1/4
オープニング
逃げ出しただけだ。
居心地の悪くなった場所から。
ずっとそうしてきたんだから、成功してきたんだから。
これが正しいはずだったの。
逃げてきた外の世界。太陽の光の下で。走る足の下で。
違和感を感じた。
地面が暴れ出した。
踏ん張りきれずに尻餅をつく。心臓がキュッとする。
バクバクと鳴り響いた。地面は揺れる。揺れている。
体が動かせない。体と心が離れてる。
どうしよう、避難訓練なんて何年もしていない。
道路。コンクリート。真ん中。 置いて行かれた。
特に誰かがそばにいたわけでもないのに。
手をついた。四つん這いでどうにか地面にしがみつこうとした。
整備されたコンクリートにはしがみつく凹凸なんてないのに。
そばで石の砕ける音がした。
音の方を見る。
砕けた塀の瓦礫が襲いかかってきた。