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第43章 失われた足取り

いつも「私立あかつき学園 命と絆の奏で」をお読みいただき、ありがとうございます!

今回は第43章「失われた足取り」をお届けします。この章では、日常の中に潜む不穏な出来事が描かれます。突然の渡瀬先生の休職というニュースが、物語の新たな展開を予感させます。

ひなたたちの日常が少しずつ揺らぎ始める中で、隠された真実やそれぞれの思惑が交錯していきます。

物語の緊張感が増す本章を、ぜひお楽しみください!

「夢か……」

 朝を迎え、ひなたの部屋にはうっすらと朝日が差し込んでいた。

 カーテンの隙間から漏れる光が部屋を照らし、ひなたはベッドから起き上がって窓越しに外を眺める。


「やんでる……確か夢の中でも……」

 窓の向こうには、雨上がりで霧がかった霧島タウンの風景が広がっていた。

 ひなたはその光景をぼんやりと見つめ、登校する支度を始める。


―時間は流れ、朝の登校時間。霧島橋―

 

しばらくして、ひなた、亮、京子、大海、そして冴姫の5人が霧島橋を渡りながら学校へと向かっていた。

いつもと変わらない日常が続くはずだったが、その静けさの中に、ふとした緊張感が漂っているようにも感じられる。


校門をくぐり、いつも通りの朝の風景が広がる。

だが、校内放送のアナウンスが一同の足を止めた。


「生徒の皆さん、今回は臨時の全校集会です。体育館にお集まりください」


「なんだろう?」

ひなたが首をかしげると、京子も同じく不思議そうな顔をしてみせる。

「何なの?」


「おおげさだな」

亮が肩をすくめると、大海も同調するように頷いた。

「ほんと……何か事件でもあったのかよ」


冴姫は無言のまま視線を遠くに向けた。

隣では香菜子が小さなため息をついていた。

「うざーい!サボろっかな……」


―そして少し時が経ち、体育館―


他の生徒たちもざわざわとしながら体育館へ集まり、壇上に立つ天美理事長の姿に視線を向ける。

ひと際静寂が訪れ、天美が口を開いた。


「生徒の皆さんにお知らせです。音楽を担当していた渡瀬先生ですが、急な事情により休職されました。急病とのことで、しばらくの間お休みとなります」


その瞬間、体育館中がさらにざわつき始めた。

ひなたは驚いた表情で友人たちを見渡し、心の中で疑問が浮かぶ。


「渡瀬先生が……?どうして……?」


―体育館の別の場所―


一方で、のぞみと真緒も同じく集会に参加していた。のぞみは軽く眉をひそめて、真緒に小声で話しかける。


「休職って、やけに急だね……ストレスかな?」


真緒は真剣な眼差しで壇上の天美を見つめながら、静かに答えた。その時、天美が自分のメガネをそっと手で直したのが目に入った。

「やはり……あれは……」


壇上では、天美の演説が続いていた。

真緒の中で、疑念が確信に変わろうとしていた。

「何か……ありそうですわ……」


二人の反応は対照的だった。

のぞみは渡瀬先生の急な休職に驚きを見せつつも軽い推測にとどまっている。

だが、真緒の方は心の奥で何か不穏な気配を感じ取っている様子だった。


天美の演説は更に続き、体育館内にこだましていた。

「生徒の皆さんは、普段と変わる事なく……。」

だが、彼女の言葉には、どこか冷淡な響きが混じっていた。

「渡瀬先生の件は、我々としても急な対応が必要でしたが、皆さんが心を乱すことのないように努めてまいります」


体育館のざわつきは収まらなかった。

ひなたは心の中で本当にこれが急病による休職なのか疑念を抱いたまま、天美の話を聴き続けた。

「……急すぎるわ……一体何が……」


―体育館裏側―


一方、その様子を密かに見ていたのは、UKとAKだった。二人は物陰からひそひそと話している。


「聞いた? 恭二おじさん?」

 AKが小さな声で問いかけると、UKは頷き、険しい表情を浮かべた。

「ああ……昨日の夜、見回りしてた先生だ。一体……」

「理事長に話を聞く?」

「……奴は何かを知っている……それに……」

「?」

「似ている……奴に……」

 

AKとUKもまた、この渡瀬先生の突然の休職に隠された真実があるのではないかと胸騒ぎを覚えていた。


―再び、体育館内―


やがて、天美の演説が終わりを迎え、体育館に静寂が訪れる。

ひなたは深く息を吸い込み、小さな声でつぶやいた。


「本当に……これで終わりなの?」

第43章「失われた足取り」を最後までお読みいただき、ありがとうございました!

今回は、渡瀬先生の突然の休職という事件がきっかけとなり、登場人物たちの間に様々な疑念や動揺が生まれる様子を描きました。それぞれのキャラクターの反応や立場が、この状況にどう影響を与えるのか――今後の展開にご期待ください。


また、UKとAKが事件の裏に何かを感じ取り動き出す場面は、スパイパートの緊張感を高める重要な要素です。

次章ではさらに物語が動き始め、渡瀬先生にまつわる謎が深まっていきます。読者の皆様も、この先どうなるのか一緒に推理しながら楽しんでいただけると嬉しいです!


感想やご意見など、ぜひお気軽にお寄せください!それでは次回の更新をお楽しみに!

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