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わたしの話
いつも一人でお弁当を食べる中庭のベンチ。
今日もなんとなくそこに座ってしまう。もう何も食べる必要はないから手ぶらだ。
それはすごく嬉しい。
本当は嫌だったんだ。こんな虫のいっぱいいるところで物を食べるのなんか。
砂の被ったベンチへ座るのなんか。
でも教室で女子が一人でお弁当を食べていると目立ってしまう。
一人で昼を過ごすというただそれだけのことが、この学校という世界では恥とされるのだ。
嘲りを含んだ視線に私は耐えられなかった。
そう、初めてあの人と会った日も、私はここで一人でお弁当を食べていたんだ。
彼のボールが、私の足下へ転がってくるというベタな出会いだったけど。
太陽のような笑顔が眩しくて。
心臓が射抜かれたかと思った。
絶対に手に入れたいと思ったんだ。
何をしてでも。