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【コミカライズ掲載中】電気代払えませんが非電源(アナログ)ゲームカフェなので問題ありません  作者: 東方不敗@ボードゲーム発売中
本編

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232/382

ソードワールド2.0セット【バウムクーヘンとブルーマウンテン】

使用サプリメント バウムガルトの迷宮城

「……また本が増えてるな」

「リプレイね」

 おそらく先生が置いていったものだろう。

 表紙は完全にライトノベルだが、中身はTRPGのリプレイだ。

 リプレイとは雑誌のインタビューや会議を文章化するように、TRPGのセッションを文字に起こしたものである。

 もちろん読み物として楽しめるように編集済みだ。

 海外では面白いセッションができたら小説化するらしいのだが、日本ではそのまま刊行するというリプレイ文化が根付いているらしい。


 ルールブックを読むよりわかりやすく、面白いのでTRPG入門には最適だろう。


 ちなみにリプレイはほぼGM目線で書かれている。

 PLプレイヤー目線で書かれたものはまずない。

 PL目線だと誰かの視点に偏ったり、全員の心理描写に時間を取られるので、セッションを客観視できるGM目線が最適なのだろう。

「ん? なんだこれ?」


『バウムガルトの迷宮城』


 ソードワールド2.0のリプレイ小説なのだが、巻末にランダムダンジョンで遊べるサプリメントが収録されていた。

「お、これGMなしでも遊べるみたいだぞ」

「しかもルールブック1(改訂版)だけで遊べるのね」

 2と3もあるにこしたことはないのだろうが、1だけのほうが気楽だ。

「キャラメイクするの面倒だからサンプルキャラにしよう」


「じゃあ私は『シャドウの密偵』ね」


 シャドウは黒に近い灰褐色の肌を持ち、額に第3の目を持つ種族だ。

桃園タオユェン瑞穂ルイスイなら、タオユェンかしら」

 例によって自分の名前を付けた。

 シャドウということもあってアサシンっぽい。


「……なんで男のイラストがないんだ」


 ドワーフ、ルーンフォーク、ナイトメアなどのサンプルキャラクターの挿絵は、男と女のイラストが描かれているのに、エルフやシャドウは女性だけだ。

 サンプルとはいえ、男のイラストがないキャラは選びづらい。

「無難に人間の戦士にしよう。PCは最低でも3人いるから、あと1人選べるぞ」

「じゃあエルフね。アリスっぽいし」

 種族のイメージなのか、エルフのサンプルイラストには女性しかいない。

 たしかにアリスに似ている(こんな表情はめったにしないが)。

「シナリオはあってないようなもんだな」


 借金を返すためにランダム生成ダンジョンに潜ってお宝を見つける。


 それだけの話だ。

 イベント発生表などはあるものの、『何も起こらない』『お宝発見』『敵が現れる』しかない。

 デジタルゲームでよくあるタイプのダンジョン探索型RPGだ。

「借金はいくらに設定する?」

「40000Gでいいんじゃない。これならすぐ終わるみたいだし」

 借金の額によってレギュレーションが決まっており、金額が高くなるほど制限時間とプレイ時間が長くなる。

 40000Gなら制限時間は4日、セッションはだいたい2~3時間で終わるようだ。

「細かいルールはプレイしながら覚えることにしよう。とりあえず潜るか」

「そうね」

 さっそくバウムガルト城へ向かう。



【探索1日目】


 バウムガルト城にあるダンジョンは『魔剣の迷宮』というものらしい。


 巨大な力を持つ魔剣が己の持ち手となるべき者を試すべく、周囲を迷宮化することによってできるダンジョンだ。

 1日ごとにダンジョンの内部構造が変わり、中に落ちてるアイテムも変わるため、貴重なお宝を目当てに世界中から冒険者が集まるという。

 ただし、


『ひとり1000Gだ』


 城の門番ゴーントによってきっちり入場料を取られる。

「高くない?」

「それだけ価値のあるお宝がたくさん転がってるんだろ」

 3人なので3000G。

 一応、資金は20000Gあるので大丈夫だ。

 目標金額は40000G。

 1日でクリアするなら23000、2日なら26000、3日なら29000、4日なら32000かかる。

 もちろんこの金額には装備品や消耗品、宿泊費や食事は含まれていないので、実際にはもっとかかるだろう。

「ん、迷宮の中は暗いのか」


 灯りがないと生命抵抗力判定、精神抵抗力判定、死亡判定を除くあらゆる行為判定に-4のペナルティを受ける。


「なんでドワーフにしなかったのよ」

「仕方ないだろ、知らなかったんだから」

 エルフとシャドウは種族特徴に暗視(暗い場所でも目が見える)がある。

 人間にはない。

 松明たいまつかランタン、あるいは光を発生させる魔法が必要だ。

「エルフの神聖魔法に光を発生させる魔法があるわね」


「でもMP3だぞ。人間もエルフもシャドウも所持品に冒険者セットがある。松明が18本もあるわけだから、わざわざMPを消費するのはもったいない」


「それもそうね」

 松明を持つと片手が塞がってしまう。

 人間の戦士とシャドウは片手武器と盾を装備しているので持てない。

 なので武器を持ってないエルフに松明を持たせることにした。

「えーと、潜ったばっかりだから探索ポイントは10、深度は0。2d+深度でダンジョンに生成される部屋が決定か」


ころころ


 3ゾロ


 『客間』が生成された。

 生成された部屋によって様々な効果がある。

 宿舎では休息でき、礼拝堂ではすべての行為判定が+1される。

 ……客間や広間、通路、食堂、遊技場などは何もない。

 いい部屋を生成したかったら深く潜るしかなさそうだ。

「次はイベント表ね」


ころころ


「エンカウント!」

 敵と遭遇した。


ころころ


 蛮族に遭遇。

 冒険者レベルの平均で1dを振り、敵の種類を決める。


ころころ


 ゴブリン×2とレッドキャップ×2だ。

「……この表、やばいな」

「なにこれ、最低でも3匹は敵が出るじゃない」

 遭遇表には×2、×3、×4が並んでいる。

 連続で戦闘イベントが発生するとやばい。


ころころ


 ゴブリンもレッドキャップも知名度・弱点値判定に成功(GMがいないので、知名度は自動的に成功しないとプレイできない)。

 ゴブリンの弱点は魔法ダメージ+2、レッドキャップは命中+1。

「先制値は11ね」


 ころころ


「げっつ!」

 シャドウの先制値は初期値としてはかなり高い5。

 余裕で先制を取った。

「えーと、戦場は敵軍後方エリア、前線乱戦エリア、自軍後方エリアに分かれてるのよね」



敵軍後方エリア ⇔ 前線乱戦エリア ⇔ 自軍後方エリア

       10m       10m



「ああ。先攻を取ったほうが先にキャラ配置を決められる。そして後攻は、最低でも先攻が前線エリアに出した人数の半分は前線に送らないといけない」

「ゴブリンもレッドキャップも近接攻撃しかできないじゃない」

 つまり先攻にしろ後攻にしろ、4体とも前線に出てくるわけだ。

 集中攻撃されるとやばい。

 前線に1人でもいる限り、後方へ攻め込まれることはないのがありがたい。

「私とあんたが前線、アリスが自軍後方ね」

「いや、リプレイによると最初は俺たちも自軍後方にいたほうがいいみたいだぞ。これなら前線に敵しかいないから、同士討ちを気にせず範囲魔法を打てる」

「じゃあアリスはバニッシュね」

 蛮族やアンデッドに悪影響を与える魔法だ。


ころころ


 魔法行使判定は成功。

 次は効果表だ。


ころころ


 対象は恐怖に襲われ、行動が妨げられる。

 18ラウンドの間、命中、回避、行使判定に-1。

「やった!」

「でかした」

 これでグッと戦いやすくなった。

「前線エリアに移動してレッドキャップを攻撃!」


ころころ


 1と4


「……あぶな。命中+1がなかったら外れてたわよ」


ころころ


 2と3


 ダメージ2、追加ダメージは4。

 レッドキャップの防護点は1なので5ダメージ。

 HPは18なので半分も削れていない。

「まずいな。全力攻撃を宣言して、バスタードソードで両手攻撃」

 バスタードは片手と両手で威力が違う。

 もちろん両手で攻撃したほうがダメージは大きい。


ころころ


 楽勝で命中、全力攻撃と追加ダメージだけで8なので、2dで6以上出せば倒せる。


ころころ


 4と6


「よし!」

 クリティカルだが、ダメージを上乗せするまでもない。

 これで1体落とした。

 次は敵の手番だ。

「ん? 敵の行動決定表はないのか?」

「無難に考えると、手の届く範囲にいる一番HPの低いキャラに攻撃でしょうね」

「つまりお前だな」

「……命中下げといてよかった」

 ゴブリン、レッドキャップともに命中は10(-1)。

 シャドウの回避力は6。

 さて、どこまで避わせるか。


ころころ


「ひらり!」

 1体目回避。


ころころ


「ふぁさっ!」

 マント(?)をひるがえして2体目も余裕で回避。


ころころ


「どんなもんじゃーい!」

「マジか」

 全部避わしてしまった。

 回避力6は伊達ではない。

 瑞穂にはまず当たらないので、次は回避4の俺を狙うのが自然だろう。

 1体でも数を減らさねば。

「両手持ちで全力攻撃!」


ころころ


 命中、ダメージは12。


「トドメ!」


ころころ


 1と3


「……切り替えていこー」

 盛大に外した。

 エルフは攻撃手段を持ってないので、このまま敵の手番へ。


ころころ


「……人間の戦士じゃなけりゃ死んでたな」

 全力攻撃による回避-2のペナルティ修正のせいで全弾直撃。

 計18ダメージ。

 防護点4がなければ死んでいた。

「瀕死のゴブリン倒してキュア・ウーンズで回復ね」


ころころ


 ゴブリンにトドメを刺し、アリスの回復魔法で11回復。

 回避2ではさすがにまずいので俺は全力攻撃を控え、


ころころ


「まあ、こんなもんだろ」

 回避+2で敵の攻撃を華麗に避わす。

 当たらなければ楽勝だ。

 キュア・ウーンズでHPを完全回復しつつ、


「うぃなー!」


 最終的にはHP満タンの状態で敵を殲滅。

 回避率の重要さを改めて実感する戦闘だった。

 戦利品は武器(30G)と赤い髪(10G)。

 あまりうれしくない。

「次に進むか」

 探索ポイントを-1(0になったら地上に戻る)、深度を+1して(生成される場所表の判定は現在の深度+2d。深く潜るほど高い数値が出る)先へ進む。


ころころ


 ……また客間で、イベント表でも何も起こらなかった。

 やむなく次へ進む。


ころころ


「お!」

 通路で初めてのお宝を発見した。

 まずは罠表。


ころころ


 罠はない。

 宝箱は障害なしに開けられる。

「第一段階クリア!」

 次は財宝決定表。

 中に入っているお宝の種類を決める。


ころころ


「武器だな」

 次は2dを2回振って武器の種類を決める。

 重要なのは最初の2d。

 これが高いほどお宝の価値も高くなる。

「6ゾロこい!」


ころころ


 5と6


「惜しい!」

「上々だ」

 最後に武器の種類を決める。


ころころ


「コンポジットボウだな。9800で売れるぞ!」

「9800!? もしかして楽勝でクリアできるんじゃない?」

「……そういうことは思ってても口にするな」

 だいたい後で大変なことになる。


ころころ


「お宝♪ お宝♪」

 広間で再び宝箱発見。


ころころ


 探索判定11(難易度は並)の罠が仕掛けられている。

 スカウトorレンジャー技能レベル+知力ボーナスで判定。


ころころ


 成功。

「お、ドラゴンスレイヤー! ……でも2760Gか。Aランクの武器だから装備もできん」

「レベル3にすればAランク武器の習熟特技が取れるでしょ」

「これ、必要筋力28なんだよ。現在値17だから持ってるだけ無駄だ」

「……こんなに価値のないドラゴンスレイヤーも珍しいわね」

「このダンジョンが特殊すぎるんだよ」

 本来ならレベル2で手に入るアイテムではない。


 まあ、分不相応のアイテムが手に入るドキドキがあるので、お宝表のサイコロを振るのは楽しいのだが。


「次は深度4だな」


ころころ


「また広間か……。イベントは『名のある敵と遭遇』?」

「なにそれ」

「……今回の遭遇表で現れる、最も魔物レベルの高い魔物1体は、レベルと同じ数の剣のかけらで強化されている」


ころころ


 1ゾロ


「……遭遇した魔物の数をすべて2倍する。もう一度この表を振る」

「2倍!? さっきの戦闘でいうと、ゴブリンとレッドキャップが4体ずつ出てくるってこと!?」

「そうなるな」

「いやー!?」


ころころ


 魔法生物と遭遇。

 オークが4体とチェストトラップビーストが2体。

「チェストトラップビーストはレベル3だからHP25に+15。しかも2d+4で連続攻撃してくる。……まともに相手にしたら死ぬな」

「逃げましょ」

「えーと、逃亡のルールは……。手番の時に主動作で宣言すれば、判定の必要なく逃げられる」

「ペナルティないの?」

「探索ポイントが-3、深度が1d減るらしい」

「死ぬよりマシね」

「だな」


ころころ


 敵から逃げ出し、深度を減らすために1d振る。



 深度が0になった。

 探索ポイントは残り3。

 瑞穂を回復し、再び先へ進む。


ころころ


 広間で宝箱発見。

「ラッキー」

「まだ罠判定が残ってるぞ」


ころころ


 罠はない。

 ツキには見放されてないようだ。


ころころ


「プレートアーマー、1200Gだ」

「しょぼ」

 探索ポイント残り2、深度1。


ころころ


「お、宿舎だ。イベント解決後に探索ポイントを4消費すれば、3時間睡眠による休息を行える」

「足りないわね」

 現状では意味のない効果だ。


ころころ


 お宝発見。

 さっきから2dで7~9ばかり出ている気がする。

 お宝が多くて助かるが。


ころころ


 3と6でまたしても9。

 罠はない。


ころころ


 1と2


「……中に何も入ってない」

「ぎゃー!?」

 無念。

「いや、人間の種族特性『運命変転』がある。1日に1回、行為判定のサイコロを引っくり返せるから5と6にしょう。防具発見だ!」


ころころ


 1ゾロ


「……バックラー、60G」

「なんのために運命変転したのよ」

「探索できるのはあと1回なんだぞ。ここで使っておかないと、無駄になる可能性があるだろ」

「それもそうね」

 最後の探索だ。


ころころ


 敵の出現。


ころころ


「……多くの敵と遭遇」

「ぎゃー!?」


ころころ


「……平均冒険者レベルを+1にする」

「逃げましょ」

 戦闘開始と同時にディーラ×8から逃げ出し、探索ポイントが0になった。

 バウムガルト城を脱出。

 拠点であるフェノール商店へ戻る。


「オーリーヴィーアー!」


 なんのネタかわからないが、叫びながら商店の店主オリヴィアにお宝を渡す。

 ちなみにオリヴィアはどんなアイテムも基本取引価格で売りさばく敏腕だ(プレイヤーが普通にアイテムを売ろうとすると、だいたい基本取引価格の半額になる)。

「レベルアップできるの?」

「深度5以上に3回潜らないと経験点がもらえないから無理だ」

「え、じゃあ今回の探索は?」

「深度5未満だから回数に入らない」

「……最悪」

 1日の最後にはオリヴィアの趣味である占いをする。

 これは明日の運勢を占うもので、出目によって判定が+1されたり-1されたりするらしい。


ころころ


 6


「金運最高!」

 財宝決定表が+1され、価値のあるお宝が手に入りやすくなった。

 2日でクリアするなら26000G。

 あと12000Gぐらいだ。

 強い敵と遭遇しなければイケるだろう。

 ……遭遇しなければの話だが。




【探索2日目】


「探索再開する前になんか食っとこう。なにがいい?」


「バウム!」


「……まあ、そう言うことはだいたい予想できてたよ」

 用意していたバウムクーヘンをテーブルに並べる。

「パサパサしてない?」

「売れ残りだからな。だがそれがいい」

 飲み物はコーヒー。

 それもブルーマウンテンだ。

 浅煎りでなみなみとつぐ。

「あ、おいしい」

 パサパサしていても、酸味があって量の多いブルーマウンテンなら喉を潤しつつ、最後までおいしく食べさせてくれる。

 必ずしもしっとりしているバウムクーヘンが最良なわけではない。

 何事も食べ方次第だ。

「リプレイ読もっと」

 こうしてリプレイ小説を読みつつ、バウムクーヘンとブルーマウンテンを味わうこと15分。


「競馬やりたい」


「は?」

 唐突にわけのわからないことを言い始めた。

「リプレイに出てくるやつか」

「そうそう」

 第1話『借金は十万ガメル』でやっているギャンブルだ。


 倍率は1.2倍、1.4倍、2倍、3倍、5倍。


 レースが始まると各自が2dを振り、その合計値が走った距離になる。

 1.2倍の馬は固定値に+2、1.4倍が+1、2倍は0、3倍が-1で、5倍が-2の修正を受ける。

 誰かが合計30を超えた時点でレースは終了。

 複数人が同時にゴールした場合、合計値の高い馬が勝ち。

 1ゾロを出した場合、騎手が落馬して失格。

 賭け金に上限はない。


「2倍に3000G!」


「……1回だけだからな」

「馬の名前考えなきゃ」

「お前はもっと他のことを考えろ」

 2倍の馬は瑞穂が、それ以外は俺が振ることにする。

「金運最高潮だから+1ね」

 せこい。

「それではガメル1、バウムガルトダービーの開催です!」



ころころ



【G1・バウムガルトダービー】


1投目


スペリオルウィーク/1.2倍/11(4・5+2)

サイエンススズカ/1.4倍/11(5ゾロ+1)

ヨロコンドルパサー/2倍/7(3ゾロ+1)

トウザイテイオー/3倍/9(4・6-1)

グラスサンダー/5倍/5(3・4-2)


「無理だな」

「勝負はこれからよ!」



ころころ



2投目


スペリオルウィーク/1.2倍/10(2・6+2)/21

サイエンススズカ/1.4倍/8(3・4+1)/19

ヨロコンドルパサー/2倍/7(1・5+1)/14

トウザイテイオー/3倍/6(1・6-1)/15

グラスサンダー/5倍/7(3・6-2)/12



「上位2頭が落馬してくれるのを祈るしかないな」

「1ゾロ出て! 1ゾロ!」

「無茶言うな」



ころころ



3投目


スペリオルウィーク/1.2倍/14(6ゾロ+2)/35



「あああ!?」

「……だからやめろって言ったんだ」

「うう……」

 最初のスペリオルウィークであっさりゴール。

 ヨロコンドルパサーは14なので、6ゾロ+1でも30には届かない。

 ゲームオーバーだ。

「地道に潜って稼ぐぞ」

「はーい」

 競馬で稼ぐのは諦め、門番のゴーントに3000G払ってバウムガルト城に入城。


ころころ


 2連続で3と4。

 生成されたのは広間で、イベントは何も起こらない。

 次に進む。


ころころ


「きたー!」

 客間で宝箱発見。


ころころ


「……解除しにくい罠がかけられてる」

「えー」

 目標値は13。


ころころ


 5と6で成功。

「金運最高潮!」


ころころ


「……ドラゴンスレイヤーだ」

「また!?」

 2760Gなので競馬の負けはほぼ取り戻した。

 本番はこれからだ。


ころころ


「また広間か……」


ころころ


 6ゾロ


「おお!? 珍しい宝箱発見! 財宝決定表+1だ!」

「金運と合わせて+2!?」

 マジで金運最高潮なのかもしれない。


ころころ


 罠はない。

 イケる。

「絶好のチャンスだからな。運命変転のために俺が振るぞ」

「どうぞどうぞ」


ころころ


 種類は防具、4と5+2で決定表は11。

 最低でも2750Gのお宝が手に入る。

「こい!」


ころころ


 2ゾロ

「運命変転!」

 サイコロをひっくり返して5ゾロ。

 +2で達成値は12。


「フルメタルアーマー。金属鎧のSランク、11000Gだ!」


「最高記録更新!」

 コンポジットボウを超えた。

 もう少しで目標金額にも到達する。


ころころ


 宿舎でイベントは何も起こらない。


ころころ


 5ゾロ+深度4で武器庫が生成される。

「おお、財宝決定表で+1!」


ころころ


 1ゾロ


「……強敵出現」

「いやー!?」


ころころ


 アンデッド&魔神と遭遇。

「ゾンビ3体だ」

「あれ、意外に弱い?」

「レベル2、全力攻撃、精神効果無効、HPが25と少し高めだ」


ころころ


「知識判定成功。回復効果ダメージ+3点だ。アリスのキュア・ウーンズでダメージを与えられる」

「楽勝ね」

 先制値7なので順当に先攻をゲット。

「魔法拡大/数、キュア・ウーンズでゾンビ3体を攻撃!」

「全力攻撃!」

「必殺攻撃!」

 あっという間にゾンビ2体を倒し、残り1体。


ころころ


「これぐらいなら大丈夫だ」

 全力攻撃が直撃して9ダメージ。

 無駄な抵抗だ。

 次の手番でゾンビを始末し、

「戦利品でゾンビの眼球を手に入れたぞ」

「ぐろ……」

 ちなみに30Gで売れる。

 薬になるらしい。

 絶対に服用したくないが。


ころころ


 宿舎で宝箱発見。

 しかし解除しにくい罠が仕掛けられており、全員判定失敗。

「……もう少しで規定金額に届きそうだから開ける?」

「そうだな」

 鍵はかかってないので開けることはできる。

 もちろん開けたらトラップ発動だ。


ころころ


「催涙ガスだ」

 目標値10で生命抵抗力判定。


ころころ


「ぎゃー!?」

 瑞穂が失敗。

 探索ポイントを5消費するまで、生命抵抗、精神抵抗、生死抵抗判定を除くすべての判定に-1。

 お宝を入手するためなら安いペナルティだ。


ころころ


 5と6


「おおお!? +1だからSSランク武器、最低でも46000Gだ!」

「SSレア確定ガチャ!?」


ころころ


 3と4


「SSガン、デスペラード、80000G!」

「酒盛りじゃー!」

 2日目にして目標金額の2倍をゲット。


「競馬していい?」


「オリヴィアが客にこれを売らないと金にならないんだから、80000Gが入るのは次の探索が終わった後だぞ。今回の探索が終わればクリアだからデスペラード資金で競馬はできん」

「10000Gしか賭けられないのね」

「……結局やるのかよ」

「とーぜん!」


ころころ


「……早くデスペラード渡してクリアしましょ」

 競馬に負けたのは言うまでもない。

「じゃあオリヴィアにデスペラードを渡してラストバトルだ。お宝目当てにフェノール商店へ族が侵入」

 敵は『魔道に魅入られた魔法使い』と『腕利きの傭兵』が1体ずつ。

 そして『ごろつき用心棒』はPCの人数-1体なので2体。


「腕利きの傭兵は剣のかけら4つでHP+20か。……ん? 魔法使いはレベル4、腕利きの傭兵はかけらの影響でHP70、打撃力2d+10!? めちゃくちゃ強いぞ!?」


「ぎゃー!?」


 幸運によってSSアイテムを入手したばっかりに、レベルアップする間もなく目標金額を達成した俺たちは、盗賊に対抗するすべもなくデスペラードを奪われ、オリヴィアの店は借金の抵当に取られてしまった。


 ……幸運に恵まれていたのは金運だけだったらしい。


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