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【コミカライズ掲載中】電気代払えませんが非電源(アナログ)ゲームカフェなので問題ありません  作者: 東方不敗@ボードゲーム発売中
本編

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デッキビルディングセット【パリブレストとマンデリン】

参考ゲーム

ルーンエイジ

「そういえばルーンメイジのシナリオ、もう1つ残ってましたよね」


「『天地爆裂』ですね。これはアウトブレイクのような協力型ゲームで、プレイヤーが一人でも力尽きたらゲームオーバー。イベントカードを引けなくなるまでプレイヤーが生き延びればクリアです。ちなみにソロプレイもできますよ?」


「アウトブレイクのソロみたいに1人で2キャラ動かすんですか?」

「いえ、これは1キャラだけでも構いません」

「なら1キャラで」

 天地爆裂シナリオの準備をする。

 ソロプレイだとイベントカードは8枚。

 ドラゴンルーラーの復活より少ない。

 難易度は大して変わらないだろう。


 ……そう思ったのが甘かった。



天地爆裂イベントカード一覧


●聖戦

 イベントレベル1、敵カード、戦闘力5。

 このカードを倒すまで、全プレイヤーは手札を4枚しか引けない。

 複数人プレイの場合、参加人数の数だけ倒さないと破壊できない(4人プレイで3回破壊しても、4回破壊しなければ手札は4枚しか引けない)。


●深淵からの侵略

 イベントレベル1、敵カード、戦闘力7。

 各プレイヤーの手番の終了時にダメージトークンを1つのせていき、トークンの数が8以上になったら全プレイヤーが敗北する。


●憑依された者たちの軍団

 イベントレベル1、即時効果、戦闘力はゲームプレイヤーの数+6。

 最初の手番のプレイヤーが、どの本拠地がこのカードに攻撃されるか指定できる。


●憤怒と暴徒

 イベントレベル2、即時効果、全体攻撃、戦闘力はプレイヤーのプレイエリアにある支配力(プレイヤーの所持している砦や都市の支配力)+6

 プレイヤーは戦闘前に都市カードを好きなだけ破壊して支配力を減らせる。


●蟲の襲撃

 イベントレベル2、即時効果、全体攻撃。

 購入コストの合計が8になるまで手札からカードを選び、破壊する。

 もしくは自分の本拠地へ5ダメージ。

 プレイヤーはどちらかを選べる。


●深淵の王

 イベントレベル2、敵カード、戦闘力10、手番のプレイヤーがこの敵を攻撃しなかったら本拠地は3ダメージを受ける。

 戦闘をした場合、本拠地は1ダメージを受ける。


●マスクドライダー

 イベントレベル3、即時効果、全体攻撃、戦闘力11。

 このカードと戦闘した部隊は壊滅(戦闘終了後に破壊されるものの、カードはこの戦闘で戦闘力を発揮できる)する。


●狩猟の王

 イベントレベル3、敵カード、戦闘力13。

 イベントフェイズ開始時に、捨て山にあるレベル2のイベントカードをランダムで一枚取り、イベントの山札に入れてシャッフルする。



「……なんだこれ、難しすぎるだろ」

 本拠地へダメージを与えてくるカードが多い。

 憤怒と暴徒は支配力+6が戦闘力なので、都市カードを手に入れると本拠地へのダメージが増える。

 だからといって都市カードを破壊すると支配力が使えない。

 深淵からの侵略は処理がややこしい。

 戦闘力7で、各プレイヤーの手番の終了時にダメージトークンを1つのせていき、トークンの数が8以上になったら全プレイヤーが敗北する。

 トークンはゲームで使用する駒のこと。

 手番の終了時にのせられるトークンはダメージとして処理しないのだろう。

 これをダメージとして処理すると、放置していれば勝手に死ぬし8以上になることはない。

 ようするに8回手番を終了しても倒せなかったら能力発動。

 聖戦で4枚しか引けない状態で、他のイベントカードの攻撃から身を守りつつだと、戦闘力7でも簡単には倒せない。

 マスクドライダーは戦闘力11にも関わらず、本拠地へのダメージを減らすために戦闘カードを使うと、そのカードは壊滅してデッキからなくなってしまう。

 狩猟の王は毎ラウンド、レベル2のイベントカードを山札に復活させる。


 天地爆裂のクリア条件は『引くイベントカードがない』であり、『イベントカードがなくなる』ではない。


 最後に引いたイベントカードが狩猟の王だとしても、次のラウンドのイベントフェイズ開始時にイベントカードが山札に戻る(イベントカードを引く前にカードが戻る)ため、狩猟の王がいる限り『引くイベントカードがない』というクリア条件を満たすことはできない。

 事実上のラスボスである。

 強力なレベル2のイベントカードに対処しつつ、狩猟の王を倒すのは至難の業だ。

 強いデッキを作らないとクリアできない。


 カードの出る順番が違うだけでイベントは決まっており、使える戦闘カードと中立カードもほぼ固定。


 限定された選択肢の中でいかにイベントへ対処するか。

 まるで詰将棋だ。

 イベントカードの多いカールビンソンや、同じ協力ゲームのアウトブレイクとはまた違った面白さがある。

「デッキを圧縮する必要があるな」

 いくら強いカードをデッキに入れても、それを手札として引けなければ意味がない。

 強いカードを引く確率を上げるにはどうすればいいか?


 強いカードを増やすか、弱いカードを減らすかだ。


 このシナリオで使う中立カード『強奪』は、選んだプレイヤーのデッキから2枚引き、1枚を手札に加えてもう1枚を破壊する。

 ソロなら自分にも使えるはずだ。

 圧縮対象はまず金貨。

 金貨1のカードでは戦闘力4(コスト5)のカードは買いにくい。

 手札に5枚の金貨がそろう確率は低いからだ。

 買えるのは戦闘力3(コスト3)までのカード。

 2枚は破壊したほうがいい。

 ただ敵カードと戦うたびに振る損害ダイスで1枚は破壊されてしまうので、弱いカードでも定期的に買うこと。

 圧縮すると強いカードを捨てる確率も高くなるし、敵と戦い続けていると損害ダイスで手札も足りなくなる。

 他に勝率を上げる方法があるとすれば、


「協力プレイしますか?」


「お願いします」

 これしかない。

 天地爆裂は協力プレイ前提のシナリオなのか、ソロだと4枚の敵カードを一人で相手にする必要がある。

 ラスボス格の狩猟の王を始めとして、倒さなければならない敵カードが多い。

 人数が多いほど倒しやすいわけだ。

 あとはデッキ構成を考えるだけ。

「おやつにしましょう」

「そうですね」

 とりあえず糖分を補給しながら考えることにする。


 おやつはパリブレストだ。


 パリとプレストを走るロードレースにちなんで作られたもので、自転車の車輪のような形をしたリング状のお菓子だ。

 カスタードと生クリーム、あるいはバタークリームを混ぜ、プラリネ(アーモンドとキャラメルのペースト)を加えたクリームをはさむ。

 うちでは大量のアーモンドスライスをのせ、粉砂糖を振っており見た目も派手だ。

「マンデリンをお願いします」

「あいよ」

 個人的にはエスプレッソだが、こういう香ばしいお菓子にはマンデリンやキリマンジャロもいい。

 マンデリンはナッツ類と相性がよく、風味を引き立てる。

「……微妙に食べにくいですね」


「リング状のシュークリームですから」


 クリームが飛び出すのはご愛嬌。

 それを舐めつつ、コーヒーを飲むのが美味いのだ。

 車輪を二つに割って食べつつ、

「多人数プレイだとイベントカードを2枚追加しないといけません。レベル1に1枚、レベル3に1枚です」

 先生がイベントカードを追加する。

 協力プレイのほうが簡単なのだから当然だろう。

「ちなみに中立カードはカスタマイズできますよ?」

「カスタマイズ?」


「中立カードを手に入れるための支配力コストは2、4、6ですよね? 同じコストなら別の中立カードと入れ替えることができるんです」


「じゃあ入れ替えましょう」

 先生はコスト6をマインドコントロールにする。

 能力はこのカードを破壊する代わりに、デッキを見て好きなカードを手札に加えることができる、だ。

 もちろん他のプレイヤーのデッキにも使える。

 火力が欲しい時には最高だ。

 このようにカードを追加して天地爆裂を再プレイ。


『守護者のオベリスク』


「こいつが追加カードか」

 レベル1、敵カード、戦闘力7、手番プレイヤーがこのカードを攻撃しなかった場合、他のプレイヤーの本拠地が2ダメージ受ける。

 このカードと戦闘をした場合、プレイヤーは自分の手札から部隊カードをランダムで1枚破壊する。

「……嫌な能力だな」

 損害ダイスを振らないといけない上に、戦えば手札の部隊カードが破壊される。

 最悪3枚破壊されるということだ。

 1回の戦闘で破壊できなかった場合、さらに被害は広がる。


 攻撃しなかったら本拠地へダメージが行くので無視することもできない。


 わざわざ追加されるだけのことはある。

 さいわい今回は一度の戦闘で破壊できた。

 ソロでの地獄が考えられないぐらい順調に進む。

 これならクリアできるかもしれない。

 そしてとうとうレベル3。

 マスクドライダーの攻撃に耐え、狩猟の王の体力を半分削った。

「イケる!」

 倒しきれなかったので狩猟の王の能力でレベル2のイベントカードを1枚山札に戻してシャッフル。

 すると追加されたレベル3のカードが出た。


『同士討ち』


「……なんだこのイベントカード?」

「マインドコントロールと強奪を使わせてもらいます」

「げ!?」

 先生が俺のデッキから強い手札を奪い取った。

 慌てて同士討ちのイベントカードの内容を確認する。


 レベル3、即時効果、プレイヤーは自分の本拠地よりダメージの少ない本拠地へ攻撃できる。

 その結果、本拠地を破壊できたらそのプレイヤーの勝利。

 他のプレイヤーは敗北。


「はあ!? 協力ゲームで同士討ち!?」

 めちゃくちゃなイベントだ。

 ルールブックにも『純粋に協力ゲームを楽しみたい場合、イベントカードに入れなくてもいい』と書いてあった。

「でも難易度調整を考えると入れたほうがいいんですよ? このカードを入れておけば、レベル3で何のイベントも起こらないラウンドを作れますから。態勢を立て直すには最適です。一人でも本拠地が0になったらゲームオーバーなので、クリアできそうにない場合は自分の身を犠牲にしてクリアさせることができますし」

「……でも今回は2人とも無事にクリアできますよね?」


「それでは面白くありません」


 先生がにぱーと笑った。

「ではまず先生から攻撃させてもらいます。もしこの攻撃に耐えることができたら、本拠地へのダメージ量が逆転するので反撃できますよ? 耐えられたらの話ですが」

「うああ!?」


 もちろん先生の攻撃に耐えられるはずなどなく、協力型ゲームはまさかの裏切りで幕を閉じた。


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