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【コミカライズ掲載中】電気代払えませんが非電源(アナログ)ゲームカフェなので問題ありません  作者: 東方不敗@ボードゲーム発売中
本編

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パズルゲームセット【イチゴと牛乳】

参考ゲーム

テトリス

メテオス

マネーアイドル エクスチェンジャー

パズルボブル

「『テロリス』やりましょ」


 テロリスはブロックを隙間なく横一列に並べると、ブロックを消せるシンプルなパズルゲームだ。

「こんな単純なゲームでお前に勝てるわけないだろうが」


「ハンデで無回転プレイするから」


「無回転?」

「落ちてきたままの状態で、回転させずにプレイするということでしょうか?」

「そうそう」



■■



■■



■■

 ■



 ■

■■


※普通のパズルゲームは4分の1ずつ回転させられる



「それならいけそうだな」

 そう思ったのが甘かった。

 十字キーの下を押しっぱなしで、物凄い速度でブロックを落としながら消していく。

 とてもついていけない。

 瞬く間に追い込まれてしまった。

「うぃなー!」

「ぐ……、うますぎだろ!」

「ふふん。無回転パズルの『ジュエルス』を極めた私にとって、こんなの簡単なんだから」

 ハンデとはなんだったのか。


「一度は高層ビルの窓でテロリスやってみたい」


「無茶いうな」

「まちゃちゅーちぇっちゅ工科大学の学生はイタズラで本当にビルテロリス作ったのよ」

「マジか」

「海外のイタズラはスケールが違いますね」

 もはやイタズラのレベルではない。

 これで一般人もプレイできれば嬉しいのだが、ビルの窓なので無理だろう。

 日本でも廃ビルを利用してこういうのを作ってほしいものだ。

「普通のパズルで我慢しろ」

「はーい」

 瑞穂が別のパズルゲームを物色しているうちにおやつを作る。

「今日のおやつなに?」


「いちごミルクだ」


 ガラスの器にいちごを盛り、スプーンでいちごを潰してから砂糖とミルクをかける。

「え、いちごミルクって飲み物じゃないんですか?」

「昔はこうして食べることが多かったんですよ」

 軽部烏頭子かるべ・うとうしの『心あての苺にのこす牛乳ちちなりけり』という句もある。

 歳時記の例句を見ても苺つぶすという句をいくつか見かける。

 ガラスの器を使ったのは夏目漱石の句『玻璃盤に露のしたたるいちごかな』を意識したからだ。

「シリアルみたいね。練乳よりいいかも」

 自分で作るのが楽しいらしく、どんどんいちごを潰して食べていく。

 さながら枕草子だ。


『あてなるもの いみじう美しき稚児の、いちごなど食ひたる』


 小さな子供がいちごなどを食べている様子が可愛い(この場合は野イチゴだろうが)。

 それはいつの時代も変わらない。

「クリームちょうだい」

「クリーム?」


「若草物語よ!」


「『不幸な宴会』ですね」

 たしか小説でもガラスの皿にいちごを盛り、砂糖をまぶしてクリームをかけていた。

 だが砂糖と塩を間違え、クリームは腐っていてすっぱかったというオチだ。

 さすがに塩を入れるのはアレなので、酸味を出したいのならヨーグルトを混ぜてもいい。


「いちごオーレも作るか」


 すり鉢でいちごを潰し、ミルクをそそぐ。

 隠し味に蜂蜜をたらすと、さらにいちごを潰しながらかき混ぜる。

 最後にザルで余分な果肉をしとれば完成だ。

「んー、こっちも美味しい!」

 同じいちごとミルクの組み合わせでありながら、味も香りもかなり違う。

 色んな楽しみ方ができるのがいちごミルクの魅力だ。

「じゃあゲームの続きね」

『メテオストライク』ね」

 タッチペンを使える携帯ゲーム機を取り出した。


「これは打ち上げ型なの」


「打ち上げ?」

「縦もしくは横に同じパネルをそろえると、パネルを打ち上げて相手を攻撃できるのよ!」

 ゲームシステムはよくある『落ちもの』パズル。

 上からパネルが落ちてきて、パネルが一定以上の高さを越えてしまうとゲームオーバー。


○ ↑↑↑

○ ○○○


 パネルを縦か横に3つそろえると打ち上げられるらしい。

 もちろん打ち上げたパネルは相手の陣地へ落ちる。

「重要なのは横よ。これなら一度に大量のパネルを打ち上げられるでしょ」

「えぐいな」


「でもパネルの数が多いと、重くて一回じゃ相手の陣地にまで打ち上げられないの。そこで『再点火』よ! パネルが空中に浮いてる間に、パネルを動かしてもう一回発射!」


×△×

△□△

×○△

□△×

○○○←○で打ち上げる


 ↓


×□×

×○△

□△×

△△△←浮いている間に△を下に移動させて再点火



×□×

×○×

□△△□

   □

   △←浮いている間に地上のパネルを操作しておけば、着地と同時に打ち上げる(浮いている時に打ち上げたのと同じ扱いになる)こともできる


「縦にしかパネルは動かせないから注意ね」

 とにかく3つそろえるだけで打ち上げられるのでわかりやすい。

 ただし、


『滅亡!』


「うああ、また画面端か!?」

 横にそろえることばかり考えていると、


×       ×

□       ○

△       △

×       ×

○       □

△       ○

□       △


 このように画面端の列だけ残りがちだ。

 端だけ残ると横にそろえることができない。

 結果、一定のラインを越えてしまってゲームオーバーになることが多いのだ。


 いつでも打ち上げられるように、画面端の列は縦に2つそろえておいた方がいい。


「……くそ、思うように動かせんな。もどかしい」

「狙いが外れてしまいますね」

 タッチペンの精度が悪いのか、それとも俺たちが下手なのか。

 狙ったパネルを思うように動かせない。

 どうしても微妙にずれてしまう。

 しかも厄介な点はまだある。

 1つはステージごとにパネルの形が違うこと。

 ○△□×のステージや、すべてのパネルが色違いの□で構成されているステージ、生物のような形をしているステージなど、バリエーションが多くて視覚的に慣れにくい。

 おまけにステージごとに打ちあがり方が違う。

 中には一度目の点火では浮きあがることもなく、二度目の点火で一気に打ちあがるステージもある。


 それと落ちてきたパネルは一定時間経過しなければなんのパネルかわからない。


 これが非常にうっとうしい。

 ただでさえ邪魔なのに、早く処理したくてもパネルの種類がわからないのでどうしようもない。

 このパネルの仕様さえなければプレイしやすくなるのだが。


『メテオストライク!』


 だが大技を放ちやすく、視覚的にも音楽的にも派手なので気持ちいい。

 難点を挙げるなら、終盤になると対戦相手を見る余裕がなくなり、

「あああ、パネルが!?」

「ん、勝ったのか?」

 相手が勝手に自滅し、気づいたら勝っているという不思議な展開が多々ある。

 お互い相手に干渉していない(している実感がない)ので対戦ゲームという感じがしない。


 『どちらがより長い時間生き延びることができるか』を競うサバイバルパズルゲームのような感覚だ。


「打ち上げ型面白いな」

「打ち上げ型ならこんなゲームもあるわよ」


『ドル箱アイドル ロンダリンガー』


 登場キャラがアイドル風の魔法少女で、ブロックが日本の硬貨の形をしている不思議なパズルゲームだ。

「これはちょっと特殊なゲームで、上にあるブロックを取ってから打ち上げるの。で、1円を5枚そろえたら5円に、5円を2枚そろえたら10円ってぐあいに両替えして連鎖していくのよ」

「面白い発想ですね」

 たしかにありそうでなかったゲームだ。



1    1←1円

1    ↑

1    |

1    |

     |

 キャラ→○


※フックのようなものを伸ばして上にあるコインを取り、取ったコインを別の場所に置くことができる

この場合、取った1円を左端の列に置けば5円になる 


端の列にフックを伸ばした場合、一度に4枚取ることができる(縦1列に並んでいる同じ数字のコインはまとめて取れる)



「……独特な操作感覚だな」

 上にあるコインを取って置くのが変な感じだ。

 しかも1・10・100円は5枚そろえないと両替えできない。

 5・50円は2枚そろえれば両替えできる(500円は2枚そろえると両替えされず、高得点だけを残して消える)。

 こういうパズルゲームは4つブロックをそろえるのが基本なので、2枚か5枚というのは両極端だ。

 おまけに普通は4つそろえたらブロックは全部消え、消されたブロックの上に乗っていた色違いのブロックが下に落ちる。

 その色違いのブロックでまたブロックを4つそろえ、連鎖していくのが普通のパズルゲームなわけだが……。


 このゲームはあくまで両替えなので、1円を5枚そろえれば1円は消えて5円玉が残る。


 つまり上(下?)に乗っているコインと、両替えされたコインを使って連鎖を組み立てるわけだ。

 落ちゲーのシステムと似ているようで違う。

「重要なのは2枚で両替えできる5円と50円か?」

 これを使えば連鎖しやすくなるような気がする。

 ただ2枚で両替えされるので、間違って両替えしてしまったり、置き場所に困ることが多々ある。

 大連鎖を狙う場合は枚数の多い1・10・100だろう。


「コインが両替えされている最中にコインを置くのが連鎖のコツだな」


 コインをそろえたからといって、すぐに両替えされるわけではない。

 両替えされるまでに何秒かの間がある。

 なので1円が5円に両替えされている間に他の場所から5円を持ってきて強引に連鎖をつなぐこともできるのだ。

 かなりの力技だが、これをやるのとやらないのとでは全然違う。

「やっぱり打ち上げ型いいな」

「でしょ?」

 落ちものパズルゲームと打ち上げパズルゲームをバランスよく融合させたユニークなシステムといえる。

 古いゲームではあるものの、最新のパズルゲームとして売り出されても不思議はない。

 アイドルゲームとコラボして続編を出せば流行りそうだ。

 ……いや、よく考えたらアイドル要素ほぼないな。


「あとは『パズルバブル』ね。これは純粋な打ち上げ型なの」


 画面上部にバブルのパネルがあり、画面下からバブルを発射するゲームらしい。

 バブルに当てるとバブルはくっつき、3つ同じ色をそろえると消える。


○△□×○△□×○△□×

 ○△□×○△□×○△

     ○

     ↑

     ↑

     ↑

     ↑

     |←バブル発射装置


発射装置の角度を調節することで、180度好きな場所へバブルを撃てる

壁に当てると『<』や『>』のように反射する


「バブルがはじけるゲームですね」

 昭和の香りが漂うゲームだ。

「ん、下のバブルは上のバブルにくっついてるんだな。すると、できる限り上を狙った方がいいのか」

「そうね」


○○←打ち上げて3つそろえた状態

△←△は○にくっついているので、○が消えると一緒にはじける


 時間が経過するごとにバブルは1列ずつ下に降りていき、一定のラインを越えるとゲームオーバー。

「げ、自滅した!?」

「無駄撃ちするからよ」

 自分が撃ったバブルがラインを越えてもアウトらしい。


━━━━━━ライン

×   \←バブル発射装置


 バブルはバブルにくっつくので、ミスショットをするとバブルは下へ伸びてしまう。

 正確な射撃が求められる。

「壁に反射させたり、バブルの隙間をぬって撃ち抜く技術が必須なわけですね」

「……これシューティングじゃないか?」

「パズルよ」

「いや、シューティングだろ?」


「パズル!」


 ゲーマーのこだわりはわからない。


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