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お部屋訪問(中編)

ソフィアがクレアを撫でている横で。リリーは部屋の中に入って、本棚から数冊の本を抜き出してきた。そして彼女は、それを机の上に置いて声を上げる。


「ソフィア様! こちらにいらしてくださいな。お姉様も!」


「……え。あ、はい、じゃあ……?」


ソフィアはその言葉で手を止めて、戸惑いながらリリーの左隣に座った。クレアはその後に、空いている反対側の椅子に座る。全員が席についたところで、リリーは本を指差した。


「ソフィア様は、建国神話はご存じですか?」


「はあ、まあ……概要くらいは」


リリーが指し示した本。その表紙には、騎士姿の青年が描かれている。


「この方が、初代皇帝の……アレス・シュルム・エリアス様ですよね?」


「はい! アレス様は創造神のお父様と、人間のお母様の間に生まれた方でした。その時、シェアード大陸には多数の国が生まれては滅び、民は明日をも知れぬ日々を送っていました。そんな民たちを哀れに思った創造神、シュルム様は、自分の息子であるアレス様に大陸の平定を託して下界に送り出します。そしてアレス様は、その時はまだ小国であったエリアスに生まれ、3人の友人と共に瞬く間に大陸の半分を支配されたのです! ほら、見てくださいソフィア様。アレス様の左奥にいらっしゃるのが、ミルワード家の創始者。メルクリウス・ミルワード様ですわ!」


絵本のページを(めく)りながら、リリーはとうとうと語る。そうして最後のページを開いた彼女は、そこに描かれていた1枚絵の中の、モノクルを付けた男を指差しながら笑ってみせた。ソフィアは興味深そうに、その絵を観察する。


「……へえ、そうなんですか。……じゃあ中央にいらっしゃるのがアレス様ですね。髪の色は違いますけど、雰囲気は陛下によく似ている……」


「ソフィア様も、そう思われますか? リリーと同じですね!」


彼女の言葉に。リリーは嬉しそうに、笑みを深める。クレアが横から絵を(のぞ)き込んで、口を挟んだ。


「メルクリウス様だけではありませんよ。こちらにはウルカヌス・アッシャー様がいらっしゃいますし、そのお隣はアポロ・コンドレン様です。アレス陛下をお支えした、最初の3人にして……今も続く帝国の柱となっている3つの家。ソフィア様も、その概要くらいはお聞きになっていらっしゃいますよね?」


「そうですね。昔は本当に何も知りませんでしたが、その3家の役割と立ち位置は以前、シェリル様とアドレイド様から教えて頂きましたから」


クレアの問いに、ソフィアは真剣な表情で答える。その言葉を聞いて、リリーは得意げな顔をした。

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