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2話





 「こんにちは、俺の名前はグレイ、この迷宮で案内人をしてます。」


 青年、グレイは朗らかに笑い、落ち着かせるように男に言った。その笑みを見た男は少し緊張が解けたのか口を開く、


 「た、助けてください、気づいたらこんな場所にいて、それで、誰も居なくて。」


 男は、自分の状況を言葉を詰まらせながらも一生懸命にグレイに説明する。


 普通に考えればこんな状況で自分より一回り程年齢が下の青年に助けを求めるなんて変ではあるが、おかしな状況下でずっと1人だった男にはそんな事を考える余裕なんてなかったのだろう。


 

「まあ、少し落ち着いて、まずはお兄さんの名前を教えてくれない?」


 そう言ってグレイは男を宥め、質問する。そうすると男は少し冷静を取り戻したのか自己紹介をする。


 「あ、ああ、取り乱してしまいすみません、私の名前は中野春樹といいます。」


 「中野さんね。よろしく。」


 グレイは、中野の様子などお構いなしに冷静に返事をする。


 「あの!あなたは何者で、ここはどこなんですか!?」


 こんな状況でも異常なまでに冷静なグレイを怪訝に思い、中野は勇気を出して質問する。


 「ちょっと待って、今から説明するから落ち着いて。」


 とグレイは中野に興奮を冷ますように促す、そしてグレイは中野の陥っている状況を話し始める。


 「まず、ここは迷宮と呼ばれてます。迷宮では色々な物や人が攫われてきます。そして、中野さんみたいな迷宮に攫われてきた人のことを漂着者と呼ばれてます。周りを見たらわかると思いますが、迷宮は色々な場所で構成されています。ここまでは、理解しましたか?」


 「は、はい!だいたいわかりました」


 「それで俺のことなんですけど、俺の職業は案内人といって依頼してきた人に迷宮の中を案内してお金をもらってます。」



 大体説明し終わったのか、グレイは中野に向けて少し胡散臭い笑顔を浮かべ言う


 「ところで急に話が変わりますけど、中野さんは今お金をいくらくらい、持ってますか?」


 急に、聞かれた中野は戸惑いながらも答える。


「えっと、だいたい3万円ぐらいですね。」


「おお!結構持ってますね。」


 グレイは中野の持っているお金の額に驚きながらも続ける


 「中野さんが持っている3万を依頼料として俺に払ってくれたら、中野さんを俺が責任を持ってもといた場所まで送り届けますけど、どうします?」


「お願いします!自分をもといた場所まで送り届けてください!」


「わかりました、中野さんは俺が必ず送り届けるの安心してください。」


  グレイの問いに中野は即答する。


 その言葉を聞いた中野は緊張が解けたのかその場にへたり込む


「すみません、安心してしまって、見苦しいところを。」


「いいんですよ。そのままでいいんので質問に答えてくださいね。中野さんの家がある場所ってどこですか?大雑把でいいんで、教えてください。」


「えっと、〇〇県の⬜︎⬜︎市です」


「あー、そこだと確か明日ぐらいに門が開いたと思うので、迷宮街で宿を取って一晩明けてから向かいましょう。ちなみに、迷宮街って言うのは迷宮の中にある街みたいなところです。じゃあ、ついてきてください」


そう言ってグレイは中野の前を歩いて先導する。


 「あ、言うの忘れてたんですけど無闇にここにある物は触らない方がいいですよ。下手したら腕がなくなるかもしれないですから」


「わ、わかりました」


 それを聞いた中野は怯えながらもグレイの後を着いて行く。


 歩き始めてから少し時間が経ってからグレイは身につけていた高価そうな懐中時計を見ながら止まる。


「中野さん、止まってください」


 そんなグレイの様子に困惑した中野がグレイに問いかける


「あの、どうかしたんですか?」


「静かに・・・」


 ガシャン、ガシャン、ガシャン、ガシャン


 何か人型の物がグレイ達に近づいてくる。


「走って!!」


 突然のグレイの指示に驚きながらも中野は言われた通り走り出す。グレイは中野の隣を並走するように走っている。しばらく走っているとグレイが指示を出す。


「次を右に!」


 中野は隣を走っているグレイの指示に従って何回か角を曲がる。しばらくしてグレイが懐中時計を見ながら中野に話しかける。


「中野さん、もう大丈夫ですよ。少し休憩しましょう。これで水分補給してください。」


 そう言ってグレイは中野に銀色の水筒を手渡す。


 「あ、ありがとうございます」


 しばらく休憩した後グレイは再び歩き出す。


「もう少しで着くので、頑張ってください」


 中野とグレイが歩き出して少し時間が経った頃グレイが豪華な意匠が施され扉を指差す。


「お、中野さん、あの扉が目的地ですよ」


「やっと・・・」


「さあ、早く入っちゃいましょう」


そう言ってグレイは扉を開くきながら中野のてを引き扉の向こう側に招き入れる。


「あ、そうだ、これは言っておかないと、中野さん、ようこそ迷宮街へ、私たちはあなたを歓迎いたします」


 グレイは中野に向けてうやうやしく礼をした。


「さて、とりあえずは、宿に向かいましょう」


 そして二人は迷宮街に歩き出した


危険知らせの懐中時計


・グレイが所持している漂着物。

・普段は正しい時間を示しているが、持ち主に危険が迫ると秒針が物凄い速さで進み始める

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