表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
呪文  作者: 田辺 涼
6/14

ぼくの話

気がついたら見られていた。

きっかけはアレだろう。

昼休みに早川とサッカーをしていた時のことだ。

早川の乱暴なパスのおかげで、ボールが彼女のとこまで転がっていった。

奴は一人で弁当を食っていた。


暗い奴。


今時珍しい、ただただ長い黒髪。

ガリガリに痩せた手足。

俯いた顔。

青白い肌。


いつもの癖でとっさに営業スマイルを作って、奴が拾ったボールを受け取った。


そう、思えばあの時からだ。

奴の視線を感じるようになったのは。

ふと顔を上げると、あの女がこちらを見ている。


陰湿な女に好かれるほど嫌なことはない。

声を掛けるわけでもなく、ただ僕を見つめ続ける奴の姿は、本当に気持ち悪かった。


「死ね」

「キモイ」

と通りすがりの生徒に囁かれるような女。



どうしてそんな女に僕が好かれなきゃいけないんだ!


この僕にそんな気持ちを寄せるなんて、おこがましいとは思わないのだろうか。

まさかこの僕が自分と釣り合っているとでも思ったのだろうか。


少しでも可能性があると?

この僕とお前が同じ人種だとでも?

僕があいつに殺意を覚えるまで、そう長くはかからなかった。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ