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【コミカライズ掲載中】電気代払えませんが非電源(アナログ)ゲームカフェなので問題ありません  作者: 東方不敗@ボードゲーム発売中
本編

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ミニゲームセット【ゼリーとレモンジュース】

参考ゲーム

リトルバスターズ

サルゲッチュ2

『野球をしよう。チーム名はスーパーピースバスターズだ!』


「は?」

 恋愛シミュレーションをプレイしているのかと思いきや、とつぜん野球が始まった。

 それも以前プレイしていた『実況ときめきプロ野球』ではなく『スーパーピースバスターズ』というゲームだ。

『にゃー!』

 ヒロインらしき女の子が妙なかけ声でボールを投げ、


 カキン!


 瑞穂の操る主人公がそれを打ち返す。

 ボールは1・2塁間を抜けてライトまで転がった。

 そして、

『レーザービーム!』


 カキン!


「は?」

 ライトの選手がホームへ返球したボールを打ち返した。

 そのボールをセカンドがキャッチし、またホームに投げ、


 カキン!


 主人公がバットで打ち返す。

 よく見ると画面の下に


『3コンボ!』


 と表示されていた。

「……なんだこれ」

「バッティングと守備の練習だけど?」

「こんな練習があるか!」

 野球とはピッチャーの投げた球を打つ競技だ。

 だがこれは野手がホームに返球した球まで打っている。

 むしろ返球を打つのがメインで、ひたすらバックホームを打ってコンボを繋げていくミニゲームらしい。


 必然的に『人のいる場所へ打つ』ことになる。


 それも動いているボールを捕球させなければならない。

 完全にボールが止まってしまうと、その時点でコンボは途切れてしまうのだ。

 野球とは真逆である。

 プロ野球選手にヒットを打つコツを聞くと『人のいない場所へ打て』とネタで答えることがある。

 野球では人のいる場所へ打つ=捕球されるであり、アウトになるからだ。

 だがこのミニゲームでは『わざと野手に捕らせなければならない』。

 それもフライやファールボールでもOKだ。

 返球を打つので普通ならありえない場所からボールが飛んでくるのも面白い。


 外野からのレーザービーム、内野の深い位置からのワンバウンド送球、ファールボールだと真横から飛んでくるし、キャッチャーフライだと真後ろから投げられる。


 木やデブ猫の腹に当たって打球がホームへ跳ね返ってきたり、こちらの打球をバットやパンチで打ち返してくるキャラもいる。

 バッティング練習とはいえ、ここまで野球とは真逆のことをミニゲームとしてまとめるのはある意味すごい。

「コンボを繋げれば繋げるほどパラメータが上がるのよ」

「へえ」


 →ロード


 満足にコンボが繋がらなかったらしく、ロードしてやりなおす。

「やってみる?」

「ああ」

 コントローラーを受けとり、バッティング練習をプレイしてみる。

『にゃー!』

 速い。

 誰がスピードガンで計測しているのかわからないが、平気で150キロを投げてくる。

 超高校級だ。

 しかもチェンジアップ、カーブ、スライダー、シュート、ナックルと変化球も多彩。

 ノーコンでどこに飛んでくるのかわからない(最悪デッドボール)のも始末が悪い。

 この初球が最初の難関だ。


 カキン!


 なんとか打ち返しても、ヒットを打ってしまうとコンボが途切れてしまう。

 キャラによって守備範囲も違うので、できるだけ守備範囲の広いキャラのいる場所へ打った方がいい。

 ピッチャー返しは厳禁だ。

『にゃー!』

「うわあ!?」

 剛速球や変化球を投げ返されてコンボを繋げにくくなってしまう。


『ファースト!』


 真面目に一塁へ送球練習するキャラも重要だ。

 このキャラは守備範囲が広い上に、一塁以外の内野を守っている時は必ず一塁へ送球する。

 ファーストのキャラは常に同じフォームで捕球し、一定の軌道と速度でバックホームするのでタイミングを合わせやすい。

「初球を打った後は打席の一番前に立った方がいいな」

「気付いたわね」

 初球はノーコンのヒロインが変化球を交えて投げてくるので、投げてくる球種によって主人公の立ち位置を動かす必要がある。

 しかしバックホームとなると話は別だ。

 どのポジションの選手も、ホームベースのある一点をめがけてストレートで正確に返球してくる。

 返球がノーコンだとミニゲームが成立しないからだろう。

 スピードや角度の差はあれ、常に同じ場所へ正確にボールが飛んでくるのならやることは1つ。

 初球を打った後に打席の前へ移動すれば、後はタイミングを合わせるだけで打てる。

 あくまでタイミングを合わせやすいだけで、人のいる場所へ打つには慣れが必要だが、これに気づくのと気づかないのとでは大違いだ。


『20コンボ!』


「よし!」

「よくないわよ。このミニゲーム、打ったキャラと捕ったキャラしかパラメータ上がらないんだから」

「いつも同じキャラに捕らせてるとパラメータが偏るのか?」

「そうよ。しかもこのキャラ最初からステータス高いから強化する意味あんまりないし」

「……難しいな」

 とにかくコンボを繋げればいいというものでもないらしい。


「お腹すいたからミックスフライ定食ね」


「そんなメニューないぞ」

「これもミニゲームに出てくるのよ。コロッケ、エビフライ、一口カツ、千切りキャベツ、ごはん、味噌汁」

 豪華すぎる定食だ。

 作中では学食のおばちゃんたちがトラブルで学校に来れなくなり、主人公とその友人たちが協力して学食を運営している。

 そこで出てくるのが配膳というミニゲームだ。

 ルールは簡単。

 トレイの上に各キャラクターがランダムで料理を置いていく。

 3つのメニューの内のどれかが完成したらクリックし、客に出す。

 それだけだ。



メニュー


●カレーライス

 ごはん カレー 福神漬け


●ミックスフライ定食

 コロッケ エビフライ 一口カツ 千切りキャベツ ごはん 味噌汁


●おにぎり定食

 おにぎり 味噌汁 ゼリー



「……おにぎり定食、足りなくないか?」

「アニメだと玉子焼きとリンゴが追加されてたわね」

 やはりスタッフも足りないと思っていたようだ。


『ミッションスタート!』


 ミニゲームが始まった。

 画面上には4つのトレイ。

 そのトレイへ同時に、そしてランダムに料理がのせられていく。

 品物が足りないのはダメだが、多いのはOKだ(おにぎり定食やカレーにフライが追加されると喜ばれる)。

 問題は、


『ゼリーだ!』『ここでゼリーだ!』『やっぱゼリーだな!』


「ああ!?」

 ゼリー地獄。

 ヒロインがやたらゼリーをのせてくる。

 ゼリーが2~3個ぐらいならいいのだが、あまりにたくさんのせられると、ちゃんとメニュー通りの品がそろっていてもNGになる。

 4つのトレイを同時に管理し、ゼリーが増殖する前に客へ提供するのは難しい。


『ミッション失敗』


 あえなくゲームオーバー。

「まあ、ゼリーでも食え」

「……なんの嫌がらせよ」

「ミックスフライ定食なんて食う予算ないだろ」

「う……」

 ちなみにゼリーはレモン。


「『あしながおじさん』ね」


 『プールの水がレモンゼリーだったら人は泳ぐことができるのか』という有名なシーンがあるのだ。

 ゼラチンなしのレモンジュースなら楽勝だろうが、ゼリーならどうだろうか。

 おそらく当時のゼリーと現代のゼリーでは固さも違うはずだ。

 どろっとしたゼリーとプルプルしたゼリーでも答えは変わるのかもしれない。

「野球のミニゲームはたまにあるけど、サッカーのミニゲームってないよな」


「『モンキーゲッチュ2』にフットサルがあるわよ」


「猿だからフットサルか」

「ネーミングは安易だけど面白いのよ。対戦もできるし」


「……対戦しても俺に勝ち目ないだろ。練習させてもらうぞ」


「最低でもトーナメントで優勝できるレベルにならないと私には勝てないわよ」

 フットサルは対戦の他に一人用のトーナメントモードがあるらしい。

 プレイヤーの操作するサルは全部で4人。

 モンキーゲッチュは名前の通り猿を捕獲するゲームで、これまでのプレイで捕獲した猿を出場させることができるらしい。

 これはクリアデータなので猿は200匹を超えていた。

 一匹一匹に細かいパラメータがあり、選ぶのが大変だ。

 とりあえずスピードとスタミナとキック力の高い猿を選んでチームを組む。


 猿はポジションごとにコントローラーのボタン(○×□△)に対応しており、ボタンを押せば対応する猿へパスを出す。


 相手がボールを持っている時は、ボタンを押せば動かしたい猿を操作できる。

 キーパーはコンピュータが自動で操作するようだ。

 アナログスティックを倒すと、倒した方向へシュートを打つ。

 Rボタンを押せばダッシュ、Lボタンを押しながらシュートするとループシュートを打てる。

「フットサルだからこそできるシンプルさだな」

「でしょ?」

 11人操作しないといけないサッカーゲームよりずっと簡単でわかりやすい。

 ただ要所要所で一般的なフットサルと違うところがあった。

「うお、吹っ飛ばされた!?」

「シュートで相手を吹っ飛ばすと一定時間行動不能にできて、しかもスタミナも減らせるのよ。スタミナが減ると動きが遅くなって吹っ飛ばされやすくなるから注意ね」

「なら正面からシュートを打つのもありだな。キック力のある猿にシュートさせてキーパーを吹っ飛ばす!」


『ゴールキック』


「……シュートが真っ直ぐ飛ばん」

 アナログスティックを横に倒しているつもりが、どうも微妙に斜めに傾けてしまっているらしい。

 むしろ斜めにシュートする時の方が狙った場所へ飛ぶ。

 俺の操作ではシュートの確実性に欠けるので、押し込むのも重要だ。

 特にキーパーを吹っ飛ばした時。

 ここはシュートを狙うより、こぼれ球を拾ってゴールラインまで走って押し込んだ方がいい。

 しょっぱい戦法だが確実だ。


『バズーカイン!』


「ん、なんだこれ?」

 爆弾のようなボールが飛んできた。

「スローインでは特殊能力のあるボールを投げてくれるのよ。それは一定時間が経つと爆発するやつ」

「本物の爆弾か!?」

 逃げようとした時にはすでに遅し。

 ボールをキープしていた猿が吹っ飛ばされ、こぼれ球をフリーで打たれてしまった。

「……他にも変なボールがあるのか?」

「バナナはスタミナ回復、トゲトゲはシュートを相手にぶつけるといつもよりスタミナが減らせるの。ゴムボールはキーパーが取りづらい上に、ゴールを決めたら2点入る一番重要なボールね」

「一気に2点!?」

「ビーチボールは3点入るけど、ふわふわしてるからゴールするのは難しいわね。リードしてる時はどっちのボールもさっさとクリアした方がいいわよ」

「だろうな」

 試合時間は3分ハーフの6分。

 かなり短いが、


『ゴール!』


「ぐ!」

 下手をすれば5秒で1点入る。

 バズーカインによっては一気に2・3点。

 一瞬も油断できない。

「くそ、ディフェンスが難しいな!」

 相手にドリブルで突破され、後ろから追いかける展開になると防ぐのが難しい。

 キーパーは自動操作なのでフォローもできない。

 スタミナの消費が激しくなってしまうが、相手に攻め込まれそうになったら走りまくって強引にでも止めた方がいい。


『キックオフ!』


 そして最も重要なのがこの一瞬。

 キックオフ時の猿のポジションは決まっており、キックオフする猿の行動パターンも大体決まっている。

 後ろにパスをされたら難しいが、そうでなければボールを奪う大チャンス。

 キックオフと同時に相手へ向かって走り、ボールを奪ったらドリブルで切り込んでシュート。


『ゴール!』


「よし!」

 上手くゴールを決められたらまた相手のキックオフで試合再開。

 相手がバックパスをしなければ、同じパターンでゴールを狙える。

「ははは、ゴールラッシュだ!」

「その戦法、私相手には通用しないわよ」

「……」

 調子に乗るのはここまでにして、ちゃんとテクニックを身に着ける。

 準々決勝あたりから急激に相手チームが強くなったが、慣れれば互角以上に戦えるようになってきた。


『ゴール!』


「よっしゃ!」

 そして念願の初優勝。

 機は熟した。

「私の出番ね」

 ラスボス出陣。

 お互いに同じ猿でチームを組み、キックオフ。


ぐるん


「は?」

 ボールが信じられない勢いで曲がってゴールに突き刺さる。

「バナナシュートよ。L2かR2ボタンを押しながらシュートするとカーブするの」

「曲がりすぎだろ」

「テクニックのパラメータが高いほど曲りが大きくなるのよ」

「……カーブ禁止だ。対応できん」

「仕方ないわね」


ぽーん


「あ」

 今度は遠距離からループシュートを決められた。

 キーパーは自動操作なので、プレイヤーが反応できていてもどうしようもない。

 キーパーが少しでも前に出るとすかさずループをぶちこまれた。

「ループも禁止しよう」

「注文が多いわね。これならどう?」


ドンッ


「なっ!?」

 キックオフと同時に吹っ飛ばされた。

「まだまだ!」

 シュートで片っ端からこちらの猿を吹っ飛ばしていく。

 あっという間に全員のスタミナを削られ、うちのチームはボロボロだ。

「……非紳士的行為って知ってるか?」

「このゲームにはイエローカードもレッドカードもないことは知ってる」

「この野郎……!」

「じゃあスタミナ削り禁止ね。次は何を禁止するの? パス? ドリブル? シュート?」

「……いっそバイト中のゲームを禁止にしてやろうか?」

「それだけはっ!」


 どんなファンタジスタもフィールドの外では弱い。


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