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【コミカライズ掲載中】電気代払えませんが非電源(アナログ)ゲームカフェなので問題ありません  作者: 東方不敗@ボードゲーム発売中
本編

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ロボットゲームセット【バナナ大福と塩コーヒー】

参考ゲーム

ZOEアヌビス

「……またロボが増えてるな」


 気付かない内に人型ロボのフィギュアが増殖し、店内のスペースを圧迫していた。

「かっこいいでしょ?」

「羽さえなければな」

「羽がいいんでしょ!」

「実戦では役に立たないだろ」


「役に立つ羽に何のロマンがあるの?」


 役に立たない羽に何のロマンがあるんだと思ったものの、平行線になりそうなので黙っておいた。

「……で、これは何のアニメだ?」

「『ZOC』はオリジナル脚本でアニメ化されてるけど、もとはゲームよ。短いからあんたでも半日でクリアできるんじゃない?」

「半日か」

 ロボットアクションならいくつかプレイしているので操作に支障はないはず。

 客もいないので(そもそも客が来るのかも怪しいが)少しプレイしてみる。


 ZOCシリーズはオタルギアソリッドの開発チーム『小島プロモーション』の作品らしい。


 これはシリーズ2作目の『アビス』。

 今度VR対応でリメイクもされる名作だそうだ。

 期待が膨らむ。

「おやつ食べていい?」

「好きにしろ」


「えーと、じゃあ大福にはバナナで……。コーヒーには塩っと」


「……なにしてる?」

「バナナ大福と塩コーヒー。リアルロボット大戦にも出てくるアイテムよ」

「お前、コーヒーにどれくらい塩入れるつもりだ?」

「このぐらい?」

「死ぬ気か!」

 砂糖の感覚で大さじに塩を山盛りにしていた。

「豆はエチオピア、塩はティースプーン1杯ぐらいにしとけ」

「はーい」


 塩コーヒーはエチオピアで飲まれているものだ。


 スイカに塩とまではいかないが、コクが増して味わい深くなる。

 塩もコーヒーも大福とは相性がいいので、食べ合わせも悪くない。

 バナナ大福は大福の中にバナナを突っ込んだ和菓子。

 はじめて食べる組み合わせだが意外にうまい。

 酸味のあるイチゴほどのインパクトはないものの、バナナとあんこが自然に馴染んでいる。

 潰したバナナをあんこに混ぜてもよさそうだ。

 定番メニューとしては難しいだろうが、期間限定ならイケるだろう。

「さて……」

 アビスをセットし、ゲームを起動する。

 操作性はいい。

 敵が近くにいれば自動的にロックオン。

 ロックオンしていれば敵が視界の外に行ってもカメラが追いかけてくれた。

 攻撃ボタンを押せば近距離ならブレード、遠距離ならショットと自動的に使い分けてくれる。


「おおお!?」


 ブーストしながら攻撃ボタンを押すと一度に複数の敵をロックオンし、ホーミングレーザーで一掃できた。

 驚くのはロックオンできる敵の数だ。

 たぶん制限がない。

 100体でもロックオンできるだろう。

 それにボスが大量にばらまいた誘導ミサイルもロックオンすればレーザーで撃ち落とせる。

 適当にボタンを押しているだけでもバッサバッサとザコを斬り捨てられた。

 とにかく動きが速い。

 上昇と下降はボタン1つの簡単操作。



 △←上昇ボタン

□ ○

 ×←下降ボタン



 敵を倒すたびにロックオンカメラが切り替わり、視点が目まぐるしく動く。

 ブーストでエネルギーを消費しないので、ずっと加速し続けることもできる。

 もっともブーストボタンを押しっぱなしにするよりも連打のほうが速いのだが。

 ブーストで加速するのは最初だけであり、押しっぱなしでも通常より少し移動スピードが速いだけ。

 しかし連打ならボタンを押すたびに加速することができる。

 右へ左へジグザグに加速しながら攻撃を避わし、懐に飛び込んで敵を撃墜するのが爽快だ。


『はいだらー!』


 サブウエポンのグラブで敵をつかんで投げる。

 壁に叩きつければかなりのダメージを与えられる上に、他の敵にぶつけることもできた。

 つかむには接近しなければならないが、レーザーやブレード攻撃をガードさせればつかみやすい。

 つかんだ瞬間にロックオンが別の敵に切り替わるので、投げつけるのも簡単。

 つかんだ敵を鈍器にして殴ってもいい。

 かなり威力がある。

 ボタンを連打してハンマー投げのように敵をグルグル振り回すと投げた時の破壊力が上がるほか、一部の特殊攻撃を除いて無敵状態になるのでかなり便利だ。

 ボス戦では鉄骨を投げてバリアを突破したり、パネルを剥いで特殊攻撃をガードする。

 クリアするには必須の技能だ。


『ハルバードを入手しました』


 グラブ以外のサブウエポンはサブエネルギーを消費する。

 これまた種類が豊富だ。

 敵を麻痺させるゲイザーや、分身で敵をだますデコイ、空中に設置する地雷(Fマイン)、大出力レーザーで射線上に存在するザコを薙ぎ払うハルバード、発動に時間はかかるものの空中戦艦さえ一撃で撃墜できるビクターキャノン。

 サブウエポンを駆使して無双するのがまた楽しい。


「さあ、待望の赤壁せきへきの戦いよ!」


「三国志?」

「正確には『荒野乱戦』っていう敵味方入り乱れる戦闘イベントね」

「……たしかに赤壁だな」

 イベントが始まった瞬間、赤壁の意味が分かった。

 レーダーに映る敵のアイコンが赤くて数も多い。

 まさしく赤い壁だ。

「……何機いるんだ、これ?」


「増援部隊を含めると1000超えるわよ」


「1000!?」

 数が違いすぎる。

 しかもこれが1つのマップに集中しているという異常事態。

 無双系のゲームでも1つのステージで1000人倒すことはあるが、ステージはいくつかのマップによって構成されており、敵は分散しているのが普通だ。

 だが荒野乱戦の舞台は平坦な火星の荒野。

 マップは分割されていない。

 1つの巨大なマップに数百機いて、津波のごとく赤い壁が襲い掛かってくる。

 前代未聞だ。

 案の定、戦闘が始まってから一分と経たない内に味方からSOSが届く。

 ホーミングレーザーでは火力が足りない。

 ハルバードで大出力レーザーを放ち、それを車のワイパーのように振って敵を薙ぎ払う。

 絶望的な戦力差ではあるが、数十機のザコを薙ぎ払うのは気持ちいい。

 ただし、


『なにをするだー!?』


「げ!?」

 味方にも攻撃が当たるので、派手に範囲攻撃をしてしまうと同士討ちになる。

 慌てて回復に向かう。

 負傷した味方機にサブウエポンのゲイザーをかけると、救護部隊が修理してくれるシステムだ。

 無双しつつゲイザーをかけないといけないので忙しい。

 あまり無双しすぎるとゲイザーを使うエネルギーがなくり、ゲイザーを多用していると無双できない。

 味方を回復し続けるには適度に敵を倒し、敵の落とすアイテムでサブエネルギーを補給する必要がある。

 力配分が難しい。

 しかも、


『敵、猛攻来ます』


「うおお、なんだこれ!?」

「これが赤壁よ」

 シャレにならないレベルの増援が来た。

 レーダーの上部から横隊を組んだ赤い壁が落ちてくる。



|          |

|敵敵敵敵敵敵敵敵敵敵|

|敵敵敵敵敵敵敵敵敵敵|

|  ↓ ↓ ↓   |

|          |

|          |

|          |

|          |

|          |

|          |



 もはや増援というより主力だ。

 何機いるのかさえわからない。

 味方部隊と衝突したら壊滅は必至。

 前線でどれだけ始末できるかがカギだ。

 サブウエポンを乱射する。

 これだけ数がいればサブエネルギー回復アイテムには困らない。

 撃って撃って撃ちまくる。

 だがこれだけ数で押されるとどうしようもない。

 物量で潰され、味方部隊は壊滅。

「どうやってクリアするんだ、こんなの」


「ふふん。デモンストレーションが必要なようね!」


「……頼む」

 激しくうざかったが、手本でもないとクリアできそうにないのでコントローラーを渡す。

「基本はグラブね。味方はほとんど戦力にならないから、回復しやすいように一ヶ所に集めておくのよ。それにこうしておけばサイドの敵はスルーするし」

「スルー?」

「敵は近くに攻撃目標がいない限り攻撃してこないのよ。だから真ん中に戦力を集中してると、サイドの敵は攻撃目標を見つけられずに戦場から消えるわけ。そもそも赤壁の勝利条件は敵の全滅じゃなくて味方が荒野の先へたどり着くこと。つまり味方の生存だから。必ずしも倒す必要はないのよ」

「こんな裏技が……」



|          |

|敵敵敵敵敵敵敵敵敵敵|

|敵敵敵敵敵敵敵敵敵敵|

|↓        ↓|

|↓        ↓|

|↓        ↓|

|↓        ↓|

|↓   味方   ↓|

|↓        ↓|

|          |


攻撃目標がいないので両サイドの敵は何もできないままレーダーの外へ消える

ただし主人公機を見つけると追いかけてくるので、下手に動くと味方のいる場所まで敵を誘導することになる



「あ、ゲイザーを使うのを忘れずにね。ゲイザーで帯電してる機体を別の機体にぶつけると感電するから」

「……味方に麻痺を伝染させるのか。感電させると治療してくれるって、改めて考えると変な設定だな」

「患者が暴れると治療できないんでしょ」

「なるほど」

 損傷している機体にゲイザーをかけ、グラブで振り回し、周りも感電させて救護部隊に回復してもらう。

 ゲイザーを多用しなくて済むのでサブエネルギーの節約になる。

 もちろん味方の機体を鈍器にして敵を殴ってもいい。

 攻撃力もアップする上に敵を麻痺させられる。

「レーザービーム!」

「な!?」

 回復してほしいユニットのいる場所へ救護部隊をぶん投げた。

 ここまで密集していると、狙っているユニットをロックオンするのは不可能。

 ロックオンを解除して手動で狙いをつけるしかない。

 おそろしいまでのコントロールだ。

 あとは敵の掃討。

 フレンドリーファイアが怖い。


「やっぱり空ね」


 味方の機体はあまり空を飛ばない。

 なので敵を空へ誘導し、

「光になれ!」

 思いっきりサブウエポンをぶっ放す。

 これなら同士討ちを防げるし、敵が空を飛ぶことで地上にいる味方への攻撃も減る。

 だが本番はここからだ。

 もうすぐ赤壁が来る。

「じゃあチャージね」

「チャージ?」


「ビクターキャノン」


 最前線へ猛ダッシュ。

 そしてサブウエポンのビクターキャノンをチャージし始めた。

 ビクターキャノンのチャージはかなり時間がかかる。

 しかもチャージしている間は無防備だ。

 周囲のザコにボコボコ殴られる。

 それでもチャージをやめない。

 そして、


『敵、猛攻来ます』


 赤壁が来た。

『チャージ完了』

 ほぼ同時にチャージが終わる。


「ファイエル!」


 赤壁の真横からビクターキャノン発射。



|          |

|敵敵敵敵敵敵敵敵敵敵|

○━━━━━━━━━━|



 面白いように前列が消し飛んだ。

 車は急に止まれない。

 後列も足を止めることができず、そのまま自分からレーザーへ飛び込んだ。

 わずか数秒で赤壁がレーダーから姿を消す。

「ざっとこんなもんね」


 生存率100%。


 ……レベルが違いすぎて参考にならない。


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