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夏の夜のクリスタルレイン  作者: イリ―


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戻らぬ彼

 家に戻った頃には日もすっかり落ちて暗くなっていました。

 外灯(がいとう)も少ない田舎の村で慣れない者が一人歩きするのは大変です。

 それでも道の少なさと遠くに見える家の明かりと、道路沿いにある倉庫を目印に何とか帰り着きました。


「遅くなりました」

「あぁ、正美(まさみ)ちゃん。姿が見えないから心配してたのよ。でも良かったわ」

「ご心配かけてしまってすみません」

「いいのよ、でもねウチのもまだ戻ってないの、正美ちゃん何か聞いてないかしら?」

「え? 彼戻ってないんですか?」


 携帯を取り出してみましたが着信もメールもありません。電話をしてみましたが通じずに留守電に切り替わりました。


「車で出かけたのよ、でもまだ戻ってないの。道も悪いし大丈夫かしら」


 お義母(かあ)さんはかなり心配そうな様子です。


「どこに行ったかは分からないんですか?」

桐崎(きりさき)の車を見て出て行ったんだけど」

「桐崎?」


 そう言えば遠野(とおの)さんのお宅に伺った時にもその名前が出ていました。

 桐崎エナジーコーポレーション。

 近年よくその名前を聞くようになった新進気鋭の企業です。

 四十手前のやり手の若社長となればメディアもこれを見過ごす手はありません。特にこの頃ではいい話題や疑惑も含めてニュースやワイドショーで多くその名を聞く機会が増えています。

 実家の周辺でその名を聞いて彼も心配なのかも知れません。それで調べに行ったのでしょう。ですが、彼は誰よりも慎重で決して無理をするような人ではありません。連絡がないのは電波が届かないとかきっとそういうことなのです。


「大丈夫ですよお義母さん。きっとすぐに帰ってきますって。あ、あたしお茶()れますね」


 あたしはお義母さんの背を押して食堂へと向かいました。


 しかし、その日


 彼は戻って来ませんでした。


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