奥スクロールSTGセット【ピーナッツとコーラ】
以前投稿した奥スクロールシューティング回を分割・再構成しただけなので真新しいネタはありません。
参考ゲーム
キングダムハーツ リ・コーデット
罪と罰
スペースハリアー
「なんか変なの始まったぞ」
「奥スクロールシューティングね」
プレイしているのは携帯機版『キングオブハート』のミニゲームだ。
敵は画面の奥から現れ、自キャラは強制スクロールで画面の奥へ向かって進む。
シューティングなので攻撃は剣ではなく魔法。
ボタンを押せばショットを放つ。
ジャンプして障害物を避けつつ、敵を攻撃することになる。
横スクロールの時と同じくアイテムを取ると強力な技が使える。
もちろん温存せずに使ったほうがいい。
キャラの前にはロックオンサイトがあり、ショットボタンを押しっぱなしにしていれば複数の敵や障害物を同時にロックオンして攻撃できる。
ロックオンして撃つとショットが敵を追いかけてくれる。
大ダメージを与えたいならボタン連打、ハイスコアを狙うのならロックオンだ。
厄介なのは障害物。
地面に並んでいるだけでなく、アクションゲーム特有の空中に浮いているブロックがある。
もちろんシューティングゲームなので障害物に当たればダメージを食らう。
ボタン連打では空中にぽつぽつと浮かんでいるブロックを破壊するのが難しい。
ロックオンしたほうが確実だ。
「ジャンプすると一瞬攻撃が遅れるな」
「十字キーの上を押してもジャンプできるわよ。上を押し続けてると、ふわふわ浮いて下に落ちるスピードが遅くなるから」
「ボタンより十字キーのほうがいいな」
ジャンプもショットも右の親指で押すので、ジャンプをボタン操作にするとショットボタンを押すのが遅れる。
特にボタンの長押しでジャンプの滞空時間を長くしている時はなおさらだ。
ただし、
ぐるん
「おおう!?」
画面が90度傾いた。
床が壁になり、重力に逆らって壁を走っているような状態だ。
画面が傾いているので十字キーの上を押してもジャンプできない。
左に傾いているのでジャンプをするなら十字キーの左だ。
そしてしばらくすると180度傾き、天地が逆になる。
この場合ジャンプは下だ。
画面が傾くと操作感覚が変わり、ショットを狙って当てにくい。
ロックオンが重要だ。
「お、ボスか」
ボスの攻撃を避わしつつ、ロックオンで確実に仕留めようかと思ったものの、これだと戦闘が長引いてしまう。
戦闘が長引けば負けてしまう可能性も高くなる。
ボスの攻撃を警戒しすぎて無駄に動きすぎな気もする。
ここはボスに軸を合わせて連射だ。
ボスが横へ動かない限り、こちらも横には動かない。
ロックオンではなくボタン連打でボスの足にショットを叩き込み、ボスが攻撃してきたらジャンプで避わす。
ボスは縦に長いので、ジャンプしながらでも連射できる。
やはりロックオンよりこっちのほうが効率的だ。
「独立したシューティングゲームとして発売してもよさそうだな」
「似たようなのはあるけどね」
「そうなのか」
『積みと罰』
リモコン型コントローラー対応の奥スクロールだ。
システム的にはキングオブハートに似ている。
リモコンで照準を合わせてショット。
ボタンを押しっぱなしにするとエネルギーをチャージでき、広範囲に攻撃できる(ただし一度チャージショットを撃つとしばらく撃てない)。
そして近接攻撃。
接近してきた敵や相手の弾幕を撃ち落す剣だ。
「剣で敵の攻撃を弾き返すこともできるわよ」
「何発撃ち返しても当たらないんだが」
「リモコンで照準している場所に弾き返すのよ」
「難しいな」
敵に照準を向けている時に、こっちへ向かって弾き返せる攻撃を撃ってくれれば問題ないのだが……。
そう都合よくはいかない。
自分から拾いに行って弾き返す必要がある。
「ずっと飛べるんだな」
ジャンプして敵の攻撃を避わすこともできるが、ジャンプするぐらいなら空を飛んでいたほうがいい。
一度飛べばずっと空を飛んでいられる。
「移動範囲が広いな。画面全体を動き回れる」
「奥スクロールならではね」
縦スクロールなら画面下から画面上へ向かって進むため、上から下へやってくる敵の攻撃を避わすために画面下に自機を配置することが多い。
横スクロールは左から右なので、画面の左端に自機を配置することが多い。
●縦スクロール
━━━━━━━
敵
↓
↑
自
━━━━━━━
●横スクロール
| |
|自→ ←敵|
| |
画面端で左右(横スクロールなら上下)にだけ動いて弾を避わすことが多い。
だが奥スクロールでは後ろに下がれない。
画面上のどこに自機を動かしても『敵の弾がこちらへ届く速度は変わらない』のだ。
しかも敵は奥にいるため、自機は敵に当たる心配をすることなく画面全体を動き回ることができる。
●奥スクロール
・(敵・画面奥から手前に進んでくる)
↑
●(自機・常に画面手前)
敵は奥にいるので、敵がまだ奥にいる間は自機が・へ移動しても当らない
敵は主人公を狙って体当たり、または弾を撃ってくる。
このゲームでは画面全体を動き回れるので、敵の攻撃を避わすのは楽そうだ。
画面全体を使って、円を描くように自機を動かして弾を避わすことができる。
つまり左に敵の攻撃を誘導しておいて、円を描きながら右へ逃げるのだ。
縦スクロールや横スクロールのシューティングでも使われる、敵弾を避わす基本テクニックである。
上
左 右
下
敵は自機のいる場所に弾を撃つので、左→下→右→上→左……と画面全体をぐるぐる動き回っていれば当たらない
空中での移動速度は遅いものの、緊急回避ボタンもあるので問題はない。
緊急回避は一瞬無敵時間が発生する上に、空を飛ぶことによって画面全体を動き回ることができる。
敵の弾を広範囲に散らせるので地上よりも空中のほうが安全だ。
無敵時間を利用して物理的に避わせない攻撃を避わすのもいい。
端 端
端━━━━━端
端 ↓ 端
端 端
端 主 端
レーザーが画面上から落ちてくる
画面上から画面下へ落ちてくるので物理的に絶対避わせない
緊急回避の無敵時間を利用してすり抜ける
……ただ空中のふわふわした感じはあまり好みではない。
空中での移動速度が遅いので、空中ステージだとどうしてもスピード感に欠けてしまう。
弾幕が激しくなってくると動いて敵の攻撃を避わすというより、緊急回避の無敵時間を利用してすり抜けるのが多くなるのもいまいちだ。
やはり弾幕を華麗に避わすのはシューティングの醍醐味の1つ。
地上メインのステージはスピード感があるだけに惜しい。
「もっとスピード感があればな」
「それなら『コスモハリアー』ね」
コスモハリアーといいながら『ジョンウー』なるゲームをセットした。
『虎が如く』の原点ともいえるゲームで、ゲームセンターに行くとミニゲームのコスモハリアーをプレイできるらしい。
ジョンウーよりグラフィックが荒い。
ミニゲームとして収録されているだけあって、かなり古いゲームのようだ。
「ある意味、敵より障害物のほうが怖いな」
「そうね。スクロールが速いし」
このゲームの最大の売りはスピード感。
かなりの速度で奥へ向かってスクロールしていく。
スクロールが早ければ早いほど、画面奥にある障害物がものすごいスピードでこちらに迫ってくる。
敵や弾に意識を集中していると激突して死ぬ。
そしてこの障害物があるがゆえに、円運動で敵の攻撃を避わしつづけることができない。
おそらく円運動をしていれば敵の攻撃を避わせてしまうので、それを邪魔するために障害物を配置しているのだろう。
ピンッ
「たまに聞こえるこの音はなんだ?」
「ロックオンよ。見えないけどハリアーの正面にロックオンサイトがあるらしくて、ロックオンしてショットを撃つと敵を追尾してくれるの」
「……なんで見えないんだよ」
「見えると難易度下がるからじゃない?」
「いや、見えないとロックオンの存在すら気づかないだろ」
「不親切なのは昔のゲームの特徴よ。そもそもゲーセンのゲームなんだから、適度にゲームオーバーにしないとお金稼げないし」
昔のゲーセンは恐ろしい。
ちゅどーん
「な、そこに岩!?」
「主人公の奥から出てきたから見えなかったのね」
「ぐ……」
厄介なのはハリアーのいる場所は奥が見えないこと。
ハリアーのいる場所から障害物が出てくると避わすのが難しい。
・
↑
●
敵がまだ奥にいる間は●が・へ移動しても当らない。
つまり●の奥に・があっても見えない。
ショットを無駄に連射するとさらに奥が見えにくくなる。
敵や破壊できる障害物にぶつからないためにはショットを連射する必要があるのに、連射するほど視界が悪くなって破壊できない障害物が見えにくくなる。
結果、
ちゅどーん
「ぐああ!?」
事故死してしまう。
やはり一番恐ろしいのは破壊できない障害物だ。
破壊できる障害物もうかつに壊すと爆発で奥が見えなくなることもあるので、無駄撃ちはしないほうがいい。
高速スクロールステージでは画面下だけでなく、画面上にも障害物が現れるのが厄介だ。
だいたい上→下→上→下→上……と交互に出てくるのが唯一の救いか。
この法則に気づかないと反応しきれずに衝突する。
「暗記ゲーだな」
敵の出現位置を覚え、出現した直後に撃つ従来のシューティングと違い、障害物の位置を覚えてぶつからないように避ける。
そういうゲームだ。
「なんかつまめるおやつない?」
「その辺にあるの適当に食え」
「ピーナッツぐらいしかないじゃない」
ブツブツ文句言いながらも、塩ピーナッツをつまみながらコーラを一口。
そして、
「てい!」
一口飲んで中に隙間ができたコーラのペットボトルへ、ピーナッツをぶちこんだ。
アメリカ南部でよくある食べ方らしい。
このまま5分から10分おけば食べ頃だ。
「スコアアタックしない?」
「俺に勝ち目ないだろ」
「私は片手だけでプレイするから」
「それならいいだろう」
「やった! これで一食浮かすんだから!」
喜び勇んでプレイする。
さすがにスティックとボタン操作を片手でするのは難しいはず。
……そう思ったのが甘かった。
「ニュートラル!」
「な!?」
不意にコントローラーのアナログスティックから指を放す。
するとハリアーが自動的に画面中央へ戻った。
スティックをニュートラルにするとこうなるらしい。
おまけに高速で迫ってきた障害物をすり抜けた。
「なんだこれ」
「画面下の障害物の多くは、ハリアーがニュートラルポジションにいる時ギリギリで当たらないのよ」
明らかに当たっているように見えるものの、当たり判定ギリギリのところでハリアーの真下を通過するようだ。
画面下の障害物を避ける場合は自分で操作するよりも、スティックをニュートラルにしたほうがいいらしい。
画面端に動いてからニュートラルに戻せば、中央に戻りつつ敵の攻撃を避わすこともできる。
片手でスティックとボタンを操作するのは難だが、この仕様を利用すれば意外にプレイできてしまうのだ。
そして、
「コーラおいしい」
……ピーナッツ漬けのコーラが飲み頃になる頃にはハイスコアが更新されていた。
ピーナッツにはコーラが染み込み、コーラにはピーナッツの香りと塩気が移る。
クセは強いがハマる人間はとことんハマる味だ。
……逆にいえば合わない人間にはとことん合わない味である。
個人的には普通にピーナッツをつまんで、コーラを飲んだほうがうまい。
「くそ! ピーナッツとコーラとはいえ、金欠だから負けるときついな」
デジタルでもアナログでもゲーム費用がかさんでいるので懐に余裕がない。
ここは是が非でも勝たねば。
しかし、
ちゅどーん
「私の勝ちね」
「もう一回!」
ちゅどーん
「まだやる?」
「当たり前だ」
ちゅどーん
「そろそろ本気出すぞ」
「それはどうかしら」
「なに?」
すると不意にゲーム画面が切り替わった。
ジョンウーの画面に戻ったのだ。
「なんでだ?」
「だってこれゲーセンのミニゲームだもの。お金ないとプレイできないわよ」
「あ」
……まさかゲーム内でも金欠になるとは思わなかった。




