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【コミカライズ掲載中】電気代払えませんが非電源(アナログ)ゲームカフェなので問題ありません  作者: 東方不敗@ボードゲーム発売中
本編

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メディアミックスセット【ロールケーキと抹茶】

参考ゲーム

アマガミ

ガンパレード・マーチ

ラジアータストーリーズ

ましろ色シンフォニー

トゥルーティアーズ


『あの泣きゲーが待望のコミカライズ!』


 漫画の帯にはそう書かれていた。

「漫画買わずにゲームやれよ」

「『フォーチュン・アストラル』も『傷跡』も原作は18禁でコンシューマに移植されてないのよ」

「じゃあ、なんで『うたがわれるもの』と『マスカレイド4』と『スーパーピースバスターズ』のアニメの円盤があるんだ。どれもゲーム持ってるだろ」

「ゲームもアニメもラジオも全部面白いから仕方ないでしょ!」


「仕方なくねえよ。……って、これサントラじゃなくてラジオのCDなのか? しかもVOL10ってなんだ。ラジオなのに10枚目のCD!?」


「長寿ラジオならそんなもんよ。アニラジはだいたいネットで配信されてるんだけど、動画サイトで配信されてる『ぶれらじ』は250万再生超えてるし、うたがわれるものなんてアクセスが集中してサーバー落ちたんだから」

「そんなに人気あるのか。でもCDだと80分しか収録できないだろ?」

「データ化して収録してるの。だからCDプレイヤーでは再生できないけど、今時CDプレイヤー使ってる人のほうが珍しいし。ちなみに初期のアニラジはデータ化しないで発売してたから100枚超えるわよ」

「……もはや置き場所に困るなんてレベルじゃないな」

 なおアニメは1クール(3ヶ月)単位で番組編成が行われているので、アニラジ(アニメ・ゲーム・声優などオタク業界のラジオ)も1クールか2クールで終わるものが多いらしい。

 AMやFMのラジオよりも放送期間が短いのでパッケージ化されても枚数が少なく、ラジオという媒体は声優と相性がいいので、コレクターアイテムとしてファンも購入しやすいようだ。


「それにしても買いすぎだろ。コミカライズとノベライズなんてハズレばっかりのイメージなんだが……」


「たしかに地雷は多いけど、原作はいいんだからちゃんとした人に描かせれば嫌でも面白くなるわよ。ゲーム作るより簡単だし」

「……簡単なのか? これ、50冊ぐらいあるぞ」

「『その日暮らしのなくころに』と『うみへびのなくころに』は細かく章が分かれてるから作画担当が違うでしょ」

「なるほど、分担作業か」

 2作とも推理もので、出題編と回答編に分かれており作画担当が違う。

 1人で50冊描くのは難しいが、この方式なら長編でも完結させられる。

 賢いやり方だ。

「しかも原作のシナリオを修正してるから、ある意味ゲーム版より評価高いんだから。特にうみへび」

「へえ」

「『プレパレード・マーチ』のノベライズもすごいわね。2巻から一人で14年も書いてるんだから」


「ノベライズなのに全45巻!?」


「途中からほぼオリジナル展開なのにちゃんと完結させてるあたり、原作愛を感じるわね」

 ゲームのノベライズとしては異例だ。

 よほど人気のあるのか、ドラマCDが8枚もある。

 それも本編のドラマCDではなく、没になったシナリオのドラマCDだ。

 他にもオリジナルキャラが原作に逆輸入された『ストライキファイターZERO』のスピンオフ漫画や、『ソーサリィ外伝2』のノベライズを下敷きにして書かれた『アラビアの朝の種族』など濃い作品が多い。


 『パチモンスペシャル』はパチモンでトレーナーにダイレクトアタックするのも珍しくない漫画で、『イビルチルドレン』は子供向け『狂戦士バーサーカー』と呼ばれるほどストーリーがえぐく、『星のビーカー』はそのカオスな内容から『深夜31時のアニメ』と呼ばれており、子供向けといっても侮れない。


 『OPS2ジ・アニメーション』はオンラインゲームOPS2をプレイするゲーマーのアニメという変化球だ(一応OPS2本編もアニメ化されているものの、個人的にはこっちのほうが面白い)。

 ソシャゲは本編をアニメ化するよりも、『進撃のバハムート』や『三国コレクション』のようにアニメオリジナル要素が強いもののほうが当たりのイメージだ。

 『キルミーホームズ』はカオスアニメが原作のゲームだと思われがちだが、実は後発のシリアス寄りなゲームのほうが原作で、作風の違いに戸惑うプレイヤーが多発したらしい。

 最近は『ソニック・ザ・ハリネズミ』『名探偵・光宙』『ランチャーデッド』『ザラストオブアース』などゲームの実写映画やドラマの良作も増えている。

「アニメ観なきゃ」

「……だからなんで原作のゲームじゃなくてアニメなんだ。DVDBOXよりゲームのほうが安いだろ」


「だってクリアするの時間かかるし。アニメならレベル上げとかソシャゲのデイリー任務こなしながら観れるじゃない」


「アニメだと逆に時間が短すぎて消化不良になるだろ」

 ゲームと違ってルート分岐できず、1クールなら12話から13話で話をまとめないといけない。

 ルート分岐がないので主人公の恋人になれるのは一人だけ。

 なので一番人気かメインキャラがメインヒロインとなり、選ばれなかったキャラは出番が減ってしまう。

 アニメの構造的な欠点だ。


「ふふふ。そこで『アラガミ』式よ! 1つのストーリーとしてまとめようとするからルート分岐が障害になる。だったらルートごとにアニメ化すればいいじゃない!」


「ルートごと?」

「キャラごとにストーリーを独立させるの。たとえば1話から4話までは綾波ルート、5話から8話までは桜木ルートみたいに。各ルートごとにストーリーは独立してるから、1クールですべてのキャラと恋人同士になれるわけ」

 つまり綾波ルートが終わったら一旦話がリセットされ、入学式や桜木との出会いから再び話が始まるわけだ。

「ありそうでない方式だな」


「欠点はあるけどね。4話で1キャラだとすると、1クールで3キャラしか攻略できないし」


「攻略キャラを増やすと話数が少なくなるから物足りない、と」

「そういうこと」

 シナリオ重視のゲームだと4話でも足りない。

 比較的話がシンプルで、攻略可能キャラが少ないゲームにしかできない荒業だ。

 アラガミは攻略可能キャラは多いが、人気作品なので2クール(26話)あるのが大きい。


「アラガミの9年後を舞台にした『サイレン』っていうアニメも作られたんだけど、評判がいまいちだったから1クールで終わっちゃったのよね。メインヒロイン6人いるから、アニメ2期とゲーム化の予定はあったはずなのに」


「ゲームのいいところを凝縮するからこそ成功した方式だからな。アニメからじゃ難しいだろ」

 むしろなんで先にアニメを作ったという案件だ。

 アニメ会社主導の企画だったんだろうか。

「長くなりそうだから何か食いながら見るか。なにがいい?」


「くり」


「くり? モンブランか?」

「ロールケーキがいい」

 どうやらうたがわれるものラジオネタらしい。

 マロンクリームとはいわれていないので、その辺のロールケーキへ適当にクリを突っ込む。

 クリとクリームでまったり甘いので、飲み物は抹茶だろう。

 こうしておやつを突きながらアニメを堪能する。

「やっぱりアラガミ面白いわね。ゲームとラジオCD買おっと」


「……ラジオCDだけで20枚もあるぞ。まずは1枚だけにしとけ」


「はーい。あとは『真っ白シンフォニー』と『トゥルーフィアーズ』かしら」

 真っ白シンフォニーのアニメはアラガミ式ではなく、メインヒロインっぽいキャラを中心に話が進む。

 ……かと思いきや、いつの間にかメインヒロインっぽいキャラが正妻戦争ヒロインレースから脱落した。

 気づけば予想もしていなかった先輩ルートに突入し、


紗那しゃなー!?」


 恋に破れたヒロインたちが滑り台で号泣する。

 ここまでがっつり失恋シーンが描かれるのも珍しい。

「なんでメインヒロインっぽいアイリーンでも、一番人気のありそうな紗那でもなくて先輩ルートなんだ」

「原作では紗那は攻略不能キャラで、アニメ放送の後に発売されたコンシューマ移植版で紗那ルートが追加されたんだって」

「……移植版を買わせるための先輩ルートか」

 サブキャラでありながら原作の人気投票で1位になり、なおかつアニメ化された先輩ルートでは思いっきり失恋する。


「買わなきゃ」


 ゲーマーの心を揺さぶる巧みな販売戦略だ。

「『ラジオタストーリーズ』に近いわね。あっちはコミカライズでハッピーエンド追加されたし」

「……ハッピーエンドを追加?」


「原作ゲームでは人間ルートと妖精ルートがあるんだけど、どっちを選んでも選ばれなかったほうは滅亡するのよ」


「人間と妖精の和解ルートとか、人間にも妖精にも味方しない中立ルートは?」

「なし」

 製作者の正気を疑う。

 ハッピーエンドが追加されるわけだ。

「話題作りのためにわざとバッドエンドにするのもありそうだな」


「その手のアニメ化ならなんといっても『スクランブルデイズ』よ! 主人公がクズだからアニメファンは残りのバッドエンドを見るためにゲーム買ったんだって」


「……そんなパターンもあるのかよ」

 メディア戦略も奥が深い。

「……アラガミと真っ白シンフォニーで今月どころか来月分のバイト代も危ないわね」

「しかもまだトゥルーフィアーズのアニメが残ってるぞ」

「う……」

 この後の展開が読める。


比呂絵ひろえー!?」


 またしても本命だったヒロインが恋に破れた。

 ダブルヒロイン、つまりメインヒロインが2人いる方式で、主人公がどちらかを選ぶストーリーなので一層この展開は視聴者へのダメージがでかい。

「か、買わなきゃ」

「……落ち着け」

 手が震えている。

 これ以上バイト代を前借したらしばらく極貧生活から抜け出せないのでさすがに躊躇しているらしい。

「……って、あれ? なにこのパッケージ」

「比呂絵がいないな。っていうか、誰だこのキャラ?」

 家庭用移植版のパッケージには比呂絵はおろか、アニメに登場したキャラが一人もいなかった。

 原作である18禁バージョンのパッケージも移植版と変わらない。

 あわてて公式サイトを確認する。


「え、アニメ版はゲームからタイトルだけ借りたオリジナルストーリー!? 比呂絵は!? 比呂絵ルートは!?」


「ないみたいだな」

「ぎゃー!?」


 アニメ放送後に比呂絵ルートを求めてゲームを買おうとしたオタクたちの嘆きが目に浮かぶ。


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