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【コミカライズ掲載中】電気代払えませんが非電源(アナログ)ゲームカフェなので問題ありません  作者: 東方不敗@ボードゲーム発売中
本編

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協力型LCGセット【BLTサンドとアッサム】

参考ゲーム

アーカムホラー ザ・カードゲーム


クトゥルフホラー ザ・カードゲーム プレイ人数 1~2(~4)


「なんだこれ?」

 店に置いてある(というか先生が勝手に置いている)ボードゲームをプレイ人数ごとに分類していると、よくわからない表記が出てきた。

「最大4人までプレイ可能です。ただし1セットでは2人までしか遊べません」

「ほわい?」

「これはデッキ構築型の協力ゲームです。LCGなのでこの箱の中に収録されているカードだけで遊べるわけですが、4つのデッキを組むにはカードが足りません」

「119枚もあるのに?」


「シナリオ型なので経験値の概念がありまして……。119枚のカードはレベルごとに分かれています。強いカードをデッキに入れるにはシナリオをクリアし、経験値でカードを買わないといけません。たとえばこのカードはレベル5。これをデッキに組み込むには経験値が5必要です」


「なるほど。これじゃあ4つもデッキは組めんな」

 ルールブックを読む限りでは1デッキ30枚前後。

 数に限りがあるので好きなカードを使えるとは限らないし、RPGのようにキャラごとにパラメータが違うので自キャラの特徴を把握しないといけない。

 なにより時間がかかりすぎる。

 初級者が周りと相談しながら30枚ものデッキを組むのは無謀だ。


「もちろん、ここにもう1セットあるので4人で遊ぶこともできますが……。どうしますか?」


「4人でプレイするとどうなるの?」

「プレイヤーの数だけボスの体力が倍になります。つまり4倍ですね」

「ベリーハード!」

「それと毎ラウンドの最初に神話フェイズというのがあるんですが……。このフェイズでは各プレイヤーが『遭遇デッキ』から1枚ずつカードを引かないといけません」

「なにと遭遇するんですか?」


「出来事カードと敵カードです。出来事カードは探索者に襲い掛かるトラブル。敵カードは説明するまでもありませんね」


 ボスのライフが4倍になり、出現するザコの数も倍になる。

 各キャラごとにパラメータが違うので、4人プレイだと当然攻撃力の低いキャラもいるはずだ。

 ……倍の敵をさばくのは初級者には厳しいだろう。

 たぶんプレイ人数が多くなるほど難易度が上がるタイプのゲームだ。


 というか、協力型ゲームはだいたいこんなゲームばっかりのような気がする。


「2人でプレイしましょ」

「そーデスね」

 2人1組に分かれたほうが生存率も上がるだろう。

 賢明な判断だ。

「ではここに書かれているカードを集めてください」

「らじゃー」

 初級者がデッキを組むのは大変なので、ルールブックにはキャラごとの初期デッキが記載されている。

 俺はアーランドという連邦捜査官を、瑞穂はウェンリィという孤児の少女を選んだ。

 アーランドは体力9、正気度5、意志3、知能3、戦闘4、敏捷2。

 ウェンリィは体力7、正気度7、意志4、知能3、戦闘1、敏捷4。

 パワータイプとスピードタイプだ。


「難易度はどうする?」


「普通でいいんじゃない?」

 難易度は簡単・普通・難しい・プロの4種類あり、難易度によってバッグに入れるトークン(チップ)の内容が違う。

 能力判定ではサイコロを振る代わりに、バッグからトークンを取り出すらしい。

 ちなみに簡単だと+1、+1、0、0、0、-1、-1、-1、-2、-2、それとアイコンの描かれたトークンが6枚(アイコントークンはどの難易度でも内容は同じ)

 普通の難易度だと+1、0、0、-1、-1、-1、-2、-2、-3、-4とアイコントークンになる。

 プロレベルになると-8というわけのわからないトークンもあった。


 たとえば意志で判定をする場合、アーランドの意思は3なので、バッグから+1のトークンを取り出したら達成値は4になる。


 達成値が目標値以上なら成功だ。

 ……普通だとトークンのほとんどがマイナスなので、判定をするときは最低でも-1になることを覚悟しておいたほうがいいだろう。

「自分のデッキから5枚引いてください。それが最初の手札です。それと資源トークンですね。これはカードを使うのに必要なトークンで、これも最初は5個からスタートです」

 カードの左上には数字が書かれており、その数字の分だけトークンを消費するらしい。

「それではシナリオの準備ですね」

 シナリオを読む。


 要約すると『クトゥルフ神話でおなじみのアーカムシティで事件を捜査してると、奇妙な洋館を見つけて潜入した』という内容だ。


 これが物語の導入部らしい。

「ルールブックの指示に従って遭遇デッキを作ってください」

 ネズミや松明たいまつ、よくわからない生き物のアイコンが描かれているカードを集めて遭遇デッキを作り、場に配置する。


「事件デッキ、物語デッキ、シナリオリファレンスカード、場所カードをセットしてください」


「忙しいな」

「準備するだけで疲れるわね」

「慣れれば2~3分で準備できますよ?」

 2人で手分けしてカードをセットしていく。

 シナリオリファレンスカードにはアイコンの描かれたトークンの処理の仕方が書かれている。

 アイコンの描かれたトークンは難易度やシナリオによって処理が違うらしい。


 たとえば難易度・簡単/普通でバッグからドクロのトークンを引いた場合、『自分と同じ場所にいるグールの数だけ能力値をマイナスする』そうだ。


 難しい/プロレベルでドクロトークンを引くと能力値-2(グールの数は関係ない)、しかも判定に失敗するとグールが1匹増える。

 さすがハードモード。

 物語デッキと事件デッキはシナリオだ。

 物語デッキはプレイヤーのクリア目標、事件デッキは敗北条件。


 物語デッキの任務をすべて達成するとクリア。


 物語デッキをクリアする前に事件デッキが最後まで進んでしまうとアウトらしい。

 場所カードはプレイヤーの移動できる場所のカード。

 最初は書斎しかない。

 物語カードによると罠にハマり、書斎に閉じ込められたらしい。


「ようやくスタートか」


「長かったわね」

 場所カード(書斎)を裏返す。

 カードの裏側には2つの数字が書かれていた。


 1つは手がかり値、もう1つは隠蔽いんぺい値だ。


 手がかり値は2。

 『手がかりトークン』を書斎に2つ置く、ということらしい。

「あ、探索者マークがあるので4つ置いてください」

「え」

 数値の横には探索者のマークが描かれていた。

 このマークは『プレイヤーの人数によって数字を倍にする』という意味らしい。

 2人プレイなので2倍せねばならず、トークンは4つになった。


「えーと、物語デッキに書かれてる任務は『手がかりトークン2に探索者マーク』だから、トークンを4つ入手すれば書斎の扉が開くってこと?」


「そういうことです」

 場所カードに書かれているもう1つの数字、隠蔽値は手がかりトークンを入手するのに必要な目標値。


 知能で判定をして、隠蔽値以上になればトークンが1つ手に入る。


 書斎の隠蔽値は2、アーランドもウェンリィも知能は3だ。

 バッグから-2以上のトークンを引かなければ達成できる。

 余裕だろう。


「このゲームはアクション制です。各キャラには毎ラウンド、アクションポイントが3与えられます。1回の行動ごとにアクションポイントを1消費します」


 現在地を探索する、移動する、カードを1枚引く、資源を1つ入手する、カードを使う、戦う、どれも1アクションポイントだ。

 手がかりトークンを入手したい場合は探索だ。

 1アクションを消費してバッグからトークンを引く。

「ドロー!」


-1


「セーフ」

「楽勝じゃない」

「そりゃ序盤だからな」

 2人で協力して探索し、手がかりトークンを4つゲット。


 手がかりトークンは探索フェイズ(プレイヤーの行動するフェイズ)ならいつでも、全プレイヤーが協力して使用できる。


 仮にキャラが別々の場所にいても、手がかりトークンは1つにまとめて使用できるらしい。

 というわけで早速トークンを使用して物語デッキを裏返しにする。


『隠し扉を発見した』


 物語デッキの指示に従い、新たな場所カードをセットする。

 廊下、地下室、屋根裏部屋、客間だ。

 探索者は全員廊下に移動する。

 客間は謎の力で封印されているので、廊下から移動できるのは地下室と屋根裏部屋だけだ。

 ここで探索フェイズは終了。

 次は敵フェイズ。

 だがまだ敵がいないので、ここでは何もすることがない。

 次は準備フェイズ。

 ラウンド最後のフェイズだ。


 このフェイズでは各プレイヤーが自分のデッキから1枚カードを引き、資源を1つ入手できる。


 これで最初の1ラウンドが終了。

 2ラウンド目に突入する。

 ラウンドの最初は例の神話フェイズだ。

 各プレイヤーは1枚ずつ遭遇カードを引き、事件カードに『破滅トークン』を1つ置かないといけない。


 物語が手掛かりトークンで進行するように、事件カードに一定数の破滅トークンが置かれるとやばい事件が進行する。


 物語カードと違って、毎ラウンド事件カードにトークンが1つ置かれてしまうのが怖い。

「ドロー!」

 遭遇デッキから1枚引く。


『ネズミの群れ』


「ぐ!」

 敵だ。

 廊下にネズミのカードを置く。

 俺がネズミのカードを引いたので、ネズミはアーランドと『交戦状態』になった。

 ネズミは敵フェイズで俺を攻撃してくる。

 そしてネズミと交戦状態にあるアーランドは、戦闘や回避(交戦状態の解除)以外のアクションをすると敵から攻撃されてしまう。

 おそろしいことに敵の攻撃に判定はない。


 つまり攻撃されたら絶対にダメージを受けるということだ。


 ネズミの固定値は1。

 攻撃されたら絶対1ダメージを受けてしまう。

 体力は9しかないので、なるべくダメージは食らいたくない。

 さいわいネズミは体力も戦闘も1。

 戦闘が4もあるアーランドの敵ではない。

 サクッと撲殺して移動する。

 問題はどこへ移動するかだ。


 地下室、屋根裏部屋に移動できるものの、セットされた場所カードは秘密状態だ。


 その場所に何があるのか知りたいのなら、実際に移動してカードを裏返さないといけない。

 このゲームの性質からして、移動すると絶対なにかが起こる。

 だが移動しないことには始まらない。

「屋根裏部屋に行くか」

 屋根裏部屋のカードを裏返す。


『血まみれの死体が食肉用フックで吊るされていた』


「ぎゃー!?」

 イラストもグロい。

 ショッキングな光景を目撃したので、アーランドは恐怖ダメージを1受けて正気度4になった。

「やばくない?」

「……捜査官のくせにメンタル弱いな」

 油断したら発狂する。

 回復しようにも回復系のカードは少ないし、そもそも手札にない。


「所持品カードを使うしかないな」


 アイテムを使いたい場合、コストを払ってカードを使わないといけない。

 使用した所持品カードは『スロット』に装備できる。

 体の部位によってスロット数は決まっていた。


 アクセサリーはスロット1、体は1、手は2(片手に1つずつ、もしくは両手で装備する武器が1つ)、秘儀(魔法?)も手と同じ2。


 カードには装備できるスロットのアイコンが描かれている(アイコンのないアイテムはスロットによる装備制限がない)。

 重要なのは体力と正気度が設定されている所持品カードがあること。

 たとえば俺の手札にある『番犬』。

 これはコスト3で『仲間スロット(スロット数は1)』に装備できる。

 体力3、正気度1の仲間だ。


 番犬を装備している場合、敵から攻撃されたら番犬を盾にできる(ダメージを分散できる)。


 このゲームではカードで回復するよりも『所持品カードを装備して擬似的に体力を増やす』のがセオリーのようだ。

 もちろん体力か正気度が0になったらアイテムは壊れ、仲間は死ぬ。

 いや、死んでも次のシナリオに進んだらカードはデッキに戻るはずなので、死亡ではなく戦闘不能かもしれない。

「だいたいカードの使い方がわかってきたわね」


 コストを消費してカードの能力を発動。


 判定時にカードを捨てて能力値を上昇させることもできる(カードの左上にアイコンが描かれており、カードを捨て札にするとコスト0でアイコンの能力値が上昇する。判定の際、カードは何枚でも捨てられる。手札は8枚まで持てるので、8枚捨てて能力値を8上げることも可能)。


 所持品カードはコストを消費して装備すると、何度でも能力を発動できる(拳銃など使用回数が決まっているものや、資源を消費するものもある)。


「手がかりゲッツ!」

 こうしてカードを使って探索を進め、物語デッキをめくった。


『封印されていた客間を開けると、グールの祭司が現れた!』


「げ」

 グールの祭司はもっとも攻撃力の高い探索者のもとに現れ、交戦状態になる。

 つまりアーランドだ。

 HP5、いや、探索者マークがあるので10だ。

 攻撃力の固定値は体力へ2ダメージ、正気度へ2ダメージ。

 一度の攻撃で体力と正気度の両方を削ってくる。

 強い。


「しかも『反撃』持ちだぞ、こいつ!」


「反撃ってなに?」

「攻撃判定に失敗したら、こいつから反撃される。もちろん回避不能だ」

「ええ!?」

 攻撃判定に成功してもダメージは1しか与えられない。

 武器を装備すれば+1になるものの、それでも5回攻撃しないといけない。

 グールの祭司の戦闘値はアーランドと同じ4。

 難易度・普通だとバッグから-1以上を引く確率が高いので、かなりの強敵だ。

 カードを使えば攻撃値をプラスできるものの、毎回カードと資源を使うと途中で足りなくなる。


「ぐああ、-4!?」


 引き運が悪く、判定で手こずる。

 というかこのシナリオが始まってから、判定で0や+1がほとんど出ない。

 これのどこが普通の難易度なのか。


「回避してみる?」


「そうだな」

 回避は簡単にいえば『逃げる』だ。

 判定に成功すると交戦状態が解ける(あくまで交戦状態が解けるだけなので、場所は移動しない)。

 しかも回避に成功すると敵は『消耗状態』になるらしい。

 いわばスタミナ切れのような状態であり、1ラウンドの間、移動も攻撃もできなくなる。

「ん? 実はこれ、めちゃくちゃ強力な能力じゃないか?」

 消耗状態の敵は反撃もできない。


 敏速の高いウェンリィを敵のいる場所に移動させ、自分から交戦状態に持ち込み(別のキャラと交戦状態の場合、その交戦状態は解ける)、回避しまくればノーダメージで敵を倒せる。


 まあ、回避判定に失敗したら反撃を受けるのでノーリスクではないのだが……。

 反撃を持っていない敵にはほぼ無敵。

 最重要アクションである。

「まず『気を逸らさせる』ね」

 コスト5のイベントカードだ。

 回避判定に自動的に成功する。

「で『奇襲』と『背後からの攻撃』!」

 奇襲はコスト2で消耗状態の敵に2ダメージ。

 背後からの攻撃はコスト3のイベントカードで、戦闘の代わりに敏速で行為判定を行い、成功すると2ダメージ。

 どうやらこのコンボのために資源とカードを温存していたらしい。

 そして俺も装備しているナイフで祭司を滅多刺しにし、


「ひらり!」


 回避で再び祭司を無力化。

 一方的に攻撃し続けて祭司を倒し、シナリオ1の最後の物語カードの任務達成。

 エピローグだ。

 祭司を倒して2人は無事屋敷を脱出する。


『屋敷の中にはまだグールがいる。燃やさないと』


 しかし屋敷の中にはカルト教団に誘拐され、異形の化け物を呼び出すための生贄として監禁されている人間が何人かいる。

「選択肢があるのね」

「どうする?」

「さすがに燃やせないでしょ」

「だよな」

 異形の化け物が外に出てしまう可能性があるものの、それは仕方ない。

 後始末は警察に任せてその場を去る。

「えーと。クリアしたから経験点+2で、倒した敵の経験点も合計すると5?」

「アーランドはリーダーだから+1で6だな」

「あ、ずるい!」


「じゃあ次のシナリオからお前がルールブック読むか?」


「う……」

「異論はないようだから+1はもらっとくぞ」

 この6ポイントを使って新しいデッキを組まねばならない。

「……時間かかりそうだから、なんか食いながらやろう」


「ならBLTサンドね」


「あいよ」

「ビヤーキー、ロイガー、ツァトゥグァじゃないわよ」

「食べる以前の問題だろうが」

 食ったら間違いなく発狂するし、そもそもクトゥルフの神話生物を調理できるはずがない。

 ちゃんとベーコンレタストマトでサンドイッチを作る。

 お茶はアッサム。

 アフタヌーンティーではサンドイッチは欠かせないもの。

 だいたいキュウリのキューカンバーサンドイッチ(ティーサンドイッチ)だが、たまに別のサンドイッチも出てくる。

 よっぽどクセのあるサンドイッチでない限り、アフタヌーンティーに一番マッチするのはミルクティーにしたら美味い茶葉だ。


 サンドイッチをつまむ時に淹れる紅茶を迷った場合、アッサムにしておけば間違いない。


「カード多すぎ」

「レベルの高いやつ入れとけ。経験値5で低レベルのカードだと最大で5枚選ばないといけないからな。しかもデッキには枚数制限があるから、選んだカードと同じ数だけデッキからカードを捨てないといけない。すると低レベルだと最大で10枚選ばないといけないのに対し、高レベルなら最少2枚ですむ」

「なるほど」

 俺もシンプルに力で選ぶことにする。

 『ショットガン』と『追加の弾薬』だ。

 ショットガンはレベル4(経験点4)で、コスト5、戦闘+3の所持品カード。

 戦闘判定に成功すると『成功した分だけ敵にダメージを与えられる』特殊能力がある。

 たとえば敵の戦闘が4で、アーランドがバッグから0のトークンを引いた場合。

 アーランドの戦闘4+ショットガン3で7、そこから敵の戦闘4を引いた数字がダメージに追加される。

 つまりダメージ+3だ(最大で+5)。


 ただし敵が反撃持ちで、別のキャラと交戦状態にある場合、交戦中のキャラも同じダメージを食らってしまう(ショットガンの流れ弾に当たる?)。


 ショットガンは強力だが反撃持ちにはリスクが高く、弾薬も2つしかない。

 そこで弾薬を補給できる追加の弾薬だ。

 これは弾を3つ補給できる、ショットガンには欠かせない補助カードだ。

「私は『百科事典』ね」

 コスト2で装備し、このカードを使用すると、自分と同じ場所にいる探索者の任意の能力を+2できる。

 探索で手がかりを見つけたい時は知能を、敵を倒したい時は戦闘を、回避したい時は敏捷を+2できて、何度でも使えるかなり便利なカードだ。

 ショットガンと組み合わせれば+5。

 2発撃てるので、判定に大成功すれば1ラウンドで10ダメージ以上与えられる。

 これでたいていの敵は一発で殺せるだろう。

 ……デッキからショットガンを引ければの話だが。


「そっちはどうですか?」


 難易度・難しいでプレイしている先生とアリスの様子をうかがう。

「あとは祭司を倒すだけですね」

「コスト5で『ダイナマイト』を使用しマス」

「ダイナマイトってなんだっけ?」

「自分のいる場所、もしくはそこに繋がっている場所を指定して、その場にいるキャラ全員に3ダメージを与えます」

「自分たちも爆発に巻き込まれてるじゃない!」


「もーまんたい。所持品ボディガードがディフェンスしてくれマスよ?」


「……めちゃくちゃだな」

「えくすぷろーじょん!」

 こうしてダイナマイトを起爆し、自分と仲間と数匹のザコとグールの祭司をまとめて吹っ飛ばした。

 屋敷ごと吹っ飛んでいるような気がするのだが、エピローグで屋敷を燃やすか燃やさないかの選択を迫られる。

「どーしマスか?」

「もちろん燃やします」

「……なにがもちろんなのよ」


「家を燃やすのはクトゥルフもののお約束です!」


「そんなお約束あるんですか?」

「ありますよ? クトゥルフもののTRPGでは屋敷へうかつに足を踏み入れると死ぬので、怪しい建物があったらとりあえず燃やしておけというのが一部の探索者のスタンスです。まあ、そのせいでシナリオが崩壊し、セッションの進行が不可能になって涙を流すGMゲームマスターが量産されたんですが」

 クトゥルフ神話の闇は深い。

 平行世界のアーランドたちは異形の化け物を外に出さないために屋敷を燃やし、精神的トラウマを1つ得る。


 トラウマを受けると、次のシナリオでは正気度の最大値が-1されるらしい。


 ……家を燃やすと強力なカードを入手できるものの、アーランドのみならずプレイヤーにも精神的トラウマを与える嫌な選択肢だ。


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