第一魂 新しい先生
この話はスピンオフです。
https://ncode.syosetu.com/n5696gy/
これを読んでから読むともっと楽しめます。
身体を焼き尽くすような痛み。それでも、こんなの仲間を失う痛みよりはマシだ。
「もう何もかも捨てた。だから他には何もいらない……約束してくれ……僕に力をくれるって……仲間を救える力を!!」
白い炎の先にあるものはわからない。
それでも、ここで終わるわけにはいかない。
この世界の均衡は崩された。
___________________________________________
「……あ」
朝起きたら涙が流れていた。
なにか、遠い夢を見ているような気がする。
「……今、何時……?」
すると、自分の部屋の扉がドンドン叩かれた。
「おい!早く行くぞ!まだ寝てんのか?」
微かに聞こえる友人の声。
寝ぼけながら、目覚まし時計を見ると9時だった。
「っ!!まずい、遅刻だ」
そう言って、“金髪”の少年は自分の家を飛び出した。
この世界には魔力に適正があり魔術を使うことのできる魔術師がいる。
それ以外の人々は、みんな聖力に適性があるとされる。その中でも特別聖力に適性のあるものは特別な武器を使用し、聖術を使うことができる。
そして、ここは聖騎士になるために、その聖術を学ぶ、聖騎士学校である!
「……そして、かつて魔術師が勢力を奮っていた時代。それに対抗する形で現れたのが、のちに聖騎士と呼ばれる者たちの始祖、聖力を利用した聖術を使う聖人であったのです。その聖人達は聖魔戦争の時、今の聖騎士が使っている特製の武器、聖具を生み出しました」
そのように先生が黒板の前で話す中、何かぐーぐーという音が聞こえる。
しかし、その音は先生がチョークを投げつけるとともに途切れた。
「痛っ!!」
「こら!!何を居眠りしているのですか?」
「ご、ごめんなさい」
「座学を怠るとは、騎士道を学ぶものとしてなんたる不敬。特にあなたは剣術ができても、座学はワーストなんですから!廊下に立っていなさい」
「そ、そんなぁ」
「まぁ、実は今投げたチョークにも私の聖力を少し込めたのですがーー」
とまあ、これは数分前の話。
なんてことがあって、今この少年、エドワード・ソウルは廊下に立っているのだった。
「はあ……授業中に寝るなんて初めてだ……どうしちゃったんだろ、僕」
そして、エドワードは廊下の時計を見やる。
「剣術の授業まで、あと1時間……暇だな」
唯一の楽しみの剣術の授業まだも時間がある。
結局何もすることがないので、寝るとしよう。
「ーーぉぃ……おい!!なんだお前、今度は廊下で寝てたのか?次は剣術の授業だぞ」
「あ、ドル。おはよう……寝ちゃってたよ」
照れたように笑うエドワードに対して、ドルは心配そうな顔でエドワードのことを見る。
「珍しいな、さっきの遅刻といい。どうしたんだ?」
「実は最近、夜によく眠れないんだ。明日、聖力測定があるだろ?」
「……まさか不安で寝れないとか?」
「わからない。たけど、多分楽しみにしているのかもしれないね」
その言葉を聞くと、ドルは呆れたような顔をして、
「確かに剣術学校一位のお前は期待しかないな。俺なんて不安しかないぜ。あっ!そういえば今日から新しい先生が来るらしいぜ」
「へー、楽しみだね」
そうして、二人で闘技場に到着した。
しかし、そこから聞こえてきたのは、いつも通りの大きな怒号であった。
「おいこら!弱味噌たち!そんな調子で剣振ろうなんて100年早いぞ、こら。ここに着いたらまず外周5周だ」
「あー、やってるやってる……」
ドルはその様子を見て面倒臭さそうに外周を始める。エドワードもそれに続いた。
「本当、古典的すぎるんだわ、あの人。馬が合わない」
「はは、そうかな?」
「お前は良いよな。あの人に気に入られてるんだから……」
「ほらそこ!!外周中に話すな!!ドル追加で1周だ!」
ドルはゲッと声を漏らし、小声で呟いた。
「ほらな……また俺だけ……」
「あはは……」
エドワードは苦笑いをしつつ、外周5周を終える。
それに遅れ、ドルも合計6周を走り終えた。
「よし!まずは素振りから始める。位置につけ」
「……おい、今日は新しい先生がくるんじゃないのか?」
「どうやらデマだったみたいだね」
うげー、と言いながら自分の定位置に着くドル。そして、それに続くようにエドワードも並んだ。
その時だった。
空がきらめき、地面に何かが落ちてきたのは。
「な、なんだ!?」
土煙が起こり、その中には人影が見える。
そして、煙の中から男の声が聞こえてきた。
「おいおい!!!まぁーだ、こんな古臭い稽古してんのか?泣けてくんぜ」
「っ……」
気配もなく、突如現れたその男に全ての生徒が動揺する。
しかし、その男はそんなこと気にせず元々いた先生を手で払うような仕草をした。
「あんたの役は終わりだ。繋ぎ役ご苦労な」
そして、生徒たちの前に立ちニヤッと笑う。
「よお、今日から剣術教えることになっただロウガ•ブレッドだ。よろしくぅ」
呆然とする生徒たち。皆思うことは同じであった。
(なんかやばそうなやつが来た……)
そんな空気を感じ取ることもなく、ロウガは続ける。
「はぁ、素振りなんて止めちまえ。どんなに剣術の型を練習しようと、それが土壇場で使えなきゃ意味ねぇんだよ」
すべての人が目を点にしている中、ただ一人目を輝かせる少年が一人。
(なんか面白そうな人が来たぞ……)
「なんて話はまた今度してやる。よし!早速だが、今日はトーナメント戦をやる。まず、自分が強いってことバンと証明してくれや!」
突如嵐のように現れた男は、少年少女に挑戦状を与えた。
気に入っていただけたらブックマーク、感想よろしくお願いします!!
https://ncode.syosetu.com/n5696gy/
原作もよろしくお願いします!!