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捨てられ令嬢は聖女の生まれ変わり

作者: 天野 恵

エリザベート・フォン・リヒテンシュタインは、美しく聡明な貴族令嬢として誰もが認める存在だった。


彼女は国の第一王子であるアレクシス・フォン・カールハインツと婚約しており、未来の王妃として期待されていた。


しかし、ある日突然、アレクシスから婚約破棄を宣言された。


「エリザベート、お前とはもう婚約を続けられない。私は他の女性を愛しているんだ」と、アレクシスは冷たく言い放った。


エリザベートは驚きのあまり声が出なかった。「…本気で仰っているのですか?」


「そうだ。彼女は君とは違って、僕を本当に愛してくれる。エリザベート、君も新しい道を見つけるべきだ」と、アレクシスは冷ややかに続けた。


「その方はどなたなのですか?」エリザベートは尋ねたが、心の中では答えを知っていた。


「リリアンだ。彼女は貴族の娘ではないが、その純粋さと誠実さに僕は惹かれた」とアレクシスは答えた。


涙を堪え、毅然とした態度で答えるエリザベート。「わかりました、アレクシス様。お幸せをお祈りいたします」


内心は崩れそうだったが、貴族としての誇りが彼女を支えていた。友人たちも彼女の強さを讃えたが、心の奥底で彼女は深い悲しみを感じていた。


婚約破棄のショックから立ち直ろうとするエリザベートだったが、彼女の運命はさらに大きな転換を迎える。


ある日、教会の大司教が彼女を訪ねてきた。


「エリザベート嬢、あなたは実は伝説の聖女の生まれ変わりなのです」と大司教は静かに告げた。


エリザベートは驚きと困惑を隠せなかった。「私が…聖女だなんて…」


大司教は優しく微笑んだ。「そうです。あなたの持つ特別な力が徐々に覚醒しつつあります。その力は国を救うために必要不可欠です」


「どうすればいいのでしょうか?」と、エリザベートは戸惑いながら尋ねた。


「まずはその力を受け入れ、そして鍛えることです。私たちはあなたを全力でサポートします」と、大司教は力強く答えた。


「具体的には、どのように力を鍛えるのでしょうか?」とエリザベートはさらに質問を重ねた。


「特別な訓練と瞑想を通じて、あなたの内なる力を引き出します。また、あなたの護衛として選ばれた聖騎士がその訓練をサポートします」と大司教は説明した。


エリザベートは深呼吸をし、その言葉を受け入れる決意をする。「わかりました。私はこの力を使って国を守ります」



エリザベートの護衛役として、国直属の聖騎士団から一人の騎士が選ばれた。


彼の名はクリストフ・フォン・ヴァレンシュタイン。


高潔で勇敢な彼は、王国中でその名を知られていた。


「初めまして、エリザベート嬢。あなたの護衛を務めさせていただきます」と、クリストフは優雅な礼儀で挨拶した。


エリザベートは胸の高鳴りを感じた。


「クリストフさん、どうぞよろしくお願いします。あなたと共にこの国を守れることを誇りに思います」


「私もです、エリザベート嬢。あなたの力が必要です。共に頑張りましょう」とクリストフは微笑んだ。


エリザベートは彼の目を見つめながら、


「あなたが私の護衛を務めてくれることに心から感謝します。私の力がどれほどのものか、自分でもまだわかりませんが、あなたとなら乗り越えられる気がします」と心からの思いを伝えた。


クリストフは頷き、「私もエリザベート嬢と共に歩むことを誇りに思います。あなたの力は確かに偉大です。その力を引き出し、国を守るために共に尽力しましょう」と力強く答えた。


エリザベートとクリストフは共に数々の困難を乗り越えながら、次第に心を通わせていく。


クリストフの誠実な性格と、彼女を守り抜こうとする強い意志に触れ、エリザベートの心は徐々に癒されていった。


ある日、二人は敵国の陰謀を暴き、国を救うための重要な情報を手に入れる。危険な任務の中で、お互いの存在がどれほど大切かを再認識する。


「エリザベート、君を守ることが私の使命だ。しかし、それだけじゃない。私は君を愛している」と、クリストフは真摯に告白した。


エリザベートの瞳には涙が浮かんだ。「私も…クリストフ。あなたと共に生きたい」


クリストフはエリザベートの手を取り、「私たちが共にいることで、どんな困難も乗り越えられると信じています。あなたの力と私の剣で、この国を守りましょう」と誓った。


二人の心が一つになった瞬間、エリザベートの聖女としての力は最大限に引き出され、国に新たな光をもたらした。



アレクシスはエリザベートが聖女として国を救ったことを知り、彼女の真価に気付く。彼は再びエリザベートに接近し、よりを戻そうとする。


「エリザベート、僕が間違っていた。君の力がどれほど素晴らしいかを理解していなかった。どうか、もう一度僕のそばに戻ってきてくれないか」と、アレクシスは懇願した。


エリザベートは戸惑いを感じつつも、冷静に答えた。「アレクシス様、私はもうあなたのそばには戻れません。私には新たな使命と、新たな愛があります」



アレクシスの執拗な求婚に対し、クリストフは毅然とした態度で立ち向かった。


「アレクシス王子、エリザベート嬢はあなたのものではありません。彼女の心を傷つけた過去を思い出し、潔く引き下がるべきです」と、クリストフは冷静に告げた。


アレクシスは激怒し、クリストフに対して挑発的な態度を取った。「君ごときが僕に指図するとは、身の程を知れ!」


しかし、クリストフは動じなかった。「王子様、あなたが何を言おうと、エリザベート嬢を守ることに変わりはありません。彼女の幸せは私の使命です」


エリザベートは二人の間に立ち、「もうやめてください。アレクシス様、私はあなたを愛していたこともありました。しかし、今はクリストフと共に未来を歩む決意をしました。それを理解してください」と静かに語りかけた。



エリザベートとクリストフは、共に王国を支える新たな力となった。彼女は聖女として、彼は聖騎士として、共に国の平和と繁栄のために尽力する。


「私たちの未来は明るいわ、クリストフ」と、エリザベートは微笑んだ。


「そうだ、エリザベート。君と共に歩む道は、どんな困難があっても乗り越えてみせる」と、クリストフは力強く答えた。


二人は手を取り合い、新たな未来へと歩み始めた。彼らの愛は、国を救う奇跡を生み出し、伝説として語り継がれていくことだろう。

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