁のレーティング作品は意外に少ないんで苦労したぞ」
「そんな苦労しなくていいの!」
ちなみにどちらも女子高生が主人公のゾンビアクションだ。
「いかにもB級なタイトルだし」
「チャンポンは麺類のほうじゃないぞ。『色んな種類の酒を一度に飲む』ほうのチャンポンだ」
「どのぐらいチャンポンなの?」
「吸血鬼の血を引く女子高生が、テンガロンハットにビキニ姿で刀を振り回してゾンビを斬りまくるゲームだ」
「……悪酔いしそう」
『チャンポンすると悪酔いする』といわれるのもうなずける。
「ロリポップキャンディーは?」
「ゾンビハンターの血を継ぐアメリカの女子高生が、チアガール姿でロリポップキャンディーをくわえながらチェーンソーを振り回して、生首だけになったボーイフレンドと一緒にゾンビを倒すゲームだ」
「バカなの?」
「製作者に言え」
……こちらも悪酔いしそうなチャンポン具合である。
お姉チャンポンと同じノリで楽しめるだろう。
なおZ指定(18歳以上のみ対象)なので結構グロい。
「たぶんグロいだけでホラー要素は薄いぞ」
「……怖かったら怒るわよ」
恐る恐るスイッチを入れる。
オープニングムービーが始まり、ヒロインが刀を担いでヘリから飛び降りた。
そしてパラシュートを開こうとするものの、
ぐしゃっ
「ぎゃー!?」
「いきなりか!?」
パラシュートが開かず、ヒロインがいきなり墜落死した。
『A+Xボタンを押せ』
画面に指示が表示される。
戸惑いながらも同時押しすると、ヒロインが復活した。
どうやら吸血鬼の力らしい。
A+Xで体力ゲージが回復するようだ。
つかみは悪くない。
このシーンだけでこのゲームがどういう作品なのかよくわかる。
冒頭でインパクトを与え、体力回復のための特殊操作をプレイヤーにおぼえさせるゲーム設計。
去年流行ったゾンビアイドルアニメ(これも大概チャンポンだ)でも開幕数分でヒロインがトラックにはねられてゾンビ化していたので、開幕墜落死は一種のギャグなのだろう。
あらゆる意味でひどいゲームだが、計算されたひどさだ。
アクションはいわゆる無双系。
スピーディーにゾンビを斬りまくれる。
ただし、
「敵多すぎ!」
適当にボタンを押しているだけでは効率が悪い。
特定のタイミングでボタンを押すと『COOLコンボ』になり、通常時よりも威力やスピードが増すので、
「ひゃっはー!」
音ゲーのようにタン・タン・タンとテンポよく押してCOOLコンボを繋げたほうがいい。
さすがに無双系のゲームは慣れたもので、バッサバッサと軽快にゾンビを斬り捨てていく。
序盤で厄介なのは遠距離攻撃してくる警官ゾンビや、武器で殴ってくる軍人ゾンビぐらいだろう。
「踏んづけてやる!」
どこぞの映画評論家のようなセリフを吐きながら、下段攻撃で警官ゾンビと軍人ゾンビの足を切断し、地面に転がったところを踏み潰す。
足さえ切断してしまえばモロい。
厄介な敵は出現した瞬間に足を切断し、安全を確保してから順番に踏み潰していく。
だが、
「あれ、斬れない?」
「さっき説明が流れてたろ。敵を斬り続けると武器に血脂が付着して切れ味が落ちるらしいぞ」
「説明が読みにくいのよ」
ゲーム開始時に操作説明が画面に表示されていたものの、駅の電光掲示板のように『右から左へ文字が流れていく形式』で、プレイしながらだと非常に読みにくい。
なぜこういう形式にしたのだろう。
「えーと、リロードはR2ね」
切れ味が落ちたら定期的にリロードボタンを押して、血をぬぐう必要がある。
ガンシューティング系のリロードに比べれば、血をぬぐうのは一瞬なので隙は少ない。
ワンボタンで別の武器に持ち替えることもできるし、姉から妹(セーラー服でチェーンソーを振り回すキャラ)へキャラチェンジすることさえできた。
1人で2キャラ操れるので、姉妹が両方とも死なない限りゲームオーバーにならない。
初級者に優しいように思えるが、さっきもいったように敵が次から次へと湧いてくる。
だいたいそのエリアにいる敵を全部倒さないと先に進めないので面倒だ。
しかも回復アイテムが少ない。
絶望的にない。
敵を倒したらコインが手に入るので、特定の場所で回復アイテムを買うことはできる。
だがそれだけだ。
「え、ボス倒しても体力回復しないの?」
「みたいだな」
体力ゲージは次のステージまで持越しだ。
A+X同時押しによる体力回復も万能ではない。
食らったダメージの数パーセントは回復できず、回復中に敵から攻撃されてしまうとそれ以上体力を回復できなくなる。
こまめに同時押しで回復しようとも、ジリジリと体力は削られていくわけだ。
回復アイテムを買わないと厳しい。
問題は購入できるものが多いこと。
回復アイテムや武器、アクセサリー(ステータス強化アイテム)だけでなく、技を覚えるのにもコインが必要だ。
しかもプレイヤーが操作できるのは2キャラ。
律儀に2人分そろえていると、金がいくらあっても足りない。
メインキャラを重点的に強化したほうがよさそうだ。
「慣れればちょっとグロいだけのアクションゲームね」
「だから言っただろ」
シンプルな無双系のゲームなので、メインキャラを無駄なく強化して回復アイテムを買い占めれば半日でクリアできる。
濃い要素がチャンポンされてはいるが、悪酔いするほどではない。
怖いものが苦手なホラー好きにはうってつけだろう。
「今日はロリポップキャンディーとコーラね」
「あいよ」
ロリポップキャンディー・プレミアムエディションも、敵を倒して入手したコインで技やアイテムを買う方式だった。
ロリポップキャンディーは回復アイテムで、エナジードリンクは体力ゲージの最大値を上げる。
ドリンクの中身はわからないが、ファーストフード店でよく使われるストロー付きドリンクカップのエナジー飲料なら炭酸飲料の可能性が高い。
舞台はアメリカなので無難にコーラにしたようだ。
ちなみに初期状態では技が少なく、コインで技を買わないと手数が足りないので無双系ではない。
「ドロップキック!」
攻撃手段はチェーンソー系(斬撃系)とチアガール系(打撃系)。
適当に連打しているだけではゾンビを倒せないので、2種類のアクションを使い分ける必要がある。
チア系は攻撃力こそ低いものの、ゾンビを気絶(?)させやすい。
……色々と突っ込みどころ満載だが、チア技で殴ってゾンビを気絶させてからチェーンソーで攻撃すると一撃必殺になる。
飛び蹴りでゾンビを気絶させてから首をハネるのが序盤の必勝パターンだろう。
『馬跳び』からの『股裂き』も使いやすい。
ゾンビに接近しながらジャンプすると、跳び箱のようにゾンビの頭を飛び越えることができる。
そしてゾンビの背後に着地した瞬間、タイミングよくボタンを押すとチェーンソーを振り上げて股を裂く。
股裂きに成功すると特殊な演出が入り、一撃でゾンビを真っ二つにできた。
お姉チャンポンのように下段攻撃でゾンビの足を切断して、地面を転がるゾンビへジャンプ攻撃をしかけても特殊演出が入る。
「たーのしー!」
一度に3匹以上のゾンビを倒すとスローモーションになり、画面がキラキラ輝く特殊演出が入って非常に気持ちがいい。
ボーナスでコインも手に入る。
お姉チャンポンでもボス戦で特殊演出のあるQTEはあったが、このゲームでは要所要所で派手な演出が入った。
「あ、また演出入った」
……ただ条件がそろうと毎回演出が入ってしまうので、うまいプレイヤーほど演出を見せられるという欠点はある。
演出でテンポが悪くなってしまうことを考えると、あえて2体ずつ倒していったほうがスピーディーにプレイできるだろう。
2作品とも気軽にプレイできるB級スプラッタホラーアクションという点は同じ。
どちらをプレイするか迷ったら、ヒロインの好みで選んでもいいかもしれない。
声優も無駄に豪華なのでキャラゲーとしても楽しめるはずだ。
「思ってたより面白かったわね。……どう考えても可愛い彼女の誕生日に贈るもんじゃないけど」
「贅沢言うな。一本だけじゃ物足りないだろうからって奮発したんだぞ」
「ふーん。でもまだあるんでしょ、18禁ゲーム」
「は?」
「あるんでしょ?」
「う……」
バレている。
18禁ゲームを探しておきながら、エロゲ―をチェックしていないわけがない。
チェックしたのなら必ず買っている。
それがゲーマーというものだ。
「くそ、もってけ泥棒!」
「素直でよろしい」
観念して秘蔵のエロゲ―を渡す。
『キャンパスデイズ』
「ギャルゲーの皮をかぶったサイコホラーじゃない!」




