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【コミカライズ掲載中】電気代払えませんが非電源(アナログ)ゲームカフェなので問題ありません  作者: 東方不敗@ボードゲーム発売中
本編

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キャラゲーセット【チョコレートバーとオレンジジュース】

参考ゲーム

ジョジョの奇妙な冒険 オールスターバトル

北斗の拳

テニスの王子様 学園祭の王子様

仙界通録正史


「なにこの大量のCD」

「『フュージョン』だ。いつもモダンジャズばっかりかけてるからな、たまには気分転換でフュージョンもいいだろ」

「フュージョンバンドは全然わかんないのよね」


「そこで『徐々』だ」


「は?」

「『徐々に奇妙な冒険』はロック由来のネーミングが多いだろ。ロックをネタにするからには、当然ロックとジャズを融合したフュージョンネタもある」

「……盲点だったわ」

「有名なのは『サンターナ』『ウェザー・レポート』『アーク・ウインド&ファイアー』あたりか」

「これフュージョンだったんだ」

「フュージョンに限定しなければジャズネタはもっとたくさんあるぞ。6部の舞台になったブルー・ドルフィン・ストリート刑務所はジャズのスタンダード『オン・ブルー・ドルフィン・ストリート』だし、7部のラスボスだったファニー・ハロウィン大統領も『マイ・ファニー・ハロウィン』だ」

「へー」


 他にもアニメ版3部のエンディングテーマ『ファースト・トレイン・ホーム』や、『ア・ポコ・ロコ』『ケリー・G』『マンハッタン・トランスフォーマー』『イン・ア・サージェントウェイ』など、枚挙にいとまがない。


「オレンジジュースとチョコレートバー食べなきゃ」


「そんなの原作に出てきたか?」

「6部で出てきたでしょ。ジュースとチョコの幽霊」

「……幽霊屋敷のやつか」

 幽霊の出る屋敷ではなく、屋敷そのものが幽霊という設定だ。

 正確には超能力によって可視化された幽霊である。

 徐々なら他にも印象に残るおやつがあるはずなのに、チョイスがマニアックすぎてわからなかった。


 ちなみに幽霊のチョコやジュースは食べれば味を感じられるものの、腹は膨れないし栄養も取れない。


 極めて限定的な効果しか発揮できない幽霊ではあるが、カロリーを気にすることなくいくらでも食べられる夢のようなスイーツでもある。

「アーモンドチョコおいしい」

「ふとるぞ」

 ……もちろん現実のチョコバーとジュースは除く。


「ここは徐々のキャラゲーの出番ね」


「キャラゲー?」

「人気にあやかって発売されたゲーム。だいたいアニメか漫画のメディアミックス作品だけど、昔は芸能人のゲームも出てたわね。『きよしの挑戦状』とか」

「有名なクソゲーだな」

「そもそもキャラゲーは面白さを期待するものじゃないから。原作再現されてれば充分。昔はキャラゲーに名作なしって呼ばれてたぐらいだし」

「へえ」

 だが徐々のキャラゲー『オールスタンドバトル』はPVが無駄によくできている。

 グラフィックはかなり綺麗で、声優も豪華(声優には詳しくないが実力派を集めているのはわかる)、原作再現はほぼ完ぺき。

 これは絶対に面白い。

 PVを観れば確信できる。


「アイシクルピック!」


 ……しかしキャラゲーに名作なしという言葉に偽りはなかった。

 強いキャラは極端に強く、弱いキャラは極端に弱い。

 対処法を知らないとなす術もなくやられる。

「開発者はゲームバランス取る気ないな」

 バトル漫画なので原作を再現するほど、パワーバランスが崩れてゲームとして成立しないのだ。


 だがそれがいい。


 どうせ格闘ゲームとして成立しないのなら、とことん忠実に再現したほうがいい。

 そういうことだろう。

 これをバランスの悪いクソゲーと呼ぶほうが間違っている。

 根本的に楽しみ方が違うのだ。

 原作通りの能力で相手をほんろうし、原作ではありえなかった夢の対決を実現させる。

 たとえゲームとして成立していなくても、それだけで楽しい。

 瞬殺されるのはむしろ忠実に再現されている証で、ファンにはうれしいだろう。


「ふふふ。キャラゲーといえば『南斗の拳』も避けては通れないわね!」


「……グラフィックしょぼいな」

「3D黎明期なんだからしょうがないでしょ。でもフルボイスで原作再現も半端ないわよ。OPからしてこれだし」


『Your Shock!』


「おおう!?」

 原作アニメのOPが主題歌付きで再現されている。

 グラフィックはしょぼいが、制作陣の気合がうかがえる。

 もちろんプレイするのはストーリーモード。

 格闘ゲームではなく3Dアクションゲームである。

 昔の3Dアクションの特徴として、カメラが固定されていた。


 カメラを動かせないので距離感がつかめず、敵に攻撃を当てるのが難しい。


 ただ敵にパンチを当ててから蹴りを出すと、ぐるっと円を描くような回し蹴りで周囲を薙ぎ払えるので、敵が多くても何とかなる。

 基本はボタン連打なのでコマンド入力も簡単。

 敵が光っている時に攻撃を当てると南斗神拳発動。


『↑↑↓↓←→←→』


「QTE!?」

 コマンド入力に成功すると南斗神拳がさく裂して敵は即死。

 なおボスは体力ゲージを0にしても、南斗神拳を当てないと倒せない。

 体力が低くなればなるほど体が光りやすくなるので、体力を削るのは必須だ。

「たしかにキャラゲーとしてはよくできてるかもしれんが、わりと普通じゃないか?」


「ふふん。このゲームはクリアしてからが本番なのよ。1度クリアした章は『世紀末シアター』で自由に編集できるんだから!」


「シアターモードって1度観たイベントシーンを鑑賞できるやつだろ。編集ってなんだ?」

「セリフを入れ替えられるのよ」

「は?」

「たとえば南斗神拳で秘孔を突かれると……」

 世紀末シアターでザコの秘孔を突くシーンを再生する。


『お前はもう死んでいる』

『ひでぶ!?』


「変な叫び声を上げながら死ぬでしょ? でもこうすると……」

 なにやら編集して再びシーンを再生。


『お前はもう死んでいる』

『我が生涯に一片の悔いなし!』


「こういう風にセリフを入れ替えられるわけ」

「……ザコのくせに無駄にかっこよく死んだな。でも声優が違うだろ」

「中の人が違ってもいいのよ。イベントシーンそのものはいじれないけど、一度クリアした章のセリフなら性別が違っても入れ替えられるんだから」

 再びなにやら編集してシーン再生。


『あなたを愛します』

『てめえらの血は何色だー!?』


「……カオスすぎる」

 屈強な主人公がヒロインの声で愛の告白をしつつ南斗神拳で秘孔を突き、ザコがよくわからないことを叫びながら死んだ。

 スタッフは何を考えてこんなモードを入れたのか。

 セリフが多いので目当てのものを探すのも大変だ。

 イベントそのものはいじれないので、シーンに合ったセリフを入れないといけない。

 面白いシーンを作れたとしても、前後の繋がりが悪いと意味不明になる。


 ただこのゲーム、フルボイスでも口が動いていない。


 実力派の声優がそろっているので声で誰がしゃべっているのか判別できるものの、逆にこれを利用すれば『本来ならしゃべっていないキャラをしゃべらせることができる』。

 口パクがないおかげでシチュエーションをいじりやすいのだ。


『俺の名前を言ってみろ』

『マリアー!』

『貴様のようなババアがいるか』


「あはは!」

「……一人でやっててむなしくならないのか、これ」

「ゲーム雑誌で世紀末シアターのコーナーがあって、カオスな作品を募集したりしてたのよ」

「マジか」


「マジよ。『テニスの王女様』の乙女ゲーにもミニドラマモードあったし。『封神演義』のゲームなんてシアターモードしかないんだから」


「……それはもうゲームじゃないだろ」

「世紀末シアターではできなかった細かい編集ができるのよ! ちなみに攻略本も出てて、全キャラのセリフが収録されてて便利なんだから」

 製作者も攻略本を発売した会社も頭がおかしい。

「そういえば封神演義のアニメ、いま放送してるわね。チェックしないと」

 パソコンで某動画配信サイトを開き、アニメを視聴し始めた。

「……」

「……」

「……」

「……」

「……端折りすぎてて意味がわからんな」

 原作が長いので仕方ないにしても、脚本がひどすぎる。

 ちなみにこれは2回目のアニメ化で、1回目のアニメもひどかったらしい。

 2連続でこうなるのはある意味すごい。


「ゲームの出番が来たようね!」


 ゲームで封神演義のストーリーを編集し始めた。

 ……わりと本気でこちらのほうがクオリティが高いあたり、アニメ版がいかに世紀末だったかわかる。


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