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【コミカライズ掲載中】電気代払えませんが非電源(アナログ)ゲームカフェなので問題ありません  作者: 東方不敗@ボードゲーム発売中
本編

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タイル将棋セット【アイシングクッキーとダージリン】



「タイルゲームで将棋かチェスやりたい」


 棚から有名な城塞都市のタイルゲームを引っ張り出し、街道のタイルを将棋盤に打った。

「どういうルールだ?」

「たとえばL字の街道のタイルの上を通ったら、飛車は横に曲がれるとか」



L→飛


※L字の街道タイルをボードに置き、その上を飛車が通過した図



「強制的に曲がるのか?」

「強制よ」

「ふむ……。うまくやれば攻撃と防御両方に使えそうだな」

「でしょ?」

 たとえば将棋の角でL字に突っ込めば、本来なら角にはできないはずの直進ができる。


 街道の種類はL字・十字・一文字・Y字・/あたりだろうか。


 もちろんタイルを横に並べると道が繋がる。

 道が繋がっていればL字に曲がった後にY字に曲がることもできるのだ。



\ /

 Y

 L



 Y字や十字のように分岐がある場合は、プレイヤーが行き先を自由に決めるシステムである。

「タイルは手数制にしよう」

「一手消費してタイルを置くの?」


「ああ。ボードはシャンチーだな。真ん中に川があるから橋を架けられる。渡河する場合は5手消費するが、橋を渡れば手数を消費しない。川を渡れない駒も橋なら渡れる」


挿絵(By みてみん)


※シャンチーのボード

真ん中が川 象などの駒はここを渡れない

斜線のある部分が九宮 玉はここから出られない



「でも相手も橋使えるのよね……」

「そりゃ、ただの橋だからな」

 タイルは誰でも利用できるのが肝だ。

 敵に利用されてしまったら手数の無駄になりかねない。

 なおシャンチーでは『川を渡ったら成れる』ので、川での攻防は想像以上に過酷になるだろう。


「あとはタイルの種類かしら……。建築できるのが街道と橋だけなのは寂しいし」


「街や城も作れるようにするか。城を拡大すれば玉の動ける範囲も広くなる」

「砦があってもいいんじゃない?」

「何に使うんだ」


「敵陣に砦を作ったら、砦のある段まで持ち駒を打てるのよ」


 拠点を確保しながらジリジリ侵攻するイメージだ。

「あとは罠ね」

「罠?」

「軍人将棋の地雷みたいなやつ」

「踏んだら死ぬ駒か?」

「そうそう」


「なら罠の種類を増やそう。裏返しに設置して、実際に踏むまでなんの罠かわからない」


「いいじゃない」

 タイルゲームとしてもなかなか形になってきた気がする。

 しかしまだ問題は山積みだ。

「タイルを設置できるタイミングはどうする? 駒を動かす前にタイルを設置できると、街道タイルの力で駒の移動範囲が広くなりすぎるぞ」

「たしかに」

 移動前にY字の街道を設置できてしまったら、飛車でも簡単に角の動きができてしまう。

 タイルを敷くのに手数を消費するとはいえ、機動力が高くなりすぎる気がする。


「石の数で調整したら? 駒の移動後に置く場合は1手、移動前に置く場合は突貫工事でお金かかるから5手」


「それでいこう。罠を設置できる範囲はどこまでかも考えないとな」

「……考えないといけないことが多いわね」

「タイルは単独では動けないからな」

 設置型ならこれぐらい考えないとゲームが成立しない。


「とりあえずタイルはこれから動かす駒の周囲8マス、移動できる範囲にだけ置けることにしよう」



□□●□□

□□〇□□

●〇飛〇●

□□〇□□

□□●□□


※将棋の飛車の駒の移動範囲と罠設置範囲

駒の周囲8マス、その駒が移動できる範囲(〇のマス)にだけ罠を置ける



「でもこれ、移動前か移動後に置ける罠の範囲でしょ。移動中に置くことはできないの?」

「置けるとしたらその駒が通過したマスだけだな」



□□↑□□

□□|□□

□□|□□

□□|□□

□□|□□

□□|□□

□□飛□□


※飛車が前に進んだ場合、通過したマスにだけ置ける



「軍人将棋の『工兵』みたいに『罠を解除できる』駒がいてもいいかもしれん」

「罠踏んでも発動しないの?」


「罠のあるマスで止まればな。罠の上を通過した場合は普通に発動する」


「強すぎない?」

「そこでダミーだ」

「ダミー?」


「『何も描かれてない駒』ってことだよ。踏んでも何も起こらない。『相手に罠があると思わせる』駒だな」


「あー、偽装工作ね」

 意味ありげにロープを張ったり、土を盛ったりすることで、『罠があると警戒させて敵の足を止める(あるいは迂回させる)』イメージだ。

 ダミーでも一手消費するのは痛いものの、それも駆け引きの内。


 工兵は1手消費することで街道や橋を破壊できるようにしてもいいかもしれない。


 ただ工兵が強くなりすぎる危険性もある。

 5手消費にするべきか?

 バランス調整が難しい。

「罠も厳選しないとな。どういう罠を何種類用意すればいいのやら」

「バランス調整も面倒くさそうね」

 しかし作らないことには始まらない。

 とりあえず代表的な罠をリストアップしてみる。


「地雷系の踏んだら死ぬ罠は鉄板だな」


「踏んだら動けなくなる『トラバサミ』もお約束ね」

「『ハニートラップ』もいけそうだな」

「踏んだ駒を自分のものにする罠?」

「ああ。工兵を倒せる唯一の罠だ」


 ハニートラップとは色仕掛け、すなわち美女で男をたぶらかすトラップだ。


 おそらく現代社会で一番恐ろしい罠だろう。

 工兵があらゆる罠を解除できるのはさすがに万能すぎる。

 これぐらいの弱点があったほうがいいだろう。

 ちなみにハニートラップを踏むと、その場で相手の駒の向きが変わる。


「矢の罠の上を走れるなら踏んでも当たらなくない?」


「……たしかに。縦か横のどちらに矢が飛ぶか指定して、交差する場合は当たらないようにしたほうがいいのかもしれん」



□□↑□□

□□|□□

□□|□□

←━罠━━矢

□□|□□

□□|□□

□□飛□□


※走って罠を通過した駒には矢の罠は当たらない



「ルールも出そろってきたな。なんか食いながらルールをまとめるか」


「タイル食べたい」


「ならアイシングクッキーだな」

「……なにこれ、見るからに体に悪そう」

「着色料なんてそんなもんだ」

 アイシングは卵白と粉砂糖と水を泡だて器で混ぜて作り、それをカラーで着色する。


 カラーの容器はプラモデルの塗料のような外観をしており、とても食材のアイシング用に見えない。


 おそらくこれを見て『美味しそう』と思う子供はいないだろう。

 しかもわりと高い。

 セットで2000円ぐらいする。

 それだけに種類は豊富だ。

「あれ、意外とおいしい」

「ショートニングも保存料も使ってないからな」


 アイシングは見た目を楽しむものなので、市販のアイシングクッキーはだいたいまずい。


 これは味を重視したバタークッキーなので普通にイケる。

 アイシングがほのかに甘いので、バタークッキーとはまた違った風味が楽しめるだろう。

 お茶はバター系と相性のいいダージリンのセカンドフラッシュ。

 手数を消費してでも注文したくなるセットだ。

「さて……」

 糖分も取れたので罠をまとめてみる。



ダミー 罠があるように見せる偽装工作 踏んでも特に何も起こらない


矢 踏んだら直線的に矢が飛んでくる 進行方向が交差する場合、走っている駒には当たらない


落とし穴 踏んだら死ぬ


トラバサミ 踏んだら動けなくなる(そのマスで動きが止まる)


ハニートラップ 踏んだ駒を自分のものにする 工兵では解除できない



 街道やトラップは専門的な知識や技術がいるから工兵はドワーフにした。

 ハニートラップはサキュバスが無難だろう。

 罠を仕掛ける、もしくは無効化するのがキモだから、それを利用する戦術が中心になるはずだ。

 あとは街道でいかに移動をコントロールするか。


「橋の後ろにトラップだ!」


「わっ!? すごい邪魔」

 軍人将棋だと突入口に地雷を設置するのは反則だが、



  ×

━━橋━━

  ×


※軍人将棋では×の位置に地雷は置けない



 このゲームではトラップもタイルも設置できる。

 自分は橋を有効に使えて、相手は使えないシチュエーションを作るには最適だ。




「今まで出てきた罠からすると、この罠は矢の可能性が高いな」

「さあ、それはどうかしら?」

「念のために斜め移動で踏もう」


「え、斜め移動じゃ矢が当たらないじゃない!」


 矢の飛ぶ方向は縦か横しか設定されていない。

 つまり角のように斜めに走ることができる駒なら、踏んでも絶対に死なないのだ。



  

角 矢

 \|

矢━罠━矢

  |\

  矢 角


※矢は縦か横方向にしか飛ばないので、斜め移動なら踏んでも絶対に当たらない



「なんで斜めには飛ばせないのよ!」

「斜めに飛ばせるようにしても、縦・横・斜めの三択だから当たる可能性は3分の1だぞ。もともとそんなに強い罠じゃない」

「ぐぬぬ!」

「ついでにこの駒の下にトラップを置こう」

「駒の下!?」


「そりゃ自分の周囲に罠を設置できるんだから、自分の足元にも罠を設置できるだろ」


「……どうせダミーでしょ」

「それは取ってからのお楽しみ」

「うう……」

 ダミーか、致命的なトラップか。

 ただ自陣の嫌な場所にいる駒だ。

 無視はできない。


「ドロー!」


 瑞穂が意を決して俺の駒を取り、下のタイルを引いて裏返す。

「え、ハニートラップ?」

「詰んだぞ」

「ええ!?」

 ハニートラップは踏んだ駒を自分の駒にできるトラップ。

 自分の持ち駒にするわけではない。


 その場で駒の向きが変わるのだ。


 そしてその駒の射程範囲には玉がいた。


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