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第四回:Y31

 前澤デザインを象徴する日産の一時代を築いた代表的なセダンであり、シーマ現象を巻き起こしたバブルのシンボルとして世を席巻した超雲児でもあり、登場から早20余年、2012年の現在でもセドリック・セダンの営業車が製造され続けている車。それがY31である。


 特にシーマに関しては、プレジデントの1つ下のクラスとして初めて投入したモデルの為か、その力の入れ具合が如実に判る程随所に手が加えられており、適度に丸みを帯びた直線基調のシャープなエクステリアデザインや、後年生産されたセダンにも採り入れられたインパネデザインの絶壁T字型からなだらかな曲線を意識した物への変更は、何時見ても目を見張る物がある。

 当時のベンツを強く意識したのだろう。大きく開いたフロントグリルやボンネットフードの先端にグリルに合わせて装着されたメッキパーツとエンブレム、縁周りに少し凹凸を付けた尾灯のレンズ等、様々な部分で、これぞ高級車、という独特の貫禄を醸し出している。しかもこう見えて実はハードトップレスというおまけ付きだ。

 セドグロのハードトップレスと違ってリアドアのウィンドウの後ろ、Cピラーに三角窓が取り付けられて居ないので、車両後方部の雰囲気もすっきりとしていて好感が持てる。

 しかも3LV6ターボエンジンのお陰で他の兄弟達と同様に勝負も出来る少し悪っぽい高級車だ。良くも悪くも好戦的な車と言えるだろう。


 細かい所や装備の違いで、セドリック・セダンと営業車を厳密に分けて話す事も難くないが、遠目で見る限りどう見ても一致するので、此処では同じモデルとして扱わさせて貰う。


 今現在、現役なタクシー向けの日産の営業車として唯一の車なので、一度ならず世話になっている人が多そうなイメージのあるモデルである。

 その所為か、この車を個人で保有していると、高確率で個人タクシーか覆面パトカーと勘違いされる。だてに20年超も造られているだけあって、車に詳しくない人にもそういう車だと認知されている事は驚くべき事だと思う。


 数十年の歳月の中で数ある派生車種とグレードが生まれたセドリック・セダンだが、今回はその中でも最高グレードだったブロアムVIPについて紹介したい。


 エクステリアデザインは他の物と基本同一だが、5ナンバーサイズではなくブロアムと同じ3ナンバーサイズである。


 80年代末から90年代の間は、欧米に合わせた高級車のフルサイズ化に向かって、マークⅡやローレル等多くのハイソカーが従来の5ナンバーサイズと共に大排気量の大型の3ナンバーサイズを用意していたが、その殆どは幅広で大きなバンパーを無理矢理組み込んで、その分大きくなったオーバーハングと全幅で巨大化するというセコいものだった。

 しかし、セドリック・セダンの場合はそうではない。比べて見ればよく判るが、実際にボディーが一回り以上大きくなっているのである。無論、中の空間だってその分広くて快適だ。


 インテリアデザインも秀逸である。Y31シーマのそれを意識して少し新しい時代のトレンドを吹き込んだインパネに惜しげもなく濃くて渋い木目調のパネルを使い込んでいる。ハンドルだって今時の4本スポークで格好良い。不満があるとすれば、自発光式ではなくライトを点けるとメーターパネルを淡い豆電球の光が照らす事位だろうか……。だが、それが良い。


 エクステリアデザインについては、フロントフォグランプがバンパーのウインカー下ではなく、ヘッドライトの内側に仕込まれている事と、フロントグリルの開口部が大きくなって横方向に伸びた正六角形のような形状をしている事、そしてリアコンビランプのウインカー部分が細くなってクリア処理をされている位だろうか……。それ以外はセドリックのハードトップレスをそのまま素直にセダンへ造り変えたような風貌をしている。

 これでVG30エンジンを搭載してるのだから、車として文句が言える筈がない。


 こんな車が2002年まで製造されていて、今でも2L5ナンバーサイズであれば新車で購入する事が出来るのだから、まさに日産様々である。最近の丸っぽくてつり目な車にウンザリしている人は1度購入を検討されては如何だろうか?

 パトカーやタクシーに長年採用されている以上、性能の程は折り紙付きである。

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