オープンワールドセット【フライドチキンとコーラ】
参考ゲーム
フォールアウト
ゼノブレイドクロス
「オススメのオープンワールドはあるか?」
「そうね。ファールアウト3とか? FPSだけどRPG要素あるから、レベル上げればどうにかなるわよ」
「……文字が小さくて読みにくいんだが」
「パソコン版をそのまま移植してる弊害ね。解像度が違うからどうしても読みにくくなるのよ」
洋ゲーなのでもとは英語であり、どうも海外版と同じ書体を使っているようだ。
アルファベット用のフォントだから日本語に向いていない。
まあ、文字が小さいのは一昔前のゲーム全般に言えることなのだが……。
オプションで画面の明るさや文字の色を変えれば少し読みやすくなる。
……だがそれでも読めない部分のほうが多い。
フルボイスなのでセリフは問題なくても、選択肢が読めない。
それに主人公はしゃべらないので、適当に選択肢を選ぶと何と返事をしたのかもわからない。
メニュー画面も文字が小さく、基本パラメータすら読めない。
テストプレイしているのかと疑いたくなる。
「……ただでさえFPSは目の疲れるジャンルなんだから、シューティング以外で目を酷使させるなよ」
「BBOX本体の設定をいじるしかないわね」
ゲームを中断して本体の設定をいじる。
これでなんとかプレイできるレベルになった(それでもところどころ読めないが)。
舞台は核シェルターの中。
シェルターの外は核戦争で崩壊しているらしい。
閉鎖された空間で暮らしているので住人の結束は固いのかと思いきや、
『ロールケーキをよこせ』
誕生日プレゼントとしてもらったケーキをよこせと凄まれる。
選択肢も豊富だ。
素直に渡すものから、絶対に渡さない、殴りかかる、ケーキにツバを吐いて渡すなど、日本のゲームではありえないカオスさである。
世紀末な世界観なので登場人物がことごとく頭がおかしい。
油断すると殺される。
シェルターを脱出してもそれは変わらない。
いや、もっとひどい。
プレイヤーに厳しすぎる世界観で、FPS初級者が生き延びるのは難しい。
唯一の救いはこのゲーム独特の戦闘システム『BATS』。
R2ボタンを押すと時間が止まり、敵がクローズアップされ、部位ごとに確率が表示される。
確率は装備している銃で攻撃した時の命中率だ。
BATSを発動すると、APを消費して敵を攻撃することができる。
自分で照準を合わせなくても、表示されている確率で攻撃できるわけだ。
しかもAPがある限り連続で攻撃できる。
動いている相手に手動で3発攻撃するよりも、BATSで3回攻撃したほうが命中率が高い。
命中率が高いということは、弾の節約にもなるということ。
それにBATSなら状況に応じて攻撃する場所を変えることができる。
まず足を撃って移動を封じよう、腕を撃って攻撃を封じよう、武器を破壊しよう、命中率の高い胴体を狙おう、クリティカル率の高い頭を狙おうなどなど。
手動では絶対にできない戦い方だ。
おまけにAPは時間経過で回復するので、BATS→逃げてAP回復→BATSという戦い方もできる。
APが足りなくてもBATSは役に立つ。
R2を押すとBATSの画面に切り替わるわけだが、実はこの時、BATSで狙っている部位に主人公の照準は向いている。
たとえばBATSを発動させて頭に照準を合わせておけば、BATSを切っても照準は頭に向いたままなのだ。
このシステムを利用すれば、APの少ない序盤でも敵と互角に戦える。
そしてBATSを発動させると、どれだけ離れていても敵が視界の中にいれば見つけることができるのもありがたい。
肉眼ではほとんど見えないぐらい遠くにいても敵を見つけられるので、移動中でも定期的にR2ボタンは押したほうがいい。
つくづくFPS初級者に優しいシステムだ。
問題は金が足りないこと。
弾も足りない。
武器に耐久力が設定されていて、定期的に修理しないと壊れる。
アイテムに重量が設定されており、一定の重さを超えると走れなくなる。
そのくせ倒した敵の所持品を奪うことができ(敵が持っているアイテムはすべて取れる)、そこら辺のごみ箱やロッカーの中にもアイテムが入っているので、ゴミあさりと所持品管理が大変だ。
回復アイテムも足りない。
ゲームの食糧は放射能に汚染されており、回復アイテムを使うたびに放射能に体が蝕まれていく。
寝れば体力は回復するものの、そもそも寝られる場所がない。
ベッドがあっても、そのベッドに所有者がいると寝られないのだ。
眠りたいのなら金を払うか、所有者を殺すしかない。
殺せば殺人犯になって追われる可能性があるので問題外だ。
やむなくコーラを飲みまくり、体力を回復する。
なおこの世界の通貨はキャップだ。
子供が瓶のフタを集めるように、この世界ではコーラのキャップが通貨として使われている。
なのでコーラを飲むと所持金が1キャップ増えた。
シュールだ。
「……自分のベッドを手に入れるのも一苦労だな」
「序盤が一番難しいゲームだもの」
スーパーマーケットを根城にしている荒くれ者を退治して、安全な寝床(トイレに敷かれているマット)を確保するとだいぶ楽になった。
だがFPSが苦手で、殺伐としすぎているのがしんどい。
「普通のオープンワールドRPGはないのか?」
「それならゼノソードクロスね」
「……このゲームも文字が小さいな」
携帯モードでプレイするとまったく読めない。
日本産のゲームでこれなのだから、洋ゲーが読めないのも当然だろう。
「ん、探索は面白いな。……ところどころ説明不足なのが気になるが」
スタミナの概念がないので無限に走れることができ、高いところから落ちても死なない。
しかも低重力なのかジャンプ力がすごい。
走ってジャンプするとかなり高い位置まで飛び移ることができた。
滑空こそできないが、人型ロボットを手に入れれば最終的に空も飛べるようになるらしい。
期待しておこう。
探索は祠探しに似ており、このゲームではアンテナを打ち込むポイントを探すのがメインだ。
ゼノソードの舞台は未開の惑星。
序盤からレベル50以上のモンスターがその辺を歩いている恐ろしい星であり、特殊なアンテナを地面に打ち込む(アンテナを立てるとモンスターに破壊されるので埋めている)とネットワークが形成される。
アンテナによって周囲に存在するモンスターの生態、地中に眠っているレアメタルなどの資源を調査・観測することができ、一定時間ごとに発掘することができる(報酬としてもらえる)。
惑星中にアンテナを打ち込むことでネットワークの調査範囲と観測精度を上げ、この星に墜落してしまった冷凍睡眠装置を探すのが目的だ。
冷凍睡眠装置には数万の一般人が眠っており、予備電源が切れる前に救出しないと全員死んでしまうらしい。
シビアな世界観だ。
クエストの種類は豊富。
それも単純な素材採取やモンスター討伐だけでなく、メインキャラの人間性を掘り下げるクエストなど目白押しである。
問題があるとすれば、
「……戦闘システムがよくわからん。なんで避わしたはずの攻撃に当たるんだ?」
「ゼノクロはアクションRPGじゃないからよ」
「なに?」
「戦闘中でもプレイヤーは自由に動けるから誤解しちゃうけど、リアルタイムのオート戦闘なの」
「……チュートリアルぐらいつけとけよ」
とにかく説明不足なゲームだ。
敵をロックオンしてボタンを押すと戦闘が始まる。
敵に見つかった場合も戦闘になるが、序盤のモンスターは草食系なのでプレイヤーから戦いを仕掛けない限り襲ってこない。
戦闘が始まると、ロックオンした敵を自動で攻撃する。
攻撃方法は二つ。
剣などの格闘(近接攻撃)武器と、銃などの射撃(遠距離攻撃)武器だ。
一度攻撃すると一定時間攻撃できない。
これを『リキャストタイム』という。
弾倉が空になったので装填するまで銃を撃てないということだろう。
……格闘武器のリキャストタイムは意味不明だが、細かいことを気にしてはいけない。
そしてもう一つ細かいことがある。
それが『避わしたはずなのに当たってしまう格闘武器のダメージ判定』だ。
格闘武器は明らかに敵に当たっていなくても、なぜかダメージ判定がある。
これがアクションRPGっぽいRPGの理由だ。
たとえば一昔前のターン性のRPGだと、戦闘画面では敵味方が横一列に並んでいる場合が多い。
敵 敵 敵
味 味 味
そしてコマンドで『たたかう』や『こうげき』を選ぶと、キャラクターが敵の前まで移動して武器を振り、また元の位置に戻る。
敵 敵 敵
味
↑ ↓
↑ ↓
味 味 味
敵に近づいて攻撃し、定位置に戻る
問題は『どんな敵が相手でも同じ動きをする』ことだ。
相手が小人や空を飛ぶ敵でも、いつもと同じように前に出て武器を振るのである。
もちろん普通に攻撃しても小人や空を飛ぶ敵に武器は当たらない。
だがシーン上では武器が当たってないように見えても、『ゲームシステム上は命中している』のである。
ゼノソードクロスもそれと同じだ。
敵の横や後ろに回り込んで攻撃を避わしても、RPGのシステム上、攻撃は確率で命中してしまうのである。
ただし敵の後ろに回りこむと命中率やクリティカル率、技によっては破壊力も上がるので、敵の横へ回り込むことはムダではない。
このシステムをきちんと理解していないと混乱すること必至。
おまけに複雑なシステムはまだある。
『ここよ! 格闘アーツで畳みかけて!』
プレイヤーは好きな『技』を7個までセットできる。
そして戦闘中、味方から『ソウルボイス』という指示が届き、『指示通りのアーツを使うとHPが回復』する。
「……どういう原理なんだ?」
「仲間と魂が共鳴したとか、多分そういう理屈でしょ」
適当すぎる。
このゲームには回復アイテムがない。
HPを回復するアーツは存在するものの、回復するのはアーツを使ったキャラだけ。
それにリキャストがあるので、アーツだけでは回復が間に合わなくなる。
リキャストが完了したからといってすぐにアーツを使うと、味方からソウルボイスが来た時に指示されたアーツが使えないのでHPを回復できない。
使いどころが肝心だ。
アーツは格闘、射撃、支援、弱体、オーラの5種類。
アーツは7個までセットできるので、使用頻度の高い格闘や射撃を2つセットしておき、残りは支援、弱体、オーラを1つずつセットしておくのがセオリーだろう。
味方のソウルボイスや、プレイヤーキャラによる『ソウルチャレンジ(音ゲーのようなボタン入力に成功すると、主人公が味方に向かってソウルボイスを発する)』は確率や状況によって発生頻度が変わる。
頻繁に起こることもあれば、まったく起こらないこともあるわけだ。
かなり運がからむシステムであり、RPGでありながらプレイヤーの思い通りに戦闘が進まない。
『ここよ! 格闘アーツで畳みかけて!』
「よしきた!」
それだけにソウルボイスが欲しい時に味方が声をかけてくれるとテンションが上がる。
このもどかしさも戦闘システムの一環なのだ。
おそらく人を選ぶシステムだろう。
味方と共闘している感じがするので個人的には好きな戦闘システムなのだが、あまり人にはオススメできない。
「お腹空いた」
「じゃあフライドチキンにするか」
「いえー!」
メインシナリオで毎回料理イベントがあり、そのうちの一つだ。
他にもお肉のワイン煮、ミートパイ、タンドリーチキン、チキンソテーなどが出てくる。
「そういえばフライドチキン専用コーラが話題になってたわね」
「レモンフレーバーのやつか」
試してみるのも面白いかもしれない。
チキンは下味をつけ、牛乳を混ぜた卵液に浸し、薄力粉とオールスパイスなどを混ぜた粉にまぶす。
「油も温まってきたな」
「今よ! チキンを油に入れて!」
「お、おう」
こうしてソウルボイスに成功し、俺たちのHPは全回復した。




