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【コミカライズ掲載中】電気代払えませんが非電源(アナログ)ゲームカフェなので問題ありません  作者: 東方不敗@ボードゲーム発売中
本編

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穴掘りゲームセット【コロッケと番茶】

参考ゲーム

平安京エイリアン


「……ハズレばっか」


「そりゃ在庫処分だからな」

「うう……」

 福袋から取り出した山のようなゲームを前に途方に暮れる。

 100本のゲームが入っていて一見お得なように思えるが、大半が在庫処分の数合わせ。

 面白いゲームも中にはあるものの、値崩れした名作はだいたいプレイしている。

「でも1つはアタリがあるはずよ! スコッパーたる者、これぐらいじゃへこたれないんだから!」

「すこっぱー?」


「埋もれた良作を発掘する人」


 ようするにただのゲーマーか。

「さあ、発掘スコップするわよ!」

 その情熱を他に向けて欲しいものだ。

 ともかくゲーム福袋を掘り進めること数分。

「……で、スコップできたのか?」

「まあね」

 自信満々の顔で数本のゲームをテーブルに置いた。


『平安京インベーダー』


「……これはどういうゲームなんだ?」

「穴掘りゲームよ!」


「スコップの意味が違うだろ!」


「それはそれ、これはこれ」

 ふーふーしながら平安京インベーダーのカセットをゲーム機にセットする。

 舞台は平安京(といっても平安京が忠実に再現されているわけではないが)。

 平安京に侵入した侵略者インベーダーを退治するゲームらしい。

「平安京なのになんで横文字なんだ?」

「インベーダーっていう映画が流行ってたからよ」

 なんて安直な。


「これはインベーダーを穴に落として埋めるゲームなの」


「こうか?」

 ボタンを押すと主人公の前に穴が掘れた。

 別のボタンを押すと穴が埋まる。

 穴には5段階あり、一回ボタンを押すごとに穴は大きくなった。


「うおお!? もう這い上がってきた!?」


「穴が小さいからよ」

 小さい(浅い?)穴ではインベーダーがすぐに這い上がってくるため埋められない。

 第4段階までの穴は時間稼ぎにしかならず、インベーダーの進路を予想して素早く一番大きな穴を掘るのが重要そうだ。

 なおプレイヤーも穴の上を通過することはできない。

 もちろんインベーダーと接触したら死ぬ。

 最初は4匹だけなので簡単だ。

 むしろ少なすぎてこちらからインベーダーを追わなければならない。

 間近に迫ったインベーダーを前にボタンを5連打するのはなかなかスリルがある。

 クリアするごとにインベーダーの数が増えていき、スピードも速くなっていった。

「ん、こうすれば完璧じゃないか?」



壁壁壁壁壁

 ●主●

壁壁壁壁壁



 自分の左右に穴を掘る。

 これならどちらからインベーダーが来ても大丈夫だろう。

「そんなわけないでしょ」

「なんでだ?」

「すぐにわかるわよ」

 しばらくするとインベーダーが2匹まとめてこっちに来た。

 最初の1匹が一番深い穴に落ちた瞬間、

「げ!?」

 なぜかすぐに穴から這い上がってきた。


「仲間が穴に落ちたインベーダーを助けちゃうのよ」


 あえなく捕食される。

 つまりこの掘り方では2匹一緒に来られると逃げ場がなくなって死ぬわけだ。

 ちなみにインベーダーに食われると、プレイヤーキャラは天使の姿(背中に羽根、頭の上に天使の輪)で昇天する。

 ……タイトルといい、死亡時の演出といい、つくづく世界観が謎なゲームだ。

 ゲームオーバーになったとはいえ、ハイスコアを更新したのでスコアランキングに名前を入力する画面になる。

「斬新だな」


壁壁壁壁壁壁壁壁壁壁壁

壁         壁

壁 壁A壁B壁C壁 壁

壁         壁

壁 壁D壁E壁F壁 壁

壁         壁

壁 壁G壁H壁I壁 壁

壁         壁

壁壁壁壁壁壁壁壁壁壁壁


 こんな感じで文字が並んでおり、キャラをその上に動かすと文字を入力することができた。

 遊び心のある演出だ。

「じゃあ区切りもついたことだし、おやつにしましょ。私コロッケね!」

「あいよ」

 肉じゃが・おから・カレー・カボチャ・紫イモ・甘栗・ポテトサラダなどバリエーション豊富。

 余ったら晩飯のおかずにもなる。

 お茶はほうじ茶か濃い目の番茶がいい。

「んー、さっぱりする」

 油ものの後だと口や喉が洗われるようで爽快だ。


「効率を重視するとこうなるのか?」



  ●

 壁 壁

● 主 ●

 壁 壁

  ●



「逃げ場がないでしょ」

「それなんだよな……」

 やむなく一ヶ所だけ穴を埋めて逃げ道を確保しつつ、平安京を穴だらけにしていく。

 すると狙い通りインベーダーが穴に落ちた。

 しかし、


「なんでこんなとこに穴があるんだ!?」


「あんたが掘ったんでしょ」

 せっかくインベーダーが穴に落ちたのに、自分の穴が邪魔で間に合わない。

 効率を求めて穴を掘りまくると、返って効率が落ちる罠。

「ん、100点? さっきと得点が違うな」

「穴に落ちてから埋めるまでの時間が短いほど得点が高いのよ」

「へえ」

 埋めるのが間に合わない、もしくは低ポイントになりそうだったら穴のすぐ横にもう1つ穴を掘ってもいいかもしれない。



壁壁壁壁

 ●●

壁壁壁壁



 これならインベーダーが脱出した瞬間、また穴に落ちる可能性が高い。

「だんだんパターンが読めてきたな。基本的にインベーダーは真っ直ぐ動く」

「そうね」


壁壁壁壁壁壁壁壁壁壁壁

壁         壁

壁 壁 壁 壁 壁 壁

壁   壁     壁

壁 壁 壁壁壁 壁 壁

壁       壁 壁

壁 壁 壁 壁 壁 壁

壁   ←イ→   壁

壁壁壁壁壁壁壁壁壁壁壁


 インベーダーは外周を直線的に動くことが多い。

 あまり内側には入ってこない。

 優先順位は、


1直線的(前後もしくは左右)に動く 2外周の角を曲がる 3内側に曲がる


 だろう。

 内側に来ても直線的に動く傾向があり、さらに内側に曲がってくる可能性は低い。

「内から外に掘るのが基本か?」


壁 壁 壁主壁 壁 壁

壁    ●    壁

壁壁壁壁壁壁壁壁壁壁壁


 あとはどういう形で掘るのが一番効率的に動けるかだ。

 理想の形を求めていろいろ試行錯誤していたところ、

「うわあ!?」

 いきなりインベーダーが画面いっぱいに増殖した。


壁壁壁壁壁壁壁壁壁壁壁

壁イ イ イ イ イ壁

壁 壁 壁 壁 壁 壁

壁   壁  イ  壁

壁 壁イ壁壁壁 壁イ壁

壁主   イ イ壁 壁

壁 壁 壁 壁 壁イ壁

壁イ イイ イイ  壁

壁壁壁壁壁壁壁壁壁壁壁


 悪夢だ

 囲まれて逃げ切れるわけがなく、あえなく捕食されてゲームオーバー。

「……なんだこれ」

「一定の時間が過ぎると16匹に増殖するのよ」

「事実上の制限時間か」


「ハイスコア狙いなら増殖は必須よ。パターン通りに動くわけだから、事前に穴を掘って構えていればクリアできるし」


「できるか!」


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