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本編

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爆弾ゲームセット【ブラックプディングとヌワラエリヤ】

爆弾回を分割した話です。

ゲーム部分は加筆してないので、一度読んでいるのなら改めて読む必要はありません。

このあと2話追加します。



参考ゲーム

ボンバーマン


「ぐっもーにん!」


「おはようございます」

「……おはよー」

「おう」

 休日でありながら珍しく朝から全員顔をそろえた。

「なんにする?」


「イングリッシュ・ブレックファストをプリーズ!」


「具体的には?」

「マーマイト、ブラックプディング、サニーサイドアップ!」

「じゃあ先生もそれでお願いします」「私もそれでいいわ」

「あいよ。この朝食ならお茶はイングリッシュ・ブレックファスト・ティーか」

「なにそれ?」

「ブレンドティーですヨー」


「メーカーによってブレンドする紅茶の種類は違うが……。だいたいアッサムやセイロンティーのブレンドで、ミルクティーにすると美味い」


「ヌワラエリヤってセイロンティーだっけ?」

「ああ」

「ならヌワラエリヤのブレンドティーね」

「なんでヌワラエリヤなんだ?」

「ヌワラエリヤの気分なの」

「どういう気分だ」


「あ、ヌワラエリヤはラバーズリープ産で。シブミが強くならないように、湯温に細心の注意を払ってね」


「わかったわかった」

 どうやら漫画かアニメのネタらしい。

 イングリッシュ・ブレックファストというと手間がかかりそうだが、マーマイトはトーストに塗るものだし、ブラックプディングは豚の血で作られたブラッドソーセージ、サニーサイドアップは目玉焼きだから大した手間はかからない。

 あとはミルクティーを淹れるだけだ。

「お待ち」

「……なにこのカオス」

「すごい絵面ですね」

 赤みがかった輪切りのブラックプディングに、真っ黒なマーマイト。

 それとは対照的な明るい色彩の目玉焼きとミルクティー。


 ある意味、この色だけで食べ方がわかる。


 間違っても黒いものを単品で食べてはいけない。

「……パサパサ」

「目玉焼きの黄身を潰して、ソーセージをしっとりさせろ」

「マーマイトの粘り気が強すぎてうまく塗れないんですが……」

「バターをどーぞ」

 マーマイトはビールの酒粕のようなものから作られるらしく、しょっぱくて臭くて粘り気がある。

 バターをからませないとまともに塗れないし、塩味が強すぎて口に合わない。

 だが味が濃い分、目玉焼きやトースト、ミルクティーなどを交えるとバランスがよくなり、なかなか美味い。

 ……イングリッシュ・ブレックファストという語感に反して、優雅な感じはまったくないが。


「じゃあ『スーパーボマー』やりましょ」


「有名な友情破壊ゲームだな」

「えくすぷろーじょん!」

 爆弾を置いて相手を吹き飛ばし、最後まで生き残っていたプレイヤーが勝つゲームだ。

 ゲーム画面はマス目に区切られており、ハードブロックとソフトブロックがある。

 ボマーはブロックを越えて移動することはできない。

 ソフトブロックを破壊するとランダムでアイテムが出現し、パワーアップできる。

 ハードブロックは破壊できない。

 最初はソフトブロックを破壊してパワーアップしつつ、ソフトブロックが少なくなって移動しやすくなったら本番。

 爆弾は十字に爆発するのでハードブロックと接触しない十字路に置くのがコツだ。



□×□←ハードブロック

×○×←爆風

□×□


爆弾はパワーアップアイテムを取ることで1マスずつ有効範囲が広がる



「よし、一度に置ける爆弾が増えた! まとめて吹き飛ばしてやる!」

 1マス飛ばしで爆弾を置いていく。



□ □ □ □

 ○ ○ ○

□ □ □ □



 これなら万遍なく相手を攻撃できる。

 さらに格子状に置けば完璧だ。



□ □ □ □

 ○ ○ ○

□ □ □ □

 ○

□ □ □ □

 ○

□ □ □ □



 端に追いつめれば逃げ場はない。

「あんまり調子に乗らないことね」

「なに?」

 なにか企んでいるのかと瑞穂のボマーを警戒していると、


ドカーン


「あ」

 自爆してしまった。

「だから言ったのに……。初級者の死因の半分は自爆なんだから」

「……それは対戦ゲームとして成立してるのか?」

「自爆させるのもテクニックなのよ」

 うかつに爆弾を置かないようにしよう。

 爆死したのでマップの外に退場させられる。

 マップの外といってもドッヂボールの外野のように、内野へ向かって爆弾を投げることができた。

 ただし他のプレイヤーを爆死させても復活できるわけではないので嫌がらせ、もしくは強プレイヤーに一人勝ちさせないためのアシストだ。

「食らえ!」

 ガンガン瑞穂に爆弾を投げまくる。

「甘い」


 俺の爆弾をことごとく殴る蹴る。


 パワーアップアイテムを取りまくっているようだ。

 キックは爆弾を蹴って一直線に飛ばすことができるものの、ブロックやボマーに当たるとそこで止まる。

 パンチは目の前にある爆弾を殴り飛ばす。

 キックより飛距離はないが、山なりに飛ぶのでブロックを飛び越すことができ、しかも殴り飛ばした爆弾を相手に当てると一定時間動きを止めることができる。

「投げることもできるわよ」

「のー!?」

 爆弾を投げるグローブもパンチに似ている。

 飛距離はないが山なりに飛ぶ上に、爆弾を持ったまま歩くこともできる。

 ただし爆弾は自分の下にあるものしか持てない(このゲームでは爆弾はボマーの前ではなく、ボマーがいるマスに置かれる)。

 つまり相手の爆弾を持ち上げたり、投げたりすることはできないのだ。

 ボマーは爆弾のあるマスに進めないものの、ボマーのいるマスには進めるのでボマーを投げることはできる。

 パンチとキックは相手の爆弾にも干渉できる攻守に優れたアイテム、グローブは攻撃重視のアイテムだ。


「爆弾が爆発するまで数秒かかるから、1~2秒待って飛ばすのがコツよ」


 瑞穂が爆弾を置き、1秒ほど待って横に蹴る。

「ああー!?」

 蹴り飛ばした爆弾が完璧なタイミングで爆発し、先生のボマーが爆死した。



   先生のボマー

     ↓

□ □ □△□ □

 ○ →×××

□ □ □×□ □



「狙った場所で爆発させるのは難しいから、最初はキックの軌道上にいるボマーか、壁際にいるボマーを狙うのがコツね」

「なるほど」



□ □ □ □ □

 ○  → ○△

□ □ □ □ □


相手がキックを持っていても、待って蹴っているので蹴り返す時間がない



□ □ □△壁

 ○ →××壁

□ □ □×壁


壁際なら狙った場所で確実に爆発させられる


「爆弾で攻撃する場合はハードブロックのない場所に置くのが基本だけど、爆弾を投げる場合はブロックの間からでもいいわよ。ブロックの間から投げれば自分の投げた爆弾に巻き込まれることはないし、投げた先に爆弾があったらその先のマスまで爆弾は転がるから」



最初に投げた爆弾

  ↓

○□×□×□

    ↑

二回目に投げた爆弾



「しかもここから左に投げると!」

「ふぁっ!?」

「壁を越えた!?」



←壁○□ □ □×壁←


壁に向かって爆弾を投げると反対側まで飛んでいく



「ボマーを壁に向かって投げても反対側まで飛んでいくわよ」

 だいたいコツはわかった。

 もう好き勝手に暴れさせはしない。

 というわけで第2ラウンド開始。

「失礼します」

「?」

 先生がなんの芸もなく俺の前に爆弾を置いてきた。

 反射的にキックする。

「キックを持ってるんですね」

「あ」

 しまった。

 4人対戦だと四方に目を配らなければならないので、相手が何のアイテムを取ったか完全に把握するのは難しい。

 素直に逃げればよかったものの、キックを持っているがゆえについ使ってしまい、能力を把握されて不意打ちが通用しなくなってしまった。

「火を支配するのだ!」

 わけのわからないことを叫びながら、瑞穂が俺の前に爆弾を置いて道を塞ぐ。



壁□

壁△○

壁□



 ボマーは爆弾を越えられないので閉じ込められた。

 ただしそれはキックやパンチのない場合。

「蹴り返してやる!」

「無駄よ」

「なに?」

「キックできるのは、爆弾の前になにもない場合だけ」

「げ」

 爆弾の前に爆弾が置かれていた。



壁□

壁△○○

壁□



 キックは爆弾やボマーに当たると止まる。

 これでは蹴れない。

 あえなく爆死した。

「……桃園さんの一人勝ちですね」

「トライアングルアタックをしまショー!」

「それしかないな」

「そうですね」

「ちょっと! 三人がかりなんてずるいわよ!」

「強すぎるのが悪い」

 というわけで第3ラウンド開始。

 三人がかりで瑞穂を集中攻撃する。

「シュート!」

 アリスが満を持して待ち蹴り。

 完璧なタイミングだ。

「甘い」

 だがパンチで飛ばされてしまった。

「ほわい!?」

「爆発のタイミングがずれた!? なんでだ?」


「パンチしたら爆弾が浮くでしょ。このゲームはマス目で厳格に区切られてるから、空中にある爆弾つまりマス目にない爆弾は爆発しないのよ。爆発する0.1秒前までなら殴り飛ばして爆発を遅らせることができるの」


「ぐ! もう一発!」

「残念でした」

 俺が一秒待って蹴り飛ばした爆弾の軌道上に爆弾を置く。

 瑞穂の置いた爆弾は、俺の爆弾の爆風に巻き込まれて連鎖爆発。

 しかしボマーは悠々と爆風を避わした。


「どんなに強い爆弾も、爆弾があれば爆風はそこで止まっちゃうの。しかも爆弾が爆風に巻き込まれて誘爆するのに0.5秒かかるから、その隙に逃げるわけ」



   ×

   ×

  □×□

×××○×○←爆弾があると爆風はそこで遮られ、誘爆するのに0.5秒かかる

  □×□

   ×

   ×



「……マジかよ」

「コツは『置いて死ぬ』ことね。死ぬと思ったら他のプレイヤーを道連れにする爆弾を置くクセを付けておくの。そうすれば自然と盾にできる爆弾を置けるから、生きのびられる可能性も高くなるわけ」

「なるほど」

 最悪の場合、一人勝ちさせないために爆弾を置いて死のう。

 そう心に決めると、早くもそういう場面がきた。


「死なばもろとも!」


「タイミング早すぎ」

「あ」


ドカーン


 死んだ後で初めて気づく。

 あのタイミングなら逃げていれば助かっていた。

 相打ちを狙い、無駄な爆弾を置いてしまったばかりに自爆してしまったわけだ。


「だから言ったでしょ。初級者の死因の半分は自爆だって」

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