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【コミカライズ掲載中】電気代払えませんが非電源(アナログ)ゲームカフェなので問題ありません  作者: 東方不敗@ボードゲーム発売中
本編

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ソードワールド2.0セット【キューカンバーサンドイッチとカフェモカ】


「ルキスラ上空にレッドドラゴンが出現しました。ルキスラの飛行船協会から依頼が出ています。どうしても今日中に積荷を運ばないといけない。今のところ都市に危害を加えてはいないが、襲ってこないという保証はない。護衛求む」


「引き受けまショー」

「まあ、引き受けない理由はないわな」

「ではNPCの冒険者も仲間に加わり、前金を受け取って飛行船に乗り込みます」

「ん? ちょっと待ってください。俺と瑞穂はライダーですけど、空を飛べる騎獣は持ってません」


飛行船スカイシップに積荷の1つである騎獣と、ライダーギルドの役員がいます。前金でレンタルしてください」


「じゃあドラゴネットね」

「のー」

「え、ダメなの?」

「ワイバーンにするべきデス」

「なんでだ?」


「ドラゴネット2匹のマネーで、ワイバーンを5匹レンタルできマス」


 ちなみにワイバーンは1匹4000G、ドラゴネットは1匹10000Gだ。

「二人乗りできる『タンデム』技能があるんだぞ。何匹もレンタルしてどうすんだ?」

「チェンジすることができマス」

「チェンジ? あ、別のワイバーンに乗り換えるのね!」

「なるほど。4人パーティ+騎獣2匹だと回復しようにもMPが不足しがちだ。だからダメージを負ったワイバーンは乗り換えたほうがいいのか」

「いぐざくとりー」

 レンタルできる騎獣のレベルは冒険者レベルに依存する。

 ワイバーンのレベルは7から9。

 ドラゴネットは10から12。

 今回はレベル10のサンプルキャラを使ってるので、ワイバーンならレベル9、ドラゴネットならレベル10だ。

 レベル9のワイバーン×5とレベル10のドラゴネット×2なら、ワイバーン5匹のほうがいいに決まっている。


「残念ながら騎獣1種類につき1頭しかレンタルできません」


「え」

「……金をやりくりしてドラゴネットとワイバーンを2頭ずつレンタルするか」

「そうね」

 色々と装備を調整して2頭ずつそろえる。

 これで準備は万端。


「今日はカッパサンドとチョコスプーンね」


「……なんだ、カッパサンドって」

「きゅうりのサンドイッチ」

「最初からそう言え」

 ようするにキューカンバーサンドイッチだ。

 チョコスプーンはスプーンの先端にチョコを固めたもの。

「チョコはダークチョコレートね。それとコーヒー」

「エスプレッソをお願いします」

「ホットミルクをプリーズ」

 ホットミルクに溶かして飲むのが一般的だ。

 コーヒーに溶かしてカフェモカにするのも悪くないだろう。

 キューカンバーサンドイッチに合わせるものではないような気もするが、この辺は好みの問題だ。

「時間が惜しい。さっそく出発しよう。飛行船が飛び立ちます」


「サラマンダーよりはやーい!」


「サラマンダーに乗ったことないだろ」

「お約束なの」

「?」

「そうこうしているうちにレッドドラゴンに発見されました」

「ぎゃおす!」

「……そんな鳴き声ではありませんが、とにかくレッドドラゴンが襲い掛かってきました。やつを追い払ってくれ!」

「はーい」

「ちなみに『ルキスラ航空戦』は特殊ルールの空中戦になります」

「ドッグファイト?」

「違います。距離が高さに変わるだけなので」

「10m移動が10m上昇とか下降になるってこと?」


「はい。同じ高度にいれば攻撃できます」


高度コードがゼロになったらダメージですネ?」

「もちろん落下ダメージです」

「えーと、落下ダメージの計算式は……」

「落下距離×3です」

「……高度の3倍? やばすぎでしょ」

 受け身判定はスカウトorレンジャー技能レベル+敏捷度ボーナスに2dだ(金属鎧を装備していると達成値に-4)。

 達成値の分だけダメージを軽減できる(達成値20ならダメージを20軽減できる)わけだが、10m落下するだけで30ダメージなので、高高度からの落下だとあまり意味はないだろう。

「ドラゴンを倒すにはコア部位の頭部を破壊しないといけないのよね?」

「ああ。でもこのドラゴンは体がでかいから『攻撃障害』がある。胴体を破壊しないと頭部に近接攻撃が届かない」

「ボディとヘッドでトータルHPが300(スリーハンドレット)オーバーなのデスが……」


「ドラゴンの翼を破壊して、落下ダメージで倒せってことだろ」


「それはプレイヤーの自由です。ちなみに落下状態になると1ラウンドで10m落ちます。落馬した時点で10m落ちるのでご注意を」

落馬フォールのジョーケンはなんデス?」

「意識を失ったり、転倒判定のある攻撃を受けると落馬します」

 先生のことだから、たぶん状態異常攻撃を多用してくるだろう。


「それでは戦闘開始です」


 飛行船から騎獣で飛び立たたねばならない。

 なので戦闘開始時の高度は60mだ。

 もちろん飛行船も攻撃対象であり、HPが0になったら墜落する。

 危なくなったら飛行船の内部へ逃げることもできるらしい。

 最大搭載数は10。


 飛行船へ乗るのは主動作、降りるのは補助動作だ。


「まずはフィールドプロテクション2だな」

 全員が同じ場所にいる内に補助魔法をかけ、

「ワイバーン、行きまーす!」

 高度60mの飛行船から2人乗りワイバーンが飛び立った。

 飛行状態のワイバーンの移動力は30m。


 上昇する場合、移動力は-10m。

 下降する場合、移動力は+10m。


 とりあえず上昇して高度70mにいるドラゴンへ接近。

「えーと『チャージ』と『高所攻撃』と『超高所攻撃』で+6か。……強いな」

 チャージは騎獣で走りながら攻撃する特技。

 移動距離5mごとに近接攻撃の追加ダメージを+1できる。

 高所攻撃は高い位置から攻撃する特技。

 物理ダメージを+2できる。

 超高所攻撃になるとさらに+2。


 しかもライダーには『獅子奮迅』の能力もある。


 騎獣が複数の部位を持っている場合、任意の2つの部位に主動作を行わせることができる。

「集中攻撃だ!」

 チャージと超高所攻撃、そして獅子奮迅でレッドドラゴンの翼を連続攻撃。


ころころ


 相手の防護点が15もあるので合計21ダメージだ。

 そう易々とは破壊できない。

「チャージ!」

 続いて瑞穂もレッドドラゴンを攻撃するものの、


ころころ


「あばば!?」

 ……サイコロに嫌われ、ほとんどダメージを与えられなかった。

「スナイプ!」


ころころ


「ひらり」

「のー!?」

 防護点無視のガン攻撃も回避されてしまった。

 でかいくせに回避力も高い。

「それではこちらの番ですね。まずは再生能力で翼のHPを回復」

「げ」


「ついでに尻尾で薙ぎ払います。ツインテール!」


「同じ高度にいるPCにダメージ?」

「はい。乱戦エリア内にいる任意の5体へダメージです。しかも転倒効果があります」

「マジか」


ころころ


「あうち!」

「くそ、落馬だ!」

「NPCも落ちましたね」

 俺とNPCが10m落下する。

「俺のワイバーンはレッドドラゴンと『乱戦状態』だから、乱戦状態からの離脱を宣言しないと移動できないんだよな。しかもワイバーンに拾ってもらうまで何もできん」


「そこでワイヤーアンカーなのデス!」


「む、その手がありましたか」

「ワイヤーアンカーってなに?」

「ワイヤーを射出して目標をからめとる魔法だろ。たしか先端にフックもついてたな」

「それ魔法なの?」


「弾丸に魔法を込めるように、魔動機術は科学と魔法が融合したような技術ですから。ちなみにワイヤーアンカーは200キロの重さまで耐えられ、1ラウンドで10mこちらへ引き寄せることができます」


「お、引っ張り上げてもらえれば騎乗できるな!」

「ワイヤーアクションの前にグライダーマントを使っておきまショー」

 グライダーマントは移動力20で空を飛ぶ魔法。

 これなら空中でも行動できる。

「あいきゃんふらい!」

 補助動作なので移動の前にも使える魔法だ。

 ガンは射程距離が長いので離れていても問題ない。

 俺はアリスにワイヤーで引っ張り上げられ、


「落下している人を受け止める場合、落下したPCも受け止めたPCも落下ダメージを受けます」


「うああ!?」

 受け身判定で落下ダメージを軽減し、アリスの助けを借りて無事にワイバーンへ騎乗する。

 NPCはまだ落下中だが、アリスがいるので地上に激突することはないだろう。


「なかなかやりますね。ではここで半径10mのブレス攻撃です。範囲内にいる20体へ魔法ダメージ」


「あれ? この戦闘の場合、半径10mって高低差10mよね?」

「はい。なので飛行船にも当たります」

「ぎゃー!?」

「スカイシップはレベル14でHP200だから大丈夫だろ」


「このスカイシップは複数部位で、積荷にもHPが設定されています」


「げ」

 慌ててデータを確認。

 スカイシップが落ちることはまずないだろうが……、

「ぬ、このままではアイテムがブレイクされマス」

「だな」

 積荷は危ない。

 特に範囲攻撃のブレスは致命的だ。

 俺たちのHPもやばい。

 NPCも絶賛落下中だ。

「ブレスをどうにかしたいな」

「口を使えなくするタイプの技なんてないでしょ」


「ではワイヤーアンカーを使いまショー」


「また?」

「なにに使うんだ?」

「ドラゴンもアリゲーターと同じなのデス」

「は?」

「ワニ?」


「噛む力は強くても、口を開く力は弱いということですね」


「いぐざくとりー。ワイヤーアンカーで口をグルグル巻きにしマス」

 ワイヤーアンカー恐るべし。

 基本的にブレスは連続した手番で使えない(2ラウンド連続で使えない)ので、1ラウンド開けてからブレスを封じにいく。

「ワイヤーアンカーを敵に使うのなら、魔力と回避を基準値にして達成値を比べあいます」

「のーぷろぶれむ!」

「特定部位を選択して『からみ』を行うので、判定は-4です」

「-4!?」

 魔法でドラゴンの回避を下げつつ、アリスの行使判定を上げ、


ころころ


「バインド!」

 見事に口をグルグル巻きにした。


「もちろんアリスさんは空中を引き回されます」


打首ウチクビ獄門ゴクモン!?」

「それは市中引き回しだ」

 ドラゴンは複数部位なので力と体重の差があり、ドラゴンにワイヤーを引っかけているアリスは空中を引っ張りまわされる。

 通常ワイヤーアンカーを食らうと回避が-2されるものの、この場合はマイナス修正がない。

 その後もワイヤーアンカーを駆使してブレスを封じ……ようとして失敗しつつ、傷ついたワイバーンからドラゴネットへ乗り換え、翼へちくちくダメージを積み重ねたものの、


「急降下攻撃!」


「げ!?」

 急降下で乱戦状態から離脱しながらの範囲攻撃。

 ついでに高度も10m下がる。

「……まずい。このままだとコア部位を破壊できんぞ!」

 落下ダメージは高度×3だから、高度10mでダメージが30も減る。

 この差は大きい。

 できれば即死させたい。


「こまった時のワイヤーアンカーなのデス」


「……だいたい想像がつくわね」

「でもワイヤーは200キロまでしか耐えられないんだぞ。しかもドラゴンは複数部位のモンスターだから、引っ張るどころか逆に引きずられる」

「ドラゴンのパワーを利用しまショー。フィッシングですネ」

「……判定が難しいですね。ドラゴンもワイバーンも高速で飛びながら戦ってるわけですから、その力を利用することは必ずしも不可能ではありませんけど……」

「二段構えの作戦にしてもいいかもな。ワイヤーでこっちに引っ張ったら、ドラゴンは反射的に逆方向へ動くはず」


「つまり釣り上げやすいように、下へ引っ張ってドラゴンの進行方向をコントロールすると?」


「はい」

「ではマギテック技能と器用度ボーナスで判定してみましょう」

「ダイスロール!」


ころころ


「成功です」

「フィッシュオン! ドラゴンのマウスにフックを投げ込みまシタ!」

「フックを固定して引っ張ると、ドラゴンは反射的に逆方向へ飛びました。アリスさんもそっちへ引っ張られます」

「じゃあ引っ張りまわされるアリスを空中で拾います」

「では受け身判定を」

「はい。アリスを両手で受け止めつつ、ワイバーンを上昇させて釣り上げます!」


ころころ


「判定成功。ドラゴンの力を利用して釣り上げました。反動でワイヤーが千切れるものの、高度が10m上昇します」

「やった!」

「フィッシング!」

 狙い通りドラゴンの高度を上げることに成功。

 そして翼へ集中攻撃を叩き込み、


「右翼が落ちました」


「よっしゃ!」

 二重の意味でドラゴンが落下。


ころころ


「受け身判定は無意味でしたね。即死です」

「うぃなー!」


「……ただ市街地に被害が出てしまいました」


「え」

「ルキスラ上空で戦っていたわけですから当然ですね」

「で、でもこのイベント、落下ダメージで倒すこと前提よね?」

「誰も市街地に落とせとは言ってません」

「……なんてこった」

 市街地への被害は甚大。


 ドラゴンの落下とともに、俺たちの名誉点も加速度的に落ちていったという。


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