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呪文  作者: 田辺 涼
2/14

ぼくの話

生徒が屋上から飛び降り自殺なんて、この学校始まって以来のことだったらしく、周囲は異様な興奮を見せた。



「なぁなぁ、4組の田端だってよ!死んだ女」



何十回も回った情報を、さも最新ニュースであるように得意気に話すのは早川だ。頭が鈍いくせに見栄っ張りで、やたらと情報通を気取るのが鬱陶しいが、単純で使いやすいのでよく一緒にいる。


「田端ってさ、リストカットしてるって噂のあった子だろ?とうとうやっちゃったかぁ~」



ヘラヘラと話し続ける早川の顔は本当にバカみたいだ。思わず笑みをつくっていたらしい。



「なんだよお前、田端知ってんのかよ」


早川が唇を尖らせた。



知ってるよ。

少しはね。



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