ステルスゲームセット【ハンバーガーとコーラ】
参考ゲーム
メタルギアシリーズ
ゼロヨンチャンプ
「人狩り行こうぜ!」
「それオタルギアだろ?」
「これはミッション式でマルチプレイできるのよ」
「へえ」
マルチプレイ用に俺の分も買ってきたらしい。
シリーズをプレイしたことはあるが、新しいシステムなどがあるかもしれないのでまずはソロでプレイする。
ミッションは捕虜の救出にしてみた。
序盤のミッションなので、捕虜の囚われている部屋には比較的簡単に到達。
「問題は帰りだな。捕虜を守りながら施設を抜け出すのは難しそうだ」
「わざわざ来た道を戻らなくても、フルトン回収したらミッション終わるわよ」
「ふるとん回収?」
「捕虜のそばで△ボタンを長押し」
「これか?」
捕虜に近寄って△ボタンを長押しすると、捕虜が空高く打ち上げられた。
「なんだ今の!?」
「小さな気球を捕虜にくくりつけて打ち上げたの。そしたら空中で待機してるヘリが回収してくれるんだって」
「変わった仕組みだな」
「ちなみに気絶させたり、降伏させた敵もフルトン回収できるわよ。そうやって仲間を増やして、蛇の経営する民間軍事会社を大きくすれば、ミッションで砲撃支援を受けられたり、新しいアイテムを開発できるようになるんだから」
「へえ」
フルトンが余っているので、敵兵を気絶させて次々にフルトンで空へ打ち上げていく。
シュールな光景だ。
気絶させた敵や死体を発見されると警備兵に警戒されるので、そこでもフルトン回収が役に立つ。
敵を引きずって物陰に隠すよりも早いからだ。
軍事会社も大きくなるので一石二鳥。
『侵入者だ!』
「あ」
……調子に乗ってフルトン回収していると、敵に見つかってしまうのが玉に瑕。
他にも極秘書類の入手や要人の暗殺、武器庫の爆破などのミッションがあった。
「個人的に好きなミッションは『アレスト』ね。光学迷彩で姿の見えない敵を探す任務」
「肉眼で見えない上にレーダーにも映らないんだろ? そんなのどうやって探すんだ?」
「集音マイクで音を拾うのよ。姿は消せても足音は消せないから」
そのアレストなるミッションをやってみる。
カツン カツン ザッ ザッ ザッ カツン
「……さっぱりわからん」
「重要なのは歩数よ。歩数を数えて、何歩で音が変わったかチェックしておくの。その情報をマップに照らし合わせれば、敵がどこからどこへ歩いて足音が変わったのか推測できるでしょ」
「なるほど」
砂利、コンクリート、草むら、どれも音が違う。
音の変化に注意深く耳を澄ませる。
パチャ
「水!」
このマップは広いが水たまりは少ない。
マップの中で数の少ない足場の音がすれば居場所をさらに限定できる。
「そこだ!」
確信して銃を乱射した。
しかし、
ダンッ
「げ」
敵はそこにいなかったらしく、逆にこちらの居場所を探知され、ヘッドショットを食らってしまった。
あえなくゲームオーバー。
難易度は高いものの、面白いミッションだった。
『侵入者だ!』
「……警備が厳重すぎて潜入できん」
「潜入しなければいいじゃない」
「は?」
「たとえば高台に陣取って、上からスナイパーライフルで警備兵を皆殺しにしてもいいのよ。あくまで目的は極秘書類の入手なんだから、気づかれずに潜入する必要ないし」
「……それはもうステルスゲームじゃないだろ」
しかし突破方法が無数にあるのが、このゲームの面白いところなのは否定できない。
スナイパーライフルで遠距離狙撃。
対空レーダーを破壊して敵地に戦闘ヘリを送り込み、上空から警備兵をハチの巣にする。
施設の外で音を立て、敵を外に誘い出して暗殺、もしくは潜入。
わざと敵に発見される(発見されると命の危険を感じた蛇は集中力が極限まで高まり、数秒間スローモーションになる。このスローモーションを利用して、わざと敵に発見させてサプレッサー付きの銃でヘッドショット)。
敵のトラックの荷台に潜り込んで潜入する。
etc
ただしプレイヤーのスタイルによって、敵も学習していく。
カンッ
「はじかれた!?」
「ヘッドショットばっかりしてるから」
スナイパーライフルで暗殺しまくっていると、敵がヘルメットをかぶるようになった。
ヘッドショットといっても頭に当てる必要はない(顔にさえ当てれば一撃必殺)ので、まだ顔の半分はヘッドショット判定がある。
だが高所から角度をつけてヘッドショットをすることはできない。
上からだとヘルメットにしか当たらないからだ。
角度がないと狙撃は厳しい。
ならばとガス系の武器で敵を無力化していると、今度はガスマスクを装備してくる。
もう近接戦闘術(CQC)しかないと思って敵を投げ飛ばしていると、盾を装備されて正面からの攻撃は通じなくなった。
「ぐ、対策されすぎてどうしようもないぞ!」
「そういう時はサブミッション。武器庫を爆破するとメインミッションで敵兵の装備が貧弱になって弾数も減るし、輸送部隊を襲撃すれば敵のヘルメットもガスマスクも回収できるわよ」
「そういうミッションもあるのか」
ちなみに食糧庫を爆破すると敵兵のスタミナが減って、床に置いた物も食べるようになるらしい。
腐ったものを食べさせて腹を壊すこともできる。
ここまでくるとなんでもありだ。
「……予想進路長いな」
車両系(戦車・輸送車・護送車の破壊・襲撃・奪取など)のミッションは、ターゲットの予想進路がマップに表示される。
輸送物資の奪取が目的なら、敵が休憩や交代のために車を降りた瞬間を狙い、素早く車両へ乗り込んで、そのまま輸送トラックを運転して危険地帯を離脱してもいい。
破壊系ミッションなら進路上にプラスチック爆弾を設置したり、ロケットランチャーやグレネードランチャーを撃って爆破してもいい。
腕に自信があればジョン・F・ケネディ事件のように、走行中のオープンカーに乗る要人をスナイパーライフルで暗殺することもできるだろう。
ただミッションに持って行ける武器には限りがあるので、乱発しているとアイテムが足りなくなる。
プラスチック爆弾やグレネードも戦車が相手では火力が足りず、決定打を与えられない内に反撃されて死ぬか、そのまま逃げられることが多い。
「フルトンはMAXまでレベル上げてるから、戦車も回収できるわよ」
「……どういう気球だよ」
デコイ(ボタンを押すと等身大の蛇の風船がふくらむオトリアイテム)などで車両の足を止め、動き出す前にフルトン設置。
とてもパワーのある気球には見えないのだが、本当に戦車を空に打ち上げた。
タイミングさえあえば一番楽な方法かもしれない。
難易度が下がるし、シリアスな世界観もぶち壊しなのでオススメはしないが……。
巨大兵器破壊のミッションは、ハンティングアクションでいう大型クリーチャーの討伐に似ている。
というか『クリーチャーハンター』とコラボしているので、クリハンのクリーチャーと戦えるミッションすらあった。
武器の種類はクリハンより多いので、人によってはこっちのほうが楽しいかもしれない。
一度空を飛んだらなかなか降りてこないことに定評のある『空の王者』も、スナイパーライフルがあれば地上から狙撃できる。
まあ、そこそこのスピードで飛んでいる空の王者を狙撃するのは難しいのだが。
ファンサービスとしては最高のミッションだ。
「ん? なんか同じ名前のミッションがあるぞ?」
「それは高難易度バージョン」
ミッション名に『エクストリーム』や『完全ステルス』と付いている。
完全ステルスということは、一度でも見つかったらミッション失敗ということだろう。
とりあえずやってみる。
『敵だ!』
「げ!?」
「元のミッションより敵の目がいいのよ」
それはエクストリームも同じで、しかも一発一発が重い。
一発攻撃を食らっただけで大ダメージを食らう。
2発で致命傷だ。
……クリアできる気がしない。
「そろそろ協力プレイする?」
「頼む」
やむなく伝説の傭兵に助けを乞う。
「じゃあケミカルバーガーね」
「ケミカルってなんだよ」
「庶民の舌が求めるものは化学調味料!」
「旨味って言えよ」
どうやらオタルギアネタらしい。
ケミカルは控えめにして普通のハンバーガーにする。
付け合わせはフライドポテト(+ケチャップ)にコーラ。
「たまに食うとめちゃくちゃうまいな」
「ハンバーガーとコーラは世界で一番売れているのよ。だから世界で一番美味しいものに決まってるじゃない」
「いや、その理屈はおかしい」
だがコストパフォーマンスのよさは否定できない。
金持ちが食べている光景もよく目にする。
どこの国でも手軽に食べられるのは大きい。
……やはり人間の舌は化学調味料を求めてしまうのだろう。
「じゃあ挨拶代わりの一発」
BANG!
「は?」
サプレッサーの付いてない銃をいきなり発砲した。
当然、音に反応して敵が騒ぎ出す。
「なにやってんだ?」
「敵に警戒態勢を取らせたのよ。警戒態勢になると巡回ルートとか配置が変わるから、場合によっては潜入しやすくなるの」
「なるほど」
「フルトンを利用してもいいわね」
CQCで兵士を2人倒し、気絶した兵士を見張りの近くまで運んでフルトンで打ち上げる。
『いま助ける!』
だが兵士のレベルが高くなると、銃で気球を撃たれるため回収は失敗。
兵士が落下した。
「もう1つフルトン」
もう一人の兵士をフルトンで打ち上げる。
『いま助ける!』
また敵が銃を撃って気球を破裂。
「もう1つフルトン」
そして最初にフルトンで打ち上げようとした兵士のもとへ駆け寄り(落下しても気絶状態は解けない)、またフルトン。
『いま助ける!』
無限ループだ。
「なんだこれ」
「フルトンを近くで打ち上げると、周りの兵士の視線は上を向くでしょ。上を向いている間は目の前を移動しても発見されないし、CQCで敵を倒しても気づかれないの。だからフルトン回収をし続ければ、周りの視線を空中にくぎ付けにして、堂々と周囲を走り回れるってわけ」
「……めちゃくちゃだな」
「ふふふ。フルトンを使えばこういうこともできるんだから!」
今度は施設の横に停めてあった車両の上に乗り、気球を設置した。
車両の上に乗っているので、当然蛇ごと車は浮き上がる。
そして、
「あいきゃんふらい!」
「おお!?」
車が空に打ちあがった瞬間、車から飛び降りて高い壁を超えた。
ジャンプができないこのゲームでは考えられない潜入方法である。
「でもまだ武装ヘリがいるぞ。要塞は上から監視されてるから自由に動けん」
「そういう時のためのフルトンよ」
物陰に潜みながらヘリを監視し、タイミングを見計らって対空レーダーに気球を設置した。
「おい、まさか!?」
「そのまさかよ」
上空を旋回していたヘリの進路上に、フルトンで吊るされた対空レーダーが割り込んだ。
ちゅどーん
ヘリが対空レーダーに突っ込み、爆発炎上する。
そして対空レーダーを破壊して制空権を手に入れた蛇は味方のヘリを呼び、上空から警備兵を掃討。
無人の要塞を悠々と歩いてミッションをコンプリートした。
「ね、簡単でしょ?」
「……お前はフルトンの使い方を間違ってる」




