東方Projectセット【もみじ饅頭と麦茶】
参考ゲーム
東方風神録
上海アリス幻樂団「東方プロジェクト」 F0004-4
東方Projectセット【もみじ饅頭と麦茶】
『東方風神録をインストール中です。もみじ饅頭でも食べながらまったりお待ちください』
「なんだこれ」
「東方名物のシステムメッセージよ。毎回インストールする時にこういうメッセージが出てくるの。麦茶とかかき氷とかラスクとかいちご大福とか」
よくネタにされる有名な同人ゲーム『東方プロジェクト』の一作らしい。
「というわけで、今日はもみじ饅頭と麦茶ね」
「あいよ」
とりあえず常連の客からもらったもみじ饅頭と、夏場には欠かせない麦茶を用意。
麦茶はじっくり煮だした本格的なやつではあるものの、
「はー、落ち着くわー」
……絵面だけを見ると喫茶店というより実家だ。
こうしてまったりお待ちしているとインストールが完了。
さっそく風神録とやらを起動する。
「……見るだけで死ねるな」
いわゆる『弾幕シューティング』であり、敵の弾が画面を埋め尽くした。
敵の攻撃が激しいシューティングはプレイしたことがあるものの、本格的な弾幕シューティングは何気に初めて観る気がする。
「なんでこの弾幕を避わせるんだよ」
「弾は規則的に飛んでくるから、慣れてくると回避ルートがだいたいわかってくるのよ。たとえば『奇数弾』」
敵
●
●●●
● ● ●
● ● ●
自
「列が奇数の弾は自分に向かって飛んでくるから、少しだけ動いて避わすの。『偶数弾』はその場を動かなければ当たらないから」
敵
● ●
● ●
● ●
● ●
● ●
自
「二重三重に弾が飛んできても基本は同じよ。コツさえわかれば意外に避わせるんだから」
「……弾が多すぎてわけがわからなくなりそうだけどな」
「プレイしてれば感覚的にわかるからへーきへーき」
すいすい敵の弾を避わし、ボムを撃ち、あっという間にボスを撃破。
難易度ノーマルとはいえうますぎる。
「システムもシンプルすぎて歯ごたえが足りないわね」
「……お前のプレイヤースキルがおかしいだけだ」
今度は俺が東方をプレイしてみる。
パソコン用のパッドを持っていないのでキーボード操作だ。
キーボードの配置上、ゲームパッドと違って左手でボタン操作、右手で移動をすることになる。
この時点で不安だ。
そして案の定、
ぴちゅーん
……操作に慣れず、開始数秒で被弾。
なんとか動けるようになっても結果はあまり変わらない。
「低速移動ボタン押しなさいよ」
「これか」
自機の動きが遅くなった。
このゲームは移動速度がかなり速いので、低速移動をしないと自分から弾にぶつかって死ぬ。
これで少しは避わせるようになった。
「敵を倒した時に出るアイテムはどれを拾えばいいんだ」
「基本はパワーね」
Pを取るたびにパワーが0.05増える。
「パワーが1上がると攻撃力が上がるけど、パワーはボムと兼用だから」
「兼用?」
「ボムを使うとパワーが1減るのよ」
「マジか」
ボムを使うと画面全体の弾幕を消せる上に、ダメージを与えられる。
しかしパワーの最大値は5。
フルパワーでも5発しかボムを打てないということだ。
多いのか少ないのかわからない。
「アイテム拾うの難しくないか?」
敵を倒すとアイテムを落とすのだが、アイテムはまず画面の上に飛び、放物線を描くようにして落ちてくる。
P←アイテム
↑
敵
・
・←ショット
・
自
※敵を撃墜すると画面上にアイテムが飛び、一定の高さまで飛ぶと落ちてくる
シューティングゲームは敵の出現位置を覚え、出現した瞬間に撃つのがコツだ。
しかしこのゲームの仕様だと、出現した直後の敵を撃つとアイテムが画面外に消える。
一応アイテムは落ちてくるのだが、敵は次々と現れるので落ちてくるのを待っていると後手に回ってしまう。
慣れていないとアイテムと敵の攻撃と自分のショットが見分けづらいのでなおさら辛い。
「風神録だと『上部回収』は必須ね。ゲーム画面の上部に自機が移動すると、アイテムを自動回収してくれるの」
「お、本当だ」
自機が画面上部へ行くと、アイテムが自機に吸い込まれた。
どれだけアイテムが離れた位置にあっても吸い込んでくれる。
かなり便利だ。
ただし、
ぴちゅーん
……このゲームは縦スクロール。
多くの敵は画面上からやってくる。
画面上に行くということは、敵が出現する場所に近づくということ。
何も考えずに上部回収しようとするとピチュる。
要注意だ。
「風神録なんてまだかわいいもんよ。シリーズによってはフルパワー状態じゃないと上部回収できないし……。敵を引き付けてから撃って、アイテムが画面上に消えないようにしないと回収するのも難しいんだから」
「……地獄だな」
上部回収に感謝しながらパワーアップアイテムを拾っていく。
自機がだいぶ強化された。
火力は充分。
「『抱え落ち』しないようにね」
「抱え落ち?」
「ボムを撃たずに死ぬことよ。ボムは弾幕を消してくれるわけだから、ボムの数は残機と同じなのよ」
「最大で5だからこれ以上パワーアップアイテムは出ない。道中はザコがたくさんアイテム落とすから温存するのももったいないってことか」
このゲームは死んでもステージの最初やチェックポイントから再開というシステムではない。
死ぬとその場で復活する。
そして復活する際、自機からパワーアップアイテムが射出された。
そのアイテムを拾えばボムを補給できる。
おそらくボムなしだと復活してもすぐに殺される(ボス戦だと特にそうなりやすい)ので、ボムを補給できるようにしているのだろう。
だからこそボムを抱えずに撃ち尽くすことが重要になる。
最大パワーは5、つまり5発ボムが撃てる。
残機がある限り復活でき、なおかつボムを補給できるので、うまくやればボス戦で20回近く死ねる(ボムで自分に当たる弾を消せる)ということだ。
弾幕こそ厳しいものの、ボムが多く、当たり判定もかなり小さいので自分で思っている以上に進める。
「慣れてくると避わす方向が見えてくるな」
「そうそう。隙間が道に見えてくるのよね」
面白いことに、弾が密集しているほうが簡単な場合も多い。
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●●● ●●
●● ●●●●
●● ●●●●●
●=弾
実際にはもっと隙間が空いてるものの、だいたいこんなイメージである。
慣れてくると隙間が道に見えるのだ。
弾が密集しているとこの隙間を通るしかない。
もっと隙間が空いてると複数の回避ルートがあるため、判断が遅れたりルートを間違えて死ぬ。
密集していればルートは1つしかないので迷うことがない(弾幕ゲームは計算されて作られているので、回避不能攻撃やランダム弾でない限り避わせる。もちろん例外はあるが)。
弾幕ゲームは弾の速度が遅いのでルートがわかれば結構避わせてしまうのだ。
初級者は弾の数だけで判断してしまいがちなので、弾の多いほうが簡単になることもあるというのは意外だろう。
奥が深い。
「弾の誘導ってこういうことか」
ボスが弾をばら撒くので移動できる範囲がどんどん狭くなっていく。
なのでわざと狭い場所(画面の端っこなど)に移動し、そこへ攻撃を誘導して逃げる。
後半になるほどボスの攻撃は激しくなっていくので、なるべく攻撃を狭い範囲に誘導して後半まで広いスペースを確保しておく。
画面全体に弾をばら撒くボスも、直接自機を狙ってくる攻撃が1つしかないので、その直接攻撃さえ避わしてしまえばボスの懐が一番安全だ。
自機に向かって猛スピードの連続攻撃を仕掛けてくる敵も、自機の現在地に向かって攻撃してくるので、まず画面端に移動し、攻撃が始まったら超低速移動ですーっと横に移動し続けるだけで避わせる(同時に遅い弾を画面全体にばら撒いてくるものの、一瞬だけボタンから手を放して低速移動になり、加速すれば避わせる)。
ボスはある一定の攻撃をパターン通りに繰り出してくることが多いので、パターンを覚えると偶数弾や奇数弾のようにスッと避わせた。
覚えるといっても論理的に覚えるわけではない。
感覚的なものだ。
だいたいこのあたりまで移動すれば当たらない。
おそらくこのタイミングで前に出れば弾の間をすり抜けながら接近できる。
それが本能的にわかる。
集中力が高まって脳内麻薬がどんどん分泌されているような感じがしてきた。
シューターが夢中になるのもなんとなくわかる。
欠点があるとすれば、
「ぐ、手首が……!」
キーボード操作なので長時間プレイしていると手首が痛くなること。
パッドが欲しくなる瞬間だ。
キーボードからパッドに変えてしまうとプレイ感覚も変わってしまう可能性はあるが……。
できれば手首の痛くならないパッドでずっとプレイしていたい作品である。
「仕方ない、パッド買うか」
「え、プレシテで使ってるパッド。パソコンにも対応してるわよ?」
「それを早く言えよ!」
「だって私キーボード派だし」




