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呪文  作者: 田辺 涼
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ぼくの話

死んでしまえと思っても、実際に手をくだそうとは夢にも思わない。


だってそうだろう?

あんな女の為に、なんで犯罪なんて危険を犯さなければならない?


そんなリスクを負うには動機が足りない


けれども感じた屈辱と煩わしさは、奴にこのまま思いを寄せられるのを我慢するのには大きすぎた。


他人に殺意を感じることは多けれど、それにはきっと大きさがあるのだろう。


その大きさが頂点に達したとき人は人を殺すのだろう。


奴への殺意は中、その位だ。


だから僕は奴を殺すことにした。


中くらいに


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