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わたしの話
花びらが飛ぶ直前、誰かの声が聞こえた気がする。
でも良くはわからない。
その時私は自分の恋を占うのに必死だったから。
いつも聞いてるような言葉だった気がする。
なんにせよ、どうでもいいことだ。
大切なのは今この時。
彼はいつもいる友達を待っている様子だ。
ボールを拾ったあの日、笑っていた彼の隣で、顔をひきつらせていた人だろう。
思い込みが激しそうな陰気な雰囲気を持ったその友達は、正直彼には似合わないけど、
彼が楽しそうだからいい。
ロッカーがわからなくて、無造作に置いたチョコレート。
彼ならきっと誰からのものかわかってくれただろう。
いつまでも待つよ、その効果を
首に手をまわしながら
耳に囁き続けながら
彼の左耳の赤いピアスに口づけた。