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00-転生の日

よくあるファンタジーな小説です。

思い付くままに好きなジャンルで書いていきたいです。

あわよくば、皆様に楽しんでいただければ幸いです。



死因《夢遊病にて事故死》


「アホらしい理由だよねぇ。今考えてもよぉ」

「そうだよね。僕の死因もさー。《ケツ掘られ過ぎて直腸破裂死》だよ?」

「変態のお前と一緒にしないでくれない?」

「一緒さ、夢遊病って断定されてるけど要はありもしない魔法を発動したくて練習してたら死んじゃったんでしょう?」

「ぐぬう・・・」


この変態の言うことは本当だ。会話で分かると思うけど死後であるこの世界で俺たちは半端者だ。趣味にひた走った人間が死んでから来る場所が此所だ。死後の世界で生きている住人からすれば俺達は嫌われている。


「でもさあもうすぐだよね。成仏する日」

「ああ、生まれ変われるなら魔法のある世界がいい」

「いいや、全うに生きようよ。ここがなんの場所か分からないの?更正施設みたいな場所なんだよ?」

「ちゃんとしてるじゃん。だから成仏の順番が回ってきたってことだろう。魔法の練習はやめないが、更正施設でしっかり勉強、労働に励んだし」

「僕だって、早く成仏したい」

「当分無理だ。俺は見たぞ?隠れながら掘ってもらってるのを」

「君が居なくなったら、寂しくなるね」

「話をそらすな。だが、寂しくなるな。いつか来世で会おうぜ。こんな世界で会えるんだ。何処かで会えんじゃない?」

「───またね」

「ああ、行くのはまだ先だけどよ。なんだかんだ楽しかったぜ」


変態とのばか騒ぎに救われていたところも実はあるのだ。ただ、掘ってくれないから掘ろうとするのはやめてくれ。


「───それじゃあ今日も一日頑張っていきましょう!」


俺はこの世界に来てから一日も欠かすことなく言い続けてきた始まりの挨拶を告げた。







『ピンポンパンポーン、数少ない成仏の日がやってきました。今から5分後に天界の間へ転送されます』

「あ、いつも唐突だよね」

「そうだな。またな変態」

「じゃあね中二病、来世は掘ってね」

「掘らねえよ」


左腕を見る。そこには転送までの残り時間が刻まれている。一秒経過するごとに数字が減るのだ。


(まだ三分もある。こっちでお世話になった人に挨拶するか)


そしてやって来たのは看守室。看守の人、教官にはとてもしごかれたので一言くらい最後に文句を言いたい。


「よぉ、来ると思ってたよ。ってか大体の奴は俺のとこに来るからな」

「ええ、労働という名の特殊訓練の数々、自衛隊か!何回死ぬと思ったことか!このくそ教官!」

「最後の最後まで看守じゃなくて教官なんだな。それと文句が小さいぞ。……成仏する奴が俺のところに来たら大体いってやる台詞があってだな」

「なんですか?」

「ハッピーエンドおめてとう、くそったれ!」

「えええええ!!!そこは普通、“よくぞ俺の試練を耐え抜いた。よくやったな”とか!言うだろう!?」

「うるせぇ、手下が一人減ったら悲しむのも教官の勤めなんだよ」

「あー、今手下って言いましたー。言質、言質とりましたからね?あなたの仕事は看守ですから、俺達を見張る人ですから!」

「うっせええええ!さっさと出ていかんか!」


教官から別れの理不尽パンチを受けると時間がちょうどだったようだ。俺の体は吹き飛ばされながらどこかへ転送された。


「別れってのは苦手なんだよ。ううっ、湿っぽくなっちまったな。煙草でも吸いにいくか」








「ドスン!」体が床に叩きつけられた。不思議なことに痛みはない。教官の拳による痛みもない。ここはどのような場所なのだろうか。光の神殿とでも呼べば良いのだろうか。大理石のような床に引かれた豪華な絨毯は先への道を示している。綺麗な柱はさながら美の化身のようだ。


「例え方が下手くそだろ。美の化身ってなんだよ」


もっと良い例え方があるのだろうけど、分からないものは例えようがないからな。この先に行けば良いのかも、絨毯の上を歩くと偉そうにふんぞり返っている男がいた。


「よく来たな。ここは成仏の間、別名転生の間だ。ワタシはこの死後の世界を統べる者である。汝、希望の願いを言うが良い。願いに沿った世界へ転生させてやろう。汝、転生ではなく、成仏を望むか?」

「転生!!?今の記憶を持ったまま違う世界に行けるんですか!?」

「うむ、汝は転生を望むようだな。ではどのような世界を望むか」

「魔法のあるファンタジーな世界がいいです!」

「了解した。汝には魔法世界系列シャロンに転生させるとする。更に魔法を打つために必要な魔力も与えておく。体内にある魔力の上限をあげるには練習あるのみだ。転生しても精進するように」

「練習とは・・・。それにシャロンという世界について」

「ではいくと良い。うむ、教官の扱きに耐え抜いたお前ならばなんとかなるだろう」

「教官?・・・看守は自分の訓練を受けたものにしかそう呼ばせないはず。まさか!」

「行ってくるが良い!・・・・・・うん、あれはつらい」


最後の一言が聞こえたと思えば、天界の間に来たときと同じように転送された。



さて、シャロンってどんなとこだろうね。


魔法の世界か、死んでみるもんだな。縁起でもないぜ。もう死ぬのなんてこりごりだ。生き抜いて見せよう。そのために特殊訓練だったようだからな。


それでは今日も一日頑張っていきましょう!




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