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呪文  作者: 田辺 涼
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わたしの話

大人しくて鈍い私は、よく人に酷いことを言われた。



「死ね」



通り過ぎざまにそんな言葉を何回囁かれても、私は本当に死にたいと思ったことはなかった。


恋をしてからはなおさらだ。


今は隠れないで堂々と彼を見つめられる状況にいて、ほんの少しだけ死んだことを嬉しく思う。


そっと近づき、たくましい肩に顔を寄せる。人目を気にしないでいられるのは、幽霊の特権。



「私を好きになってよ」



チョコレートに込めた言葉を、私は呪文として唱える。


「私を好きになって私を好きになって私を好きになって私を好きになって私を好きになってよ…」



いつまでも唱え続けよう。


あなたが私を好きになってくれるまで。


あの日屋上でしていた花占い。


「好き」だと最後に残った花びらが風に飛ばされた。


花びらを追って出た足は、いつの間にか空中にあった。


そうして死んだけど死にきれないこの私の気持ちを、花占いの通りに、呪文の様に


好きになってよ。



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