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05-ウルフ討伐

ようやく依頼を貼り出している掲示板にたどり着いた。

Fランクの依頼内容を確認してみると、パルマの森で大体一体から二体の魔物討伐か薬草とかの採集系が多かった。


そのなかから選ぶとしたら今のところは討伐が良いと思う。この中にある依頼の中から最も良さげな用紙を一枚選び、取ると受付に並んだ。


「依頼書を確認しました。ギルドカードの提示をお願いします」


受付係にギルドカードを渡した。

それを受け取ると何やら事務手続きをしているようだ。


「ギルドカードを確認しました。ありがとうございます。それでは依頼内容の確認をしますが、よろしいですか?」

「ああ、頼む」


一応、文字も分かるらしい。意味が頭のなかに入ってくる感じだから、書くことは出来ない。ちゃんと聞いて依頼内容の確認をこちらもしておきたいところだ。


「パルマの森にて、ウルフの二体討伐となります。ウルフを討伐し魔石を回収し、残った部位は買い取ると書いてます。こちらの依頼者はなるべく傷の少ないウルフを希望しているようです。報酬は銅貨五枚ですがウルフの討伐状況により更なる加算が見込まれます」

「なるほど、聞きたいことがある」

「なんでしょうか」

「魔石はウルフのどの部位にある?」

「基本的に魔物の魔石はお腹の中腹にあるとされてます。必要であればギルドでの剥ぎ取りも銅貨一枚で行っておりますのでご利用ください」

「ああ、それじゃそうさせてもらう」




ギルドカードをポケットに直すとパルマの森に向かった。

途中、入国時に知り合った兵士と話す機会があったのでギルドカードを見せて冒険者になれたことを報告した。

俺がまだ二十一歳であることに驚かれた。もう少し年下に見えていたらしい。




パルマの森で探査魔法(ソナー)を使う。自身の魔力を三百六十度に展開し、魔力を持つものとぶつかれば微かな信号を俺が受け取れるというものである。


詳しい理屈は考えたら、キリがない。


この世界で魔法とはイメージ力、想像力がどれだけ豊富かに依存しているように感じられる。詳しくはまだ分からないが、今のところはそうとしか考えられない。


無数の反応のなかでもっとも近い場所に向かう。

一体だけの反応であり、周囲に警戒すべき魔物が少なかったというのもある。近付くと「グルルル」と唸る声が聞こえる。どうやら敵は既に気付き警戒体制に入っていた。


唸り声のおかげでウルフがどこにいるのか丸分かりであった。少し先の茂みの奥にいるのは間違いない。探査魔法(ソナー)で捉えた位置から動いてはいないようだ。


茂みを無闇に越えてしまえば、飛び掛かり襲われて死んでしまうだろう。それは好まれたものではない。だから探査魔法(ソナー)を使い、相手の位置を把握し素早くこの距離から魔法を放つことで仕留めることにした。


無駄に傷が付かれるのも、色々と困る。今日仕留めたウルフも傷口から溢れた血で染まっていたのだ。それに依頼主の希望もあるからな。報酬の加算は魅力的である。今の俺の目は輝いてるだろう。


「─よし、狙いは定めた。風の槌(エアハンマー)!」


狙いを定めると獲物の上に風の塊を作り出し脳天に叩きつけた。

「─ガッ」と地面に沈んだような声を聞き、慎重に茂みを掻き分けて進むと頭を腫らして口から泡を吹いているウルフがいた。


見たところ気絶しているようであったから、もう一度エアハンマーを脳天に叩きつけて確実に仕留めた。


魔法の連続使用のせいなのか、体のだるさが残る。魔力を手に入れたときもそれはそれで気持ち悪かったが、馴染んでしまった魔力が減るとまたそれはそれでだるいとはめんどくさい仕様だ。


「はぁ、調べてみたら近くにもう一匹来てるじゃねえか」


その距離五十メートル、目視で見えるところまで近付いていた。ウルフとの戦闘で周囲への配慮が足らなかったようだ。


もう少し気づくのが遅ければ恐ろしいことになっていたかもしれん。


それはそうとして、ウルフの魔力は覚えた。魔物によって魔力の波がぶつかったときの反応が違うらしくウルフにはウルフのということがあるようだ。


このウルフは真っ直ぐこちらへ向かってくる上に狙いを定めるために探査魔法(ソナー)を使う必要がない分、楽である。


正面から風の槌(エアハンマー)で狙い飛ばして二匹目の回収に成功した。


パルマの森を抜けると両腕で抱き抱えたウルフを兵士の所で一度下ろし、詰め寄り所でお茶をご馳走になった。この兵士、結構良いやつだ。


「早かったな。まだ森に行ってから一時間もたってねえぞ」

「そりゃあ、魔法使えるんだから普通だろう」

「簡単にいってくれるが、お前の成し遂げたことは異常だぜ。討伐までの時間といい、ウルフの傷の状態と良すぎる。これが出来るなら俺に寄越すウルフも最も綺麗なのにしてくれよ」


兵士は冗談を交えつつ笑った。


「それと、討伐を終えたんなら魔物の血抜きくらいはしておいた方が良い。品質が悪くなるからな。時間があれば教えてやるから暇なときにここに来ると良い。都合してやる」

「こりゃあ、兵士さんに頭が上がらなくなるな!あはは!」


それから兵士さんに頭を下げると、俺はウルフを持って冒険者ギルドに向かった。別れ際に「次もよろしくな!」と言われたのでそれは魔物を持ってきてほしいのか、会うことがなのか、色々考えるがそれよりも兵士のやつが良いやつすぎて、それが可笑しかったことに笑みが漏れた。




最後の

兵士が良いやつすぎて、それが可笑しかったことに笑みが漏れた。

とありますが、これは伏線でもなんでもありません。笑

主人公は「初対面なのに可笑しな奴だな」と思ってます。




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